トンネルを抜けると野球場だった(倉吉市営球場)

  • Mr.black
    2024年09月23日 08:20 visibility473

今回ハシゴ観戦した鳥取県の2球場をレポートします。まずは初日に訪問した「倉吉市営野球場」から。

 

この球場はかなり珍しい構造をしています。試合時に実際に開放されているかどうかは除外して、通常はどこの野球場も出入り口が数箇所あるものですが、倉吉の一般出入り口は1塁側にたった1箇所あるだけです。

 

 

しかも土盛りスタンドをくり抜いたトンネル状の出入り口。看板が無ければ鉄道下の歩行者トンネルみたいな風情です。

そしてタイトル通り「トンネルを抜けたら野球グランドがいきなり目の前にある」状態です。

私自身の経験ではこのスタイルは広島の県営球場(総合グランドとも呼ばれます)くらいしかないですね。

 

(※1)ただし、父母会や応援団専用の別な出入り口は設けてあります。

(※2)出入りのチケット確認はトンネル内で実施。

 

飲料の自販機が場外にありましたが、この球場はやや不便な場所なので飲食物は持参がベストです。

ちなみにトイレも場外にしかありませんので、チケットは常時携行が必須。

 

 

写真右端がトンネルを抜けた先になります。 

グランドは掘り下げ式で内野クレー、外野天然芝。両翼92m、センター120m、と昔の規格です。

照明は6基あるのですが、小さかったので照度は弱いかもしれません。

 

 

スタンドはバックネット裏が長イス。

1・3塁側がコンクリート階段席。ポール際から外野は芝生席。

全体の収容数は公称で約1万人です。

ただし、スタンド最上部が写真のようにかなり広範囲に平らになっているので、ここに立ち見で詰め込めばもっと入るのかもしれません。

 

スタンドには屋根があり、雨や強い太陽光を避けられるのは助かりますが、最前列に支柱が6本も設置されている関係で視界の悪い席がかなり出来ていました。支柱の多さは積雪対策でもあるのでしょうね。

 

 

座るとこんな状態です。汗。

左上に見えている横長の物はカウントランプ。BSOが横並びになっています。

 

 

スタンド最後方はこんな感じ。おそらくはスポーツ記者や記録員用のスペースなのでしょう。ここに椅子を置けば前が机代わりになります。

 

 

スコアボードは右中間寄り。

かなり以前にマイヤキューさんが観戦した時はパネル式でしたが、現在はLED式になっています。

ただし、パネル式時代よりもかなり小さくなって得点・BSO・HEFc・打順表示・時計しかありません。

 

 

フリーボード式なのでこのような表示や他球場の経過も出せますが、いかんせん文字が小さくて遠目では見づらかったです。

 

 

さて、この野球場には出入り口のトンネル以外に「知る人ぞ知る」有名な設備があります。

それは外野のラッキーゾーン。昔は全国あちこちにありましたが、今日では非常に珍しい設備です。

 

そしてライト側の照明は白く囲んだ場所にありますが・・・。

 

 

レフト側はご覧のようにラッキーゾーン内に建っています。これがラッキーゾーンを撤去出来ない直接の要因になっています。

 

何故こんな位置にあるのか?

当初私は「後方がすぐ山で、最上部や斜面に作るのが困難だったから?」と思っていましたが、どうやら法的な規制でフェンス手前にしか建てられなかったらしいです。

これにより奇観球場としてある種「野球場遺産」となっているわけですね。

 

ラッキーゾーンを撤去する方法は、コンクリートの周囲をラバーなどで包むか、あるいは支柱周辺を柵で囲むか、になるでしょうね。どちらにしてもレフト側だけフェンスが多少凸凹になるのを覚悟しないといけません。

MLBでは外野フェンスが凸凹しているスタジアムが結構あり、そういうスタイルも面白いと思うのですが、はたして日本人がそれを受け入れるかがネックとなるでしょうね。

 

 

このアングルだと現状がもっとよくわかります。こうやって見るとバックスクリーンもラッキーゾーン内にありますね。

スコアボードとライトの照明はギリギリ規制にかからなかったのかもしれません。

 

この奇観が残った方がいいのか?無くなった方がいいのか? 判断は難しいです。

何故ならばこの倉吉市営球場の県内での立場が落ちているからです。

 

かつて高校野球(硬式)の鳥取大会は鳥取・倉吉・米子の3球場で春・夏・秋の大会を持ち回りで開催していました。

例えばある年の大会を春:鳥取、夏:倉吉、秋:米子の各1箇所で開催とし、以降は毎年開催季節をシャッフルするという手法を用いていました。しかし現在は倉吉はサブ会場に留まり、大会メイン会場は鳥取と米子のみになっています。

ちなみに今年は、春:米子(倉吉サブ)、夏:鳥取1箇所、秋:鳥取(倉吉サブ)で、おそらく来年は米子が2回メイン会場、鳥取がメイン1回、そして倉吉はサブ2回になると思われます。

そして上記で明白なように、近年倉吉で夏の大会は開催されなくなっています。(2014年が最後の開催だったそうです。)

 

 

これは倉吉の位置する中部地区の野球部員数が少なくなり、メイン会場の地域の学校が負う「大会補助役」の責務を果たすことが難しくなったのが直接の要因ですが、もう一つの隠れた要因は「球場設備の古さ・貧弱さ」と言われています。

 

そうであるならば球場設備の充実が嫌でも必要になってきます。

一方「では過疎化(チーム数や選手数の減少)が解消するのか?」という大きな課題がクリアできる保証はありません。倉吉球場はこれからもこの板挟みになっていくでしょうね。

だから部外者の私には球場の大規模リニューアルへの賛否が示せません。

 

最後に交通アクセスを。 

倉吉駅からバス便があるようですが、便数が少なく上手く合わなかったので往復ともタクシー利用になってしまいました。

片道8~10分くらいで1,800円前後でした。(なお、現金支払いのみ ←訪問時)

 

次回は鳥取市の「布勢(ふせ)球場」について。

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