突破口を開け!

  • 虎男
    2017年10月01日 11:00 visibility276

昨日は久しぶりの草野球の試合。ホームチームの我々は後攻、三塁側ダッグアウト。相手はこちらが創部2年目からおつきあいをいただいている懇意のチームさん。長いこと対戦しているので、相手チームの選手さんとの挨拶も「馴染み」がある。「Mさん、お久しぶりです。」「虎男さん、ご無沙汰してます。」なんて挨拶を笑顔で買わせる事。これは、本当に財産だ。今後も大切におつきあいさせていただきたいチームさんである。

 

試合の勝敗よりも、むしろ色々な点に気がついた面白い試合だった。まず、10人出席者があると思ったら、9人しか集合しなくて、私が久しぶりの守備についたのだが、今までほとんどDH(指名打者)で試合に出ていたので、守備の感覚が戻らない事。そして、バックアップをしなければならないのに、足が出なかった事。この日の私はセカンドについたのだが、守備機会はゼロで、まったくボールが来なかった。相手チームさんの打線には左打者が3人いたが、うちのチームのバッテリーがうまく攻めたと言えるかもしれないが、左打者がセカンドゴロを打ってこなかった。しかし、度重なるサードとショートへのゴロの時にファーストのバックアップに入るべき自分の足が動かない。これは、やはり試合感覚の乏しさと、守備に対しての事前準備の無さがなせる業だった。次回、もしセカンドを守ることがあれば、こんどはイニング交代のファーストからのゴロさばきの練習に捕球して一塁へ走りながら後ろへ回り込む練習をしたいと思う。

 

野球は「心理戦」だと痛感したのは、一死を取られた後、私の打席になった。頭の中では「相手投手に球数を投げさせる」が打席に入る前の「目標」ではあったが、打つ球を絞って打つタイプの人間じゃあないので、たまに中途半端なスイングにボールが当たってしまう事がある。昨日の最初の打席がそうだ。球に当てるつもりは無かったが故に、バットを途中で止めてしまった。しかし、不幸中の幸い、ボールがグラウンドにたたきつけられた分だけ投手の前で高く跳ねたのだ。それを投手が慌てて一度ボールをグラブから落としたのが幸いだった。だが、一塁ベースが遠い。思いっきり走っているのだが、いつまでたっても到達しない。しかし、一塁手がボールを捕った形跡がなかった。しかし、私も足が合わず、一塁ベースをまたいでしまい踏み忘れた形になってしまったのだ。投手が一塁手へ投げたボールが暴投になり、ライトファウルエリアに転がっている間に、本来なら審判からのジャッジが下っていなかったので二塁へ行く選手は多いはず。しかし、私は一塁へ戻った。正直に一塁手のMさんに「実は、一塁ベースを踏んでなかったんですよ。」と言ったら、Mさんが「そうでしたか。」と笑顔で頷いてくれた。草野球は正直にやりたいと常に思っているので、私は、ごまかさなかったのである。

 

その一塁ベース上で私は考えた。この試合の始まる前にメールでチームの全メンバーに「こういう機会が訪れた時に、何が一番相手が嫌がるか」ということで「ランナーが一塁にいて、そこからの攻撃でどうすれば相手チームが”こういう点の取られ方は嫌だな”と思うか、考えてください」と書いて送信したのを思い出した。それには、どれが正解などという事は無いのだが、私が皆に書いたのは、こうだ。

 

イニングのトップバッターが相手投手に球数を投げさせる。そして四球で出塁する。その四球で相手投手が、どういう球種を持っているのか、ボールの速さ、投げるときの癖、リズムなどを後続の打者に伝えられるだけの「データ」を取り入れられることが理想である。すると無死一塁でランナーが出て、次の打者に期待するのは送りバントだ。しかし、初球からやることはない。なぜなら、ここで一番監督としてやりたい作戦は一塁ランナーの単独スチールだ。それが成功すれば無死二塁。その後に送りバントで二塁ランナーを三塁へ送れば、80パーセント作戦は出来上がったと言える。そして次の打者にヒットはいらない。外野フライを飛ばしてもらうだけの事で、それができたらタッチアップで三塁ランナーは本塁へ無事生還して先取点を取ると言う形。すなわちノーヒットで点を取ることなのだ。これは究極の繋ぎ作戦だと私は思う。そして、相手投手にしてみたら被安打で失点したことになる。こんないやらしい攻撃法が続けられれば、ボクシングで言うボディブローの効果が相手の脇腹にじわじわっと効いて来る。私は、これを実行した。

 

自分で「足の効用」を言っておきながら、自分が塁上にいて何もしなかったとなれば「非難をチームメイトから浴びる可能性」が出てくる。別にそれが怖いわけじゃあない。しかし、序盤の段階で1点負けている。仕掛けるなら、点を追う形になっている今である。しかも、私はチーム最年長。そんな監督が1点を追う執念をベンチにいるメンバー全員にどう見せるか。二盗を試みた。うまくスタートが切れてぎりぎりだったが、審判はアウトのコールをしなかった。セーフである。一死二塁になった。ベンチからはジョークと拍手が起きたが、その後次打者が四球、その次の最年少プレイヤーのT君がレフトオーバーの大三塁打をかっ飛ばして、あっという間に逆転となった。

 

帰宅時にチームのO君が車で私の自宅まで送ってくれた。その時車中での話で「あの盗塁は驚きました。」と言われたので「あれは、自ら手本を示したわけじゃあなくて、失敗したとしても、あそこでやるかやらないかが大きな分岐点だったと思うんだよね。あれでじーっと一塁ベース上ではりついていても、状況は全くかわらない。しかし、僕の前の打者が凡退したからこそ、自分が塁に出たら、とにかく同点にするためには足をつかって、最初の打者の凡退をチャラにしてやると言う気持ちから、走ったんだよ。あれってベンチもりあがったでしょ?」

「皆が何も期待してなかったので、凄く盛り上がりましたよ。あれで行けるって思ったと思いますよ。」

 

スポーツには突破口が必要である。それを実感した試合だった。

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