ベトナムの桜

”ベトナムの桜”  平岩弓枝著  毎日新聞出版
筆者の作品は久し振り。
瀬戸内海で桜の名所として名高い高取島。
 この島の名主の子として生まれた太郎と次郎の兄弟。
太郎は亡父が島民の難儀を救う為負った借財を返済せんと
 愛する島を去り、茶屋船の水夫となる決心をする。
虚弱な兄を案じた弟・次郎は、身代わりに波涛の彼方へと旅立つ。
 折しも世は二代将軍秀忠から家光へと移り替わり、
  海外との交易、キリスト教に対する著しい規制が生じる時代。
   そして、人の往来も禁止されるようになる。
  兄弟の絆を軸に、鎖国政策の功罪、
   歴史の転換の陰の庶民の悲哀が描かれる。
 次郎からの便りでベトナムの桜と
  高取島の桜が共に海に舞う終焉に涙。

 

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