2006年天皇杯3回戦 横浜FC-バンディオンセ神戸 「飛べないのは翼がないからではない、勇気がないからだ」

  • おかき
    2006年10月08日 20:26 visibility1159


J2リーグ戦は一時休憩となり、この日は来年の元旦に決勝戦が行われる
天皇杯の3回戦。この戦いからJ2チームやJFLのシードされたチームが
登場する。

横浜FCの相手は兵庫県代表のバンディオンセ神戸。
現在は関西リーグに所属しているものの、所属している選手は元Jリーガーが
多く、元ガンバの森岡、元ヴィッセル神戸の和多田、元マリノスの森、
元川崎の神崎、そしてこの日対戦する横浜FCに所属していた石田等が主力と
して戦い、今季関西リーグを優勝し来年のJFL入りを目指しているチームだ。

この強豪相手に、横浜はBチームはおろか、サブ以下のメンバー主体で望んだ。
J2の連戦を戦い抜いている城、カズ、アレモン、内田、山口、菅野らは
ベンチにもいない完全休養であり、リーグ戦を重視している姿勢が
その起用法から浮かび上がった。

試合が始まるとアウグストのスピードに慣れないバンディオンセに対し、
横浜はチャンスを作るが枠に至らないか、バンディオンセGK宣が
悉くストップして、得点する事ができない。

バンディオンセの中盤は豪華だ。川崎元気は大分や鳥栖に所属していた
技術の高いMFの選手。彼が底でボールを捌いてバンディオンセは
徐々に横浜陣内に侵入し、ゲームを支配し始める。前線には、和多田、森が
力強く、そして狡猾なプレーで得点を虎視眈々と狙っている。

対する横浜は、個人の技術がどうのという前に、気持ちでたるんでいた。
岩倉の序盤から軽かったプレーを初めとして、チーム全体がセカンドボールを
追いかけない、味方を追い越さないばかりか押し上げない、
これではどういったメンバーを並べても勝負にならない。
前半早い時間からソンヨンと吉武がサイドを入れ替える等、
上手くいっていない事が露呈された。
太田をCBで起用したのは、CBに室井・小林と横浜の中でも
足の遅い選手を並べる事に不安があったのだろう。

戦術というのは、選手の動きを計算して立てるものであるから、
選手が予想した動きをしなければ戦術は成立しない。
例えば、ポストプレーヤーにカウンターを狙うサッカーであっても、
肝心のその選手がハイボールを競らないなら戦術は成り立たない。
ポストのボールを落とせなかった、キープできなかったという評価以上に
戦術が最初から破綻してしまうのだ。

横浜がJ2で勝ち残ってきたのは、対戦相手に「カウンター」「ドン引き」と
言われる位の攻守の切り替えの速さを武器にしているからだ。ボールを
奪われても相手の速攻を許さず、まず縦を切って内で潰しに行くサッカーだ。
ところがこのサブ以下の選手の多くはそれが実行できなかった。

ボールを奪われても自陣に下がらない。それ以前にルーズになったボールは
競りに行かない。これは監督云々以前の選手の問題だ。

それでも、前半はバンディオンセのミスに助けられて終える事ができた。
危ない場面でもシュートは枠の外に外れて、私達は胸をなでおろしていた。
後半が始まっても選手を変えなかった。監督としては、後半時間が
なくなれば動きが変わると考えたのかも知れない。

ところが後半になっても横浜の選手の動きに変化はない。
そればかりか、バンディオンセの「格上相手に前半無失点ならチャンス」と
いう気持ちの変化から前に出てくるプレーに付いていけず、ヒヤッとする
シーンを繰り返す。

ボールを持ってドリブルを機能させる事すら難しいレベルだった
ソンヨンに代わって、滝澤がサイドに入ってからチャンスが生まれ、
坂井の突破から富永が左足を振り抜いたが、これもGKがセーブ。

そして、後半39分。その緩慢なプレーに天罰を与える様に、
バンディオンセの右サイド鎌田?がクロスで折り返した所に、
途中交代で入った吉沢が足を伸ばしシュートして、ゴールを割った。
そして、これが決勝点。

高木監督は非常に現実主義であり、幾度かチャンスを与えるが結果を
残せなければバッサリと判断する。そう考えると、
室井、小林、吉武らは今シーズンはもう終わった様なもの。
中島の怪我で出場していた小林も8月の札幌戦でHTに交代させられたら
それ以降ベンチにも入っていない。サイドで評価を得ていた吉武も
9月の東京V戦でHT交代させられた以降は同様だ。
つまり、この試合は来年への「最後通牒」を突きつけた試合だったのだ。

その試合にこの内容、結果では来年以降このチームにいる事はまずないだろう。
それは上に行こうが行かまいが関係ない。

敗れたのは体力でも、環境でも、技術の差でもない。
「戦う」という勝負の世界の極当たり前に必要な姿勢が足りないだけだ。
上に行こうとする気持ちのない者は、チームに所属しなくても結構だ。
本当に気持ちがある者に対して悪い影響を与えかねない。

この日の三ツ沢は突き抜けるような紺碧の空に、燦燦と太陽が輝いていた。
この大きな空は、君達が飛び立つのを待っているのだ。
"トップチーム"の多くの選手は、上を向いて今必死にもがいている。
ロートルと馬鹿にされても、必死にその小さな翼を羽ばたかせている。
空に行ったら行ったで、困難と試練が待っているだろう。
しかし、その高みに行かなければその困難も試練も乗り越えられない。

君達には翼がないのか?それは、違うだろう。
君達には飛びたいという勇気なかったのだよ。


完全燃焼し失点して放心状態の吉野と、
水を飲んで他人事の小林。
この試合にかけるモチベーションの差が出た。































































































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