巨人の転換期
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虎男
2017年06月08日 08:22 visibility275
球界の盟主、伝統の巨人軍、常勝を義務付けられた球団、日本最古のプロ野球団、どれも巨人軍に与えられてきた「称号」なのかもしれない。だが、それらを作り上げて来た巨人の先達はもういない。もし、今の巨人選手たちが亡霊のような「V9]と言うとてつもない壁を感じながらのプレーを続けているとしたら、それは今日に始まったことではないし、巨人軍の歴史の中の一コマであって今でもそれに対して「追いつけ追い越せ」とやれるほど、野球がシンプルでは無いことは観客ですら知っていることだ。
巨人の12連敗は球団ワースト新記録だと言う。長嶋第一政権の時に11連敗があった。あの時の状態は私は中学校3年だったから良く覚えている。当時は「お荷物球団」と言われていた広島が山本浩と衣笠の長距離砲コンビが火を噴き、ホプキンス、シェーンと言った外国人選手が機能。さらに池谷をはじめとする投手陣が踏ん張って初のセリーグ制覇を成し遂げた年だ。赤い帽子はあの1975年からになる。長嶋と言う巨星がいなくなり球界自体が急激に変わった年だった。
巨人のファンは毎年毎年「優勝争いに絡んでくるのは当たり前」と言う幸せなファンだと傍で見て、羨ましいと言うよりも彼らはそう言う「幸運を運んでくるのが当たり前の球団を選んだ人たち」だと思っていた。だが、私のように阪神と言うチームに心を奪われたファンたちの場合は巨人ファンの人たちとは全く違う人生を歩まざるを得なかったことを強調したい。それは「どのような女に惚れて結婚したかで人生が決まってしまう」ようなものに極似している。私は今年で50年目を迎えた阪神ファンである。この50年間で優勝を見たのは3度しかない。1985年、2003年、2005年のみだ。しかも日本一は私の生涯で一度だけ。巨人ファンの皆さんにおかれては、爆笑されるほどの少なさだろう。だからといって優勝ができないから他のチームに鞍替えするような「薄情者」ではない事にプライドもある。
巨人のファンには「暗黒時代」なんて言葉はおそらく頭の中にも浮かんでこないだろう。理由はそんな時代など無かったからだ。しかし、阪神タイガースと言う球団は球団のトップ久万オーナーと言う人が「私は野球の事は知らん」と公言して、チームを放ったらかしにした「大罪」がこの結果、この「称号」を生み出したと言える。そう、オーナー自らが作り上げた「弱体チーム時代」であるのだ。そして、20年も経ってから、それに気が付き真剣にやらないといけないとなったのは、自分の地位を揺るがされると感じたからだろう。東京大学卒で、阪神電気鉄道のトップがこのていたらくを生んだ事は「人気商売」に対して勉強もせず、ていたらくなチームに対して何のカンフル剤も打たなかった証拠が「負の歴史」を作り上げてしまった。その間、多くのファンは他のチームに鞍替えし、二度と虎に戻ることが無いファンたちがどれだけいただろうか。
この暗黒時代の試合をどれだけ見て来たか。20年と言うスパンをこの久万オーナーという老人はどう見ていたのだろう。自分のせいじゃあないと思っていたからこそ、何もしなかったに違いない。たかが野球で一喜一憂する人間を蔑んでいたに違いない。もしくは、阪神球団のオーナーなんて「左遷」だと感じていたのかもしれない。そのツケがほかのチームのファンから「阪神を応援するのはマゾヒスト」なんて言葉を何度かけられたことか。
このような暗い時代をどれだけ我慢して野球を見させられたことか。12連敗なんて一過性の物。12回最下位ってのを味わったら、そりゃ毎年の1勝がどれだけ「幸運」であることか、マジで感じるようになる。巨人ファンの皆さんが巨人をこれからも変わらない目で応援して行って欲しい。その先には、必ず満足いく結果が出てくるのだから。栄枯盛衰はどの組織にもある。だが、サポートするファンが、そっぽ向くようになったら、その組織だけではなく、相手チームの方も伸びなくなるのだ。それをどれだけ見たくもなかったのに、見せられたことか。頑張るのはファンの君たちだけじゃあない事を忘れないで欲しい。
- 事務局に通報しました。
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