ドラマ・イン・サイタマ 2 寸評
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spa
2022年06月12日 15:01 visibility787
こんにちは
早速ヤクルト交流戦優勝に触れたいところですが(笑)
ここは別の話題を、気合い入れて書きたいと思います。
もう5日ほど前の話になりますが、井上尚弥凄かったですね。
ま、井上に関しては別ですが、残念ながら現代のボクシング界においての「世界チャンピオン」の価値は、昔、例えばファイティング原田さんとか輪島功一さんとかが世界チャンピオンとして名を馳せていた時代と比べたら、その価値は今は落ちていると言わざるを得ない。それは何故かというと、かつては1つしかなかった世界チャンピオンを認定する団体が今は4つに増えてしまい、それによって世界チャンピオンと呼ばれる選手が氾濫し、世界タイトルの権威が薄らいだことが最大の理由だろうと思う。
WBA・WBC・IBF・WBO。
この4つの世界認定団体の盟主がそれぞれ世界チャンピオンを名乗っているのだから、ファンから見たら紛らわしいことこの上ない。つまり今、ボクシングの世界チャンピオンは世界一ではなく、世界チャンピオン=世界四という理屈なのだ。同一階級に4人もの世界チャンピオンが存在してしまってる以上、じゃあその中で本当は誰が一番強いのか?とファンは混乱するし、その弊害で時にはかなり弱い、ホントにそれで世界チャンピオンか?と思いたくもなる、狙い目の世界チャンピオンというのもたまに出てくることもある。
日本人選手でいうと井岡一翔が4階級制覇したり、長谷川穂積や田中恒成、八重樫東といったあたりが3階級制覇したりと以前では考えられなかった偉業を現代の日本人選手が成し遂げられた背景には、実はこういうボクシング界の事情のようなものが大きく関わっているのである。亀田興毅の3階級制覇などはまさにその抜け穴を突きまくった戦略の成果だ。
そこで井上尚弥である。
実力的に井上は過去も現代も含めた日本人ボクサーの中で間違いなくナンバーワンだ。その圧倒的なスピードとパワー、そして技術の高さ。何をどうとってもナンバーワンだと思う。
そして井上は、今、ただの世界チャンピオンではなく本物の世界チャンピオンであることを証明すべく、早くから4団体の完全統一チャンピオンを目指すと公言していました。4つの団体の世界タイトルを一人が持ってしまえばそれこそ、間違いなく本物の「世界チャンピオン」。世界に1つだけの花という訳である(謎)
今、井上が主戦場としているバンタム級は最軽量級のミニマム級から数えて5番目に重いだけの、いわゆる「軽量級」に属する階級だが、正直ボクシングの本場アメリカなとではあまり関心の持たれている階級ではない。理由としては日本を含めたアジア人より体格のいいアメリカ人選手が、バンタム級あたりの軽量級にはあまりいないというのが大きな理由の1つなのだと思う。やはり地元の選手を応援したいのはどの国のファンも同じということだろう。
ですが近年、そのような事情が少し変わってきているのだという。それは極東の遠い日本という小さな島国に現れた一人のモンスターの素晴らしいボクシングが、階級を超えて本場アメリカのファンからも大きな注目を浴びているのだ。
それが井上尚弥なのである。
今やネット通信の発達により観ようと思えば世界中で誰でも簡単に井上尚弥の試合が観れる訳で、目の肥えたアメリカ人のボクシングフリークからも大絶賛の井上は、アメリカでも人気急上昇中。未だかつて、海外のボクシングファンにここまで名前の売れた日本人選手がいただろうかと考えると名前を挙げるのは難しいだろう。
現在のバンタム級覇者は
WBA&IBFが井上。WBCがドネア。そしてWBOは英国のポール・バトラーという選手がタイトルを持っているが、実力的にはバンタム級トップ2の井上とドネアがそれぞれの持ってるタイトルを賭けた三冠統一戦が先日行われた井上vsドネア2という訳です。
皆様分かりましたか?
紛らわしくて、今の世界のボクシング情勢を説明するのは一苦労ですね、書いてて疲れます(笑)
ご存知のとおり井上vsドネアは2年7ヶ月前に一度実現しています。その時は井上がWBA、ドネアがIBFのチャンピオンで、激戦の末に井上がドネアを判定で破りWBA&IBFの二冠チャンプになったのですが、この試合のドネアの出来が素晴らしく、井上には破れてタイトルを失ったにも関わらず逆に評価を上げたような形になり、そのあとドネアはWBCチャンピオンのウバーリに挑戦する機会を得て、そのウバーリを失神KOに追い込んで再びタイトルホルダーに返り咲きます。
そして当時、WBOのチャンピオンにカシメロという選手がいました。このカシメロはパワーもあり、その破天荒なボクシングスタイルと派手で奔放なキャラクターがいい具合にヒール感を出していて、カシメロとドネア、あるいはカシメロと井上という統一戦が幾度もセッティングされ、バンタム級界隈を盛り上げていたのですが、コロナ禍や、度重なるカシメロ陣営の規律違反などで試合がキャンセルされ、挙げ句にそこを問題視されてカシメロはタイトルを剥奪をされてしまいます。そして、その後釜に座って新たにWBOタイトルを獲得したのがバトラーという流れなのです。
そしてこの度、井上のWBA&IBFとドネアのWBCの3本のベルトを駆けて行われた井上vsドネア2が実現した訳ですが、戦前の予想では井上有利もドネアが前回同様、もしくは前回以上に井上を苦しめるのではないかという予想が多かったと思う。その根拠としては、前戦から井上が3試合、ドネアが2試合をそれぞれKOでクリアしてきていたのですが、内容的には完勝でも井上の相手はかなり格の落ちる相手で、井上としてはあまり得るモノの少ない試合であったように映った反面、ドネアの2試合は相手も強かったし、その強い相手を素晴らしい内容でクリアしていたので前戦からの上がり目としてはドネアの方があるんじゃないか?という声が多かったし、僕自身もこれまでのドネアの強さを知っているので、前回以上に今回は本気のドネアで来るだろうと、例え井上であっても無傷でリングを降りることは出来ないだろうなと、そう思っていた試合でした。
両選手リングイン時。
はじめに井上が入場してきましたが、入場曲が布袋寅泰の生ギター演奏という派手な演出。数々のステージに立ってきた布袋もリング上での演奏は初めてなのだろう、高揚した表情で、その動きはいつも以上のキレがある(笑)
布袋サウンドに乗ってリングインの井上、明らかに表情が絞まっている。昨年12月に次男と井上の防衛戦を観に行ったのですが、その時の井上とは全然違う表情です。それはやはり相手がドネアなので井上も本気モードなのでしょう。
続いてドネアも入場してきましたが・・・・
布袋おらんやんけ(笑)
おい布袋、井上だけじゃなくドネアにも弾けよ。フライ級からフェザー級まで5階級を制覇しているボクシング界のレジェンドだぞ?
