プロ野球ユニフォーム図鑑

  • Mr.black
    2013年08月30日 10:57 visibility14715

先日書店で偶然見つけた雑誌があります。

 

 

プロ野球ユニフォーム図鑑。ベースボールマガジン社出版。

発売されたのはちょっと前なのですが、最後の一冊が残っていたようです。

 

同社の「プロ野球ユニフォーム物語」という本は持っています。

現存する球団及び消滅した球団のユニフォームをチームごとに時系列でまとめてあり非常に有益な本なのですが、掲載されているユニフォームはほとんどがデザイン画で写真はほんの僅かなのです。

 

それを補うのがこの雑誌。掲載されているのはほとんどが写真で、しかも選手が実際に身に着けている姿の写真が多いのです。

 

デザイン画メインの「ユニフォーム物語」と写真メインの「ユニフォーム図鑑」。両方揃えたことにより個人的にユニフォームに対する知識が深まりました。見つけることが出来て幸運でした。

 

たくさんあるユニフォームの中でもやはり一番関心があるのが下記の物。

 

 

日拓ホーム・フライヤーズの7色ユニフォーム。1973年(昭和48年)の半期、僅か数ヶ月使用されたデザインです。

この1973年に東映から球団を買収した日拓ホーム。

当初は東映のユニフォームを踏襲するようなデザインでした。(濃紺基調の地味ユニ。)

しかし後期シーズン前にデザインを大幅にモデルチェンジ。7タイプも作ったのです。

(当時パ・リーグは前後期2シーズン制。)

 

写真の左側2タイプと右側2タイプがホーム用。胸には筆記体で「Flyers」。

中央の3タイプがビジター用です。マークは二段で「NITTAKU HOME」(黒ユニ・黄色ユニ)のタイプと「NF」組み合わせ(ブルーユニ)のタイプ。

帽子のマークは全て「NF」組み合わせ。

しかしながらこの奇抜なデザインは選手達には受け入れがたいものでした。

「冗談じゃない。こんなの着れるか!」と怒った選手もいたようです。

写真の選手の表情もどことなく恥ずかし気ですね。

 

比較的スムーズに受け入れられたのは左側の2タイプだったようです。

現に私もこの2タイプはTVで見た記憶があります。使用頻度がそれだけ高かったということですね。

逆にビジターの全身黄色タイプとブルータイプは拒絶反応が多かったようです。

 

黒は意外にも受け入れられました。当時日拓が弱かったことが一因です。

「上位チームをいじめて悪役になってやる!」ということで悪役っぽく見える黒いユニフォームをあえて選択したということです。

 

しかしながらこの7色ユニ、様々なエピソードが残っています。

 

1.嫌なデザインはどうしても避ける。しかし球団幹部から「せっかく作ったのだからまんべんなく着用してほしい」というお達しが。その為に派遣された球団職員が選手に「お願いだからこっちのデザインも着用してください。でないと私が怒られます」と泣きついたことがある。

 

2.嫌なデザインを着用する時は監督・コーチ・選手がロッカーで「いいか、1・2・3で全員一斉に着るぞ!」と号令がかかり、各人気合を入れて無理やり着た。

(ちなみに日拓の監督は先日お亡くなりになった土橋正幸氏。)

 

3.間違って違うデザインを持って来てしまった選手やコーディネートを間違えた選手などがいて、他の選手の予備を借りた。そこでユニフォームは球団が一括して球場へ運搬するようになった。これがユニフォーム別輸送のはしりとなった。

 

4.後期の3~4ヶ月程度しか使用されなかったので先発投手の中には7タイプの内一度も袖を通したことがないデザインがあった。

 

5.当時ダブルヘッダーが多く、第一試合に勝つと第二試合でもゲン担ぎで同じデザインを着用したいというのが選手の気持ち。しかし「別なデザインを着ろ」と球団側から要求されて揉めた。などなど。

 

面白いのはこのデザイン採用時の球団側のコメントが「日拓は後期は7色ユニフォームで相手をかく乱します」だったこと。

結局かく乱されたのは相手ではなく自分たち自身だったというオチになってしまったのです。

 

そして日拓は僅か1年で球団を日本ハムに売却。チーム名は「ファイターズ」に変わり、「東急」以来長い間親しまれた「フライヤーズ」の名称は消えました。同時に7色ユニも消滅。

 

当時は派手なカラーユニがまだ浸透していなかった頃。

多かったのは黒や濃紺がメインカラーの地味なデザイン。時期が早すぎたのかもしれません。

でも現代は様々なカラーユニが採用されています。今ならばこの7色ユニフォームもそれほど奇抜ではないかもしれません。

日本ハムファイターズがいつかこのデザインを復刻させないかな、と期待しています。

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