製門戦、林兼商店、洋松ロビンス (大谷球場)
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Mr.black
2016年08月20日 10:41 visibility2718
JABA九州大会のサブ会場だった大谷球場。
この球場の歴史は古く、様々なエピソードを持っています。
元々は官営企業の福利厚生施設として開場。後に日本製鉄が発足すると同社の所有になります。その後、八幡製鉄所→新日鉄へと変わっていく中で社会人野球をはじめとするアマチュア野球の様々な試合が開催されました。高校野球の福岡大会でも使用されています。
↑ 昔の名残りの銘鈑。
名称はその時々で「八幡製鉄所大谷球場」や、「新日鉄大谷球場」などと変遷しています。
ここで行われた試合で最も有名だったのは八幡製鉄所と門司鉄道局(現:JR九州)との定期戦。これは「製門戦」と呼ばれ、時に「西の早慶戦」とも言われる人気の対戦でした。
この他、大洋ホエールズの前身とも言うべき「林兼商店野球部」がここでたびたび試合を行っています。更に後年には洋松ロビンスの公式戦も実施されたということです。
しかし不景気による社会人野球界の斜陽は進み、新日鉄八幡野球部は廃部。この球場の管理は北九州市に移譲されます。(所有は現在でも新日鉄。)
現在、大谷球場の利用率(稼働率)は落ちてきており、老朽化もあって私は「もしかしたら近い将来球場消滅もあり得る」、と危惧しています。
今回、酷暑の中でへばっている自分に鞭打ってここへたどり着いたのはそういうことも一因でした。
本題の球場レポートを。
内野クレー、外野天然芝。芝生はかなり傷みが目立ちました。
両翼102m、センター122m、と広いです。特に両翼の102mは日本国内では破格の広さと言ってもいいでしょう。
ただ、設備面では不備も色々あります。まず照明がありません。
そして内野スタンドは全てコンクリートの階段席。炎天下だったので座面は無茶苦茶暑く、立ち見している人の方が多かったです。
老朽化は顕著でコンクリートがひび割れしている場所があちこち見受けられました。
外野は芝生席。
こちらの方が木陰があり、楽だったので私もここに陣取りました。
外野にはネットが無く、フェンス最上部と芝生席はほぼ面一で視界良好。ただし、木が邪魔になる場所は多々ありました。
そして外野スタンドの最上部は外壁が日陰を作ってくれ、なおかつちょうど腰掛になる段差があるので同じく快適でした。夏は外野が良いです。
ただし構造上ライト側には行けますが、レフト側には行けなさそうでした。
スコアボードはパネル式。右中間寄りにあります。レトロな球場ですね。
佐竹敏之氏の著書「大洋ホエールズ誕生前!」(文芸社刊)には林兼商店(現:マルハニチロ)がここで社会人野球の九州大会を戦う描写があります。
そこでの球場描写では「定員1万人の八幡大谷球場に3倍の3万人が詰めかけた」という部分があります。(←当時の新聞記事からの転用。)
現在この球場の公称収容数は5,000人。しかし2,500人という資料もあり、ここも収容数にかなりのばらつきがあります。実際に見た感じでは「2,500~3,000人くらいが妥当かな」、と思いました。
それにしても「3万人」という数字は本当だったのでしょうかね?当時は今よりもスタンドが大きかったのか?それとも誇大記事だったのか?
一つ言えるのは通路が比較的広かったので「ここに立ち見で無理やり詰め込めば公称の5,000人を遥かに超える人数は入れられるだろうな。しかしそれは酷い観戦状況」ということ。
まあ、昔の新聞記事の興行集客数は結構いい加減などんぶり勘定(あるいは誇大記事)なので実際には無理やり詰め込んで1万人くらいだったと想像しています。
↑ 何故か1塁側だけ水色に塗装されたコンクリート席。
正直設備面では不足だらけですが、それでもレトロな雰囲気が良かったと思います。いつまでも残って欲しい球場です。
最後にアクセス。
JR「スペースワールド駅」の南側から徒歩10分です。ただ、案内が不十分で道順が意外にわかりにくく、その為15分以上かかりました。
その他にバス便があるようです。駅よりもバス停の方が球場の近くにあるようなので便利かもしれません。
写真はスペースワールド。駅のすぐ前にある大きな遊園地で夏休みということもあり家族連れや若いカップルが多かったです。それを横目に一人テクテク歩く球場徘徊者。(苦笑)
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