博美右肩脱臼

博美「もやもやが一気にはれましたからね。たくさん跳んだので膝にもきてますが、ガッツポーズの勢いで右肩を脱臼してしまいました。でもうれしい痛みだね」

ま、それはフィクションだが。東京のプレスに千葉がはまった試合。東京の先発はルーカス＆ワンチョペの２トップに川口、リチェーリのワイドアタッカー、セントラルＭＦを梶山と伊野波が務め、４バックに徳永、今野、藤山、鈴木。ＧＫには土肥。流動的な攻撃というより、とにかく前線から中盤にかけてのプレスが今までの試合とは違った。千葉のスタメンが３バックに池田、中島、水本。両ワイドに水野と山岸。守備的ＭＦが下村と佐藤。オフェンシブに羽生と工藤が入り、巻がワントップ。
ストヤノフが居らず、斉藤もジョルジェビッチもサブに入った千葉は前半から後ろでのボール回しに危なっかしさが漂う。きっちりとしたスピードのパスが少なく、またトラップが次のプレイのために最良の場所にしっかりと止めていないためにリズムが悪い。ワンチョペが今までよりもしっかりと前線から追っていることもあり、ワンチョペよりやや下がり目のルーカス、またスピードあふれる両サイドの川口とリチェーリによるプレスでまったくといって良いほど効果的なボールを前に運べない。ロングボールは頼みの巻が頑張るものの競り勝っても味方の動きと合わず、また今野を相手にするとほとんど前線ではキープできず。
ルーカスの先制点は、彼が最も得意とするペナルティボックス左側から内に切り込んでの右足でファーサイド側を狙ったミドル。その後もうまく前に運べない千葉に次々と襲い掛かる東京が相手のミスを誘って次々と追加点を決めた。千葉、頼みの水野は鈴木が安易に飛び込まないディフェンスでリチェーリと挟み込む場面が多い。途中交代の青木もうまくボールタッチする前に今野、徳永と屈強な選手に体を当てられ持ち味を生かせず。佐藤の胸トラップからのハーフボレー（ドライブシュート！）で１点返すのがやっと。

以下個人採点
東京
ＧＫ土肥６　羽生のシュートを止める。それほど危険な場面はなかった。
徳永６．５　持ち味の体の強さでよくボールを奪った。
今野７　巻と対決した場面ではほとんど仕事させず。出足のよさが目立つ。
藤山６．５　ジェフに青木が入ると巻とのマッチアップが増えたがしっかりと体をぶつけることで競り合い自体は負けてもその後のフォローに今野、鈴木、伊野波が入れた。相変わらずの読みの良さも見せた。
鈴木６．５　水野に抜かれるシーンが予想より全然なかった。リチェーリがしっかりと戻る上に、藤山のフォローもあり、よく攻めにも絡んだ。
梶山６　フィジカルを活かしてのディフェンスが良かった。ボールキープも相変わらすうまい。
伊野波６．５　相手に前を向かせないディフェンスとこぼれ球を拾うプレイが良かった。時折良いミドルパスも。
川口６．５　スピードを活かしたプレイでまず鬼プレス。奪ったらすぐに走り出して右サイドを蹂躙した。クロスの精度が足りない。
リチェーリ７．５　後半途中に彼が抜けてから水野や朴が攻撃にうまく絡んだ。スピードとアグレッシブさで貢献。今季初ゴールも。
ルーカス７　先制点はとてつもなく大きかった。ディフェンス、ポストプレイも効いていた。
ワンチョペ７　来日して最も良い試合。プレスに今までにない貢献。ポストプレイで懐の深さも見せた。チーム全体がこれだけ連動すると活きる。
金沢６　リチェーリに比べると物足りない。まあ鈴木がそれほど前後に走れなくなっていたのも大きいが。
栗澤５．５　４−１とリードしてからの投入というのもあるが守備に追われた。この展開ならば茂庭をゲームならしに入れて、今野を前に上げるという選択でも良かったのでは？
浅利は略。

千葉
ＧＫ立石４．５　ボール回しに難。足元の向上は急務。
池田５　強さは時折見せたが。及び腰（とりわけオフェンスにおいて）。自分が少しでもボールを前に運ぶ、という意識が足りない。
中島４　ディフェンスにおいては強さ、前に出る力がなく、オフェンスにおいては致命的なパスミス、責任逃れのパス。ジョルジェビッチを見てみたかった。
水本５．５　ひどいミスパスもあったし、しっかりとしたくさびも打てなかったが、ディフェンスの強さはやはりある。
水野５　今まで見た水野では最悪といって良い出来。縦に抜けず、中に入っても判断が遅くパスミスあり、クロスも合わず、セットプレイもイマイチ（ことにＦＫ）。疲れがあるかもしれないが調子が悪いときこそディフェンスとシンプルなプレイが必要。１，２度見せたサイドチェンジは素晴らしかったが。
山岸５．５　うまく攻められない中、ミスなく巻、羽生、工藤にボールを当てるまでは良かった。
下村５　短い展開が多くロングパスは精度を欠いた。ディフェンスで力を見せるシーンもあったが。
佐藤５．５　すばらしいシュートも決めたが。起点が出来ないために得意の飛び出しは少なかった。大きい展開もなく、くさびも入れられなかった。
羽生５．５　フリーランニングを繰り返すも後ろできっちり回せないためにうまくボールを受けられず。
工藤５．５　うまいプレイは多かったが怖さなし。
巻５　今野の強さにやられた。足元に受けたときにきつく当たられていないときでも後ろにボールを渡すところは不満。ＦＷはまず反転してシュートというのが第１選択肢でなければ怖さがない。
楽山５　たまにでる大きい展開のときにきっちりとトラップできないためにスムースにいい攻撃にはつながらなかった。
青木５　今野、徳永のフィジカルに悩まされた。裏に抜けるプレイを見たかった。
朴５　積極的なプレイを見せたがクロスが悪かった。

中盤から前線にかけてフィジカルがあるといえるのは巻だけ、という千葉のウイークポイントを図らずもつけた東京といえるだろう（博美は相手どうこうよりまず自分たちという采配が多い）。千葉の中盤は水野、佐藤、下村、山岸、羽生、工藤、とそこそこのフィジカルがあるのは下村くらい。対する東京の中盤が川口、リチェーリ、伊野波、梶山と体の強さがあるセンターＭＦとスピードのある両ワイド。加えてよく下がってディフェンスするルーカスに前に強い徳永、最後にきっちり止める今野らがいては千葉にとっては前を向くのが一苦労だった。