
5年ぶりのリスタート!
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七ツマル
2008年03月14日 01:56 visibility52
2003年3月12日。第1回のACLをバンコクの地で戦っていた鹿島のアジア制覇への道が閉ざされた。1試合残しながらも準々決勝リーグでの敗退が決まってしまった悔しさは忘れられない。
あれから5年。ようやくアジア制覇への挑戦を再始動できるチャンスが訪れた。その第1戦は、偶然にも5年前にアジア制覇への道が閉ざされた同じ3月12日水曜日、そして同じバンコクの地での試合。アジア制覇への道を再び歩み始めるには、でき過ぎなぐらい運命的なシチュエーション。自分自身、試合前は、期待と不安が入り混じった感情を抱いていた。
この試合の不安要素は、暑さ、人工芝、ジャッジの3つ。
5年前は、試合終盤に暑さで動きが鈍り、その結果、相手の攻撃に後手を踏み、後半ロスタイムに地元タイのBECテロ・サーサナに同点に追いつかれてしまっている。そして、土壇場で勝ち点3を獲り逃した影響からか、最後までバンコクの地での試合のリズムがつかめずに、1勝もできずに敗れ去ってしまった。
今の鹿島の戦術のベースは、豊富な走力を活かした攻守の切り替えが早いサッカーである。15時半からのキックオフでの灼熱の太陽が照りつける中、どのようなサッカーを魅せてくれるのか注目していた。
立ち上がり、やはり暑さによる消耗を考慮して、鹿島はいつもの激しいプレッシングをせずに、バランスを整えながら相手の出方をうかがう守備をしていた。攻撃についても、アグレッシブに仕掛けていくというよりは、落ち着いてボールを回して相手の隙を突いていくやり方をとっていた。そんなペースを落としたサッカーをしても、優勢なのは地力に勝る鹿島。相手のクルン・タイ・バンクは、5年前に戦ったときのテロ・サーサナよりも全体的に数段落ちるレベルのように感じた。
しかし、何が起こるかわからないのがサッカーなので、早いうちに得点を重ねて、試合を決めたい。そう思っていた矢先の前半15分。左サイドからのFKのこぼれ球を拾った大岩がゴール前の密集を越えたところへパス。受けた田代がゴール左から蹴りこみ、待望の先制点!一瞬オフサイドかと思うほど、田代はフリーだったが、旗は上がらず。しっかりとラインを上げることもできないクルン・タイ・バンク守備組織の脆弱さが早くも露呈された。
先制点で気を良くした鹿島は、そのまま勝利を確実なものにすべく、得点を重ねていく。小笠原のCKから、頭ひとつ抜け出した岩政のヘッドが炸裂して、2点目。ロングボールを田代が落とし、拾ったマルキーニョスのパスを受けた野沢がミドルシュートを決め3点目。ゴール前の守備に人はいるのだが、寄せ、マークがゆるく、フリーと変わらないような状態でシュートを打てていた。
前半終了して、3−0。ほぼ勝利を手中にしたと言っていい展開。相手の攻撃で怖いのは、高い身体能力を見せている黒人FWのコネのみだった。攻撃の連携も取れていなく、ミスで簡単にボールを失ってくれていた。
後半、なんとしても点を獲ろうと、クルン・タイ・バンクは前がかりになって攻めて来た。しかし、その作戦で勝ちに行くには、あまりにも守備が脆弱過ぎた。DF陣は、競り合いに弱く、フリーランニングで容易に裏を取られてしまう。このような状態の中、鹿島FW陣は、好き放題にゴールを奪っていった。
まずは、マルキーニョスが左サイドを抜け出し、前に出たGKの上を越すループシュート。脆弱な守備陣をあざ笑うかのようにゆっくりとゴール右のサイドネットに入って、4点目。続いて田代が、マルキーニョスのパスで中央を抜け出し、GKと一対一。最初に放ったシュートはGKにぶつけてしまうが、跳ね返りを拾って左に流れゴールに蹴りこみ5点目。
ここで、点差が開き、40度を超える熱さの中、気が緩んだのか、一瞬の隙が生じる。CKから唯一の要注意人物だったコネに頭ひとつ抜け出され、ヘディングシュートを決められてしまった。それでも4点差あり、既に勝利は揺るがないものだったろう。しかし、この失点は、鹿島が気を引き締める良い刺激となり、ここからさらに、得点を重ねていく。
失点の5分後、マルキーニョスがDFの裏を取り、GKをもかわして無人のゴールに蹴りこみ6点目。続けざまにマルキーニョスが、DFと競り合いながらゴールへ向け突進。前に出てきたGKを交わすと、GKとDFが接触し、ゴール前にマルキーニョスの行く手を阻む者は誰もいなくなった。マルキーニョスは悠々とゴールへ向けドリブルし、楽々とボールをゴールに入れ、ハットトリック達成で7点目。続いて、田代と交代で入った佐々木竜太が、交代直後に野沢のパスを蹴りこみ8点目。そして最後、終了間際に、野沢が抜け出し、この試合で何度も目にしたGKとの一対一の場面を落ち着いて制し、無人のゴールに流し込み9点目。
予想しなかった、アウェーの地での9−1の大勝!
暑さにはもの凄く苦しめられたと思う。どうしても集中を欠いてしまうのか、ボールコントロールのミスがあまりにも多かった。曽ケ端のフィードがそのままタッチラインを割るシーンも何度も見られた。また、Jとは全く異なる基準のレフリングにも非常に苦しめられた。どちらかというと鹿島に不利なファールのとり方をしていた。これから、ACLを戦う上で、アジアの基準に合わせたプレイを考えなければならないