北京五輪サッカーアジア2次予選 U22日本代表-U22シリア代表 「鉄槌」

  • おかき
    2007年03月29日 01:13 visibility99


後半30分過ぎ。日本代表・水野がトラップミスをして、
相手ボールのスローインにした時、私は舌打ちをした。
「水野、お前もか。。。」と。




試合内容は明らかに日本が上を行っていた。水野、本田圭、
家長らがサイドを広く使って飛び出してくる。
シリアは、粘りを見せるがサイドからのクロスを殆ど
止められずにいたし、日本の選手を離しすぎていた。



日本の前半の得点は、そのバイタルエリアの緩いプレスを
切り裂く様に、家長が決めたもの。シュートを放つ前に、
目で視野を十分に確保でき、キレイなフォームでシュートを
打つ時間があれば、得点の可能性は高くなる。



そして、その8分後の24分。右サイドの水野のFKを
平山が合わせて追加点。マークは振り切られて、フリーの
状態でのシュート。


イタリアを撃破した事もあるシリア代表と事前に聞いていたが、
その面影はなく、日本代表に縦横無尽に走られる。
しかし、それも前半までだった。



後半になると日本代表は、点差とプレーしている者が得る
相手の実力の感触から、簡単なプレーが増え、
ここで一旦はシリアの流れになる。
ピンチらしいピンチまではいかないが、パスミス、パスカット、
形だけの追いすがった様な弱いプレッシャーを振り切られ
自分達でリズムを壊してしまう。
シリアにサイドを握られてクロスを挙げられたが、
その精度の低さでそれを切り抜けた時に、日本に追加点が入る。

途中交代で入ったカレンのパスに、オフサイドギリギリで
平山が抜け出し、出てきたGKの動きを良く見て
ゴールに流し込み3-0。
勝負あったというよりは、やっと追加点かという印象だ。
結局このまま試合は日本代表の勝利。次のアウェイでの
シリア戦に弾みがついた。















だが、言いたい事がある。この日のチケットに関して、
売れない事が大きく報じられていた。川淵キャプテンも
苦言を呈していた。またある記事では「代表が不人気だと
子どもの夢がなくなる」的な意見もあった。



でも、私は五輪代表は不人気で構わないと思っている。
この世代の活躍程度で客を集められると思って欲しくないからだ。
大体世代別代表のしかも最終予選でもない試合の
メインスタンドが6500円というのはJリーグの多くのチーム
の金額よりも高い。「夢」というなら全席自由で2000円で
開催すればいいのだ。20代そこそこで、外車を乗り回す程
甘えさせてはけない。






「若い時の苦労は買ってでもしろ」という言葉がある。
若い時に苦労した方が、後の為になるという意味だ。
本当に彼らは苦労してきたのか。Jリーグ100年構想の下に
Jリーグが生まれ各地でスポーツクラブはその数を増やしてきた。
優れた選手は、芝のグランドでプレーできるだろう。
前の試合でマレーシアに行った時「悪い、暑い、痛い」が
禁句になったそうだが、劣悪な環境に育てばそれに適応する
力も自ずと付いてくる。それがないから、そういう言葉が
出てくるのだ。だから海外の貧しい国のチームが来日すると
芝の上でプレーできる事を本当に感謝している。










日本ではプロは美しい芝がグランドでは普通になりつつあるが、
そのお手本でもあるヨーロッパでは美しい芝はそうは見当たら
ない。雨が降れば田んぼの様にドロドロになりながら試合を
している映像はよく目にし、ドイツやオランダでは雪が積もる
中で試合をする事だってある。
そういった環境で試合をするから、その酷い環境に「痛い」と
言う暇など無い。激しいサッカーになるのはそういう事だ。






恵まれた環境の中で育った選手、あるいは今その環境にいる
選手が、殆どアマチュアであろうシリアの選手とこの差では
話にならないのだ。プロで食べている圧倒的な差をホームで
見せられなかった日本代表を評価できない。

しかも後半は、明らかにペースを落として試合をしていた。
言い訳としても攻めまくって3点なら仕方ない。
実力差があっても相手の好セーブがあるのがサッカーだから。
でも夢を本当に与えるというなら、全力で5-0.6-0で勝って
初めて与えられるのだ。それがプロだ。
それができないなら、今の彼らの年俸は不相応だろう。
だから、私は水野のプレーに舌打ちをした。
もちろん水野だけではない。でも水野はもうA代表キャップで
あり、動きも良かった。FKで1アシストしている。だからこそ、
もっとその重みを感じて欲しいのだ。














この日観客席には1万8000人程度しか入らなかった。それは、
人々の目が肥えてきたのもあるだろう。代表バブルに
飽きてきた人が増えたとでも言えばいいか。アジア相手の試合は、
日本が強い事がここ数年の結果からは知っている。
「勝つ試合」を見たい人は来ても、
「白熱する試合」や「内容の濃い試合」を見たい人は来ない。
自宅のテレビで十分なのである。そのわかりきった試合を
見る為に時間とお金を使ってまで移動する気はない。
また日本代表の情報は沢山あっても、シリア代表の情報は
提示されない。そんな偏った報道の中で、この試合に価値を
見出す方が難しい。











この日"たった"3-0でしか勝てなかった日本代表。
平山の2点目はヘッドでシリアに鉄槌を下したが、
私はどこかのチームが日本代表に鉄槌を下してくれないかと
密かに期待しているのである。
それが彼らの為になるのだ。君達の世代で2010年を戦うのだから。




chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。