秋季大会放浪記〜京都・伝統の一戦？（前）

９月に入ったとはいえ関西はまだまだ暑い。放浪には厳しい条件なので極力外へ出たくないのだが（！）、京都・嵯峨野にやってきた。京都府の高校秋季大会は地区ブロック戦が行われている。目指すは「堀川高校・嵯峨野グラウンド」。京都市の北、広沢池という大きな池の南側にあり、「山越」というバス停が比較的近いということだ。

ＪＲ京都駅から出発したバスの乗客は７割方外国人観光客だった。烏丸五条・西大路御池・御室仁和寺などといかにも京都らしい地名のバス停に次々立ち寄りながら揺られること小一時間。山越のバス停は終点のひとつ前、ほとんど乗客も残っていなかった。しかもここで降りたのはわたしだけ。事前に地図で大まかな位置関係を頭に入れていたが、バス停を下りてみると木立ばかりがあって、目印のあまりなさそうな道だった。最初の一歩で方向を間違えるとえらいことになりそうだ。バスの進行方向に向かって歩いていけば大丈夫なはずなんだけど？

恐る恐る歩いて行くと、５分ほどで右手の視界が開け、大きな池が見えてきた。まちがいなかろう。さらに進むと左手、防球ネットが見える。歩道から見てみるとバックネットとグラウンドが少しだけうかがえた。ネット裏には野球部の父母会の人たちだろう、そろいのＴシャツを着てたくさん立っている。試合開始時刻はほぼ予定通りのようだ。

言い忘れていた。この日の対戦カードは「山城高校−西京高校」。皆勤校マニアなら泣いて喜ぶかもしれない組み合わせだ。秋の大会の組み合わせを調べると、両校ともに初戦を勝つかともに負けるかすれば対戦するということがわかった。ともに負けるかすればと言ったのは、夏の大会と違って秋の大会の京都の一次ブロック戦では「敗者復活」があるからだ。すんなり一次ブロックトーナメントを勝ち上がるか、敗者復活トーナメントを勝ち上がるかすれば二次戦の「府大会」に進める。残念ながら両チームともに初戦を落として敗者復活戦に回ることになったのだが…。

西京高校の先攻で試合が始まった。幸先良く１点をとった西京だったが、一回の裏、山城が長打をからめて３点をとって逆転に成功する。とはいえ見えているのはマウンドからセンターラインだけなので、ライト・レフトに飛んだらもうよくわからない。たぶん外野を抜く長打で２点入ったような気がする。しばらく歩道から柵に寄りかかって眺めていると、おっちゃんに声をかけられた。…話せば長くなりそうだ。つづく。