奇跡は二度起きた~社会人野球日本選手権
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仲本
2016年11月06日 23:11 visibility212
11月6日、社会人野球日本選手権は準々決勝に入り4試合が行われた。
第二試合のパナソニック-王子戦は球場入りした時には3回が終わって2-1で王子がリード。このレベルになると乱打戦はほぼ期待できない。勝負の分かれ目になる次の1点は6回、先頭打者のライトフェンス直撃の二塁打を皮切りに、結局満塁押し出しの四球で王子に入った。リリーフ投手は3B-0から開き直って3B-2まではもってきたが、最後の1球は再び力みが出てしまったのだろう、打者の近いところに外れた。パナソニックにとっては惜しまれる失点だった。
日頃の疲れが出ているのか眠かったり腹具合が悪かったりで、7回に入ったところでいったん退出した。特別席の入場料は1,200円。惜しいわけではないがとりあえず再入場できるようには申し出ておいた。第二試合は結局王子がそのまま3-1で勝った。
第三試合の組み合わせは鷺宮製作所-大阪ガスだった。
大阪ガスの試合はわりと見ているが、鷺宮製作所の試合は見たことがない。日本選手権には3大会連続11回目の出場、激戦区関東にあって強豪の一角を占めている。二回戦では日立製作所との「製作所対決」、小よく大を制すで勝ち上がってきた。
試合間の入れ替えでできたネット裏上段の空席に座る。体調のせいもあって気力十分とはいかない。時間的にも立ち上がり3回ぐらいまで見て帰ればいいや、と思っていた。そんなわけでスコアもちゃんとつけてはいなかった。
地元・大阪ガスの大応援団に対して、鷺宮は少ないながらもブラス・チア・男子リーダーとそろえてきている。濃いピンクのスティックバルーンが揺れている。
3回表、大阪ガスが犠飛で先制する。レフトからの返球もきっちりベースに帰ってきたが、スライディングの足が先に入った。
鷺宮は3回終わってヒットなし。
鷺宮の先発・西村投手は足を高く上げ、小気味よく投げてくる印象。直球は140km/h台前半。対する大阪ガス・猿渡投手は最速145km/hの直球に、この日は130km/h前後の変化球がいいところで決まり、打者が虚をつかれたように見逃していた。先制を許した鷺宮は5回から早めの継投に入る。この日の相手投手の出来から見て、失点は最小にとどめたい。
5回を終わって鷺宮ノーヒット。これはもう少し続くのではなかろうか。鷺宮にヒットが出るまでは見ていこう。
7回表・大阪ガスは連続二塁打で待望の追加点を挙げる。しかし続くチャンスは鷺宮リリーフ・斎藤投手が連続三振に切って取る。鷺宮もまだ気持ちは切らしていない。
7回裏・鷺宮、1番二ゴロ、2番の代打が遊ゴロ、3番はバットを折られて三ゴロ。
8回表・大阪ガス、二死2塁から前進守備のセンター頭上をはるかに越えるライナーの三塁打。1点追加。しかしこうなってくると野次馬としては大阪ガスの攻撃もあまり長引いてほしくなくなるから不思議だ。
8回裏・鷺宮、4番右飛、5番遊ゴロ、6番の代打二ゴロ。鈍い音がしたのでバットの根元を半分折られたのかもしれない。
9回表・大阪ガスは一死3塁のチャンスを迎えるが、鷺宮はつづく左打者二人に左のスリークオーターをぶつけて退ける。セットポジションの右足が軸足より一塁側に出るというやや変則フォームだった。
9回裏・鷺宮は7番から。3B-0から2球ストライク。2ストライク目はバントの構えで揺さぶりをかけたがこれが裏目に出た。ノーヒットをどこまで意識していたかは知らないが、振ってくるほうが投手にとっては嫌だったろう。結局三ゴロに倒れる。
8番の代打、ここへ来て背番号ゼロの左打者は曲者の予感も、初球を打ってあえなく遊ゴロ。
9番に代打。初球ボールの後2球目、3球目と見逃して追い込まれた。4球目は注文通りのタイミングを外す球で空振りを奪う。
無安打無得点試合は大会史上3人目だが、なんと今大会では二日連続で達成された。猿渡投手の出した走者は初回の四球一つだけの準完全。この走者も確か盗塁死だったので、残塁なしの打者27人で片づけた。
私自身、9イニングノーヒットノーランの試合を球場で観戦したのは二度目。一度目は去年の夏のことだった。そこに至るまでの長さを思えば、「これが最初で最後かもしれないが、それでもいい」と思っていた。二度目の機会がこれほど早くに訪れるとは。野球の神様が「これからもたまには球場に顔を見せろ」と言っているのかも。
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