井上だけに弾いてリングを降りるなんて、ちょっとレジェンドに失礼なんじゃないか。布袋が降りるなら代わりに吉川晃司を呼ぶとか、運営側にはちょっと考えて欲しかったですね、そこら辺は。
まぁ、それはともかく。
2人の表情を比べるとドネアの方がやや緊張している感じを受けましたが、それは気後れではなく、やはりこの試合の重要性をよく分かっていて、一瞬の油断が命取りなのを知ってる勝負師の表情だなと僕には映りました。
この試合はドネアの出方次第で大きく展開も変わると思ってました。前回の生々しい12ラウンドの激闘の続き、つまり13ラウンドから試合が始まる感じで行くのか、あれはあれで一度リセットして、あらためてまた様子を伺いながら1ラウンドから始める感じで行くのか。井上はもう最初からエンジン全開で行くと宣言していたので、ドネアの出方に注目してゴングを待ちました。
そして試合は始まり、開始3秒でいきなりドネアが踏み込んで左フックを打ち込んだ。テレビではアングル的に観にくい角度のパンチでしたが、あとで井上が語ったところによるとガードの隙間を割って浅くヒットされたそう。どうやらドネアも13ラウンドから試合を始めるようだ。
そして、このドネアの左フック一発で試合は早くもテンポアップ。互いに軽快なステップからスピードに乗ったパンチを交換し始めたが、とりわけドネアのステップが軽やかで間違いなくドネアは絶好調のように見えた。
しかし、その好調ドネアの軽快な動きのさらに上を行ったのが井上。速いパンチの交換をするもワンテンポ井上の方が速いのでどうしてもドネアが後手に回ってしまい、必ず最後には井上がパンチを打って打ち合いが終わってしまう。
井上のスピード・パワーに臆せず、ドネアも井上をよく見てカウンターを合わせようとするが、そこをさらに井上が上回って逆カウンターを打ち込んでくるので、少しずつ井上のペースになって終わりかけた1ラウンド終盤でした。
速いテンポの中で井上が左を出しかけたところ、ドネアがそれに反応して右にダックして打ち返そうとしたところ、空いたドネアの左側頭部に井上の右打ち下ろしがテンプルに入り、ドネアが腰から崩れ落ちらダウンを喫する。
井上の高度なフェイントにドネアが反応出来てしまったからこそのダウンだったと思います。
そして、このパンチによるダメージは深く、続く2ラウンドに井上の恐ろしいまでの連打を浴びてレジェンドは再びロープ際に倒れ、そのままレフェリーはノーカウントで試合を止めました。試合が終わった瞬間、トレーナーの井上父が、勝った息子ではなく、すぐにドネアの元に向かったのが印象的でしたね、本気でドネアのダメージを心配したのだと思います。
これが亀田父だったら・・・・(以下自粛)
まぁ、こうしてこの井上vsドネア2は、井上がドネアを圧倒して幕を降ろした訳ですが、井上にとっても圧勝ではあっても決して楽勝ではなかった、そんな試合だったと思います。
それにしても、これでバンタム級3団体統一を成し遂げた井上尚弥、ホントに異次元に強いですね。プロ野球でいえば、2位に20ゲーム差つけて首位を独走しているようなもんですよ(笑)
とりあえず井上としてはまだ取ってないWBOのベルトを狙ってバトラーと4団体バンタム級完全統一を狙いたい意向みたいですが、正直、井上とバトラーではもう勝負はついているようなもの。井上自身もバトラー相手に今回のドネア戦のようなテンションで試合に臨めるのかどうか、そちらの方が心配な試合になるのかと思いますし、無理にバンタム級の4団体統一に拘らず、次戦からもうスーパーバンタム級に上げてもいいんじゃないのと思っちゃいますね。
スーパーバンタム級にもいいチャンピオンはいますが、井上が上がってきたら皆、びびるだろうな(笑)
ちなみに亀田和毅というのもスーパーバンタム級にいますけどね(笑)
ま、なにはともあれ、井上尚弥とノニト・ドネア。
素晴らしい世界タイトルマッチでした。
spa
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- 事務局に通報しました。
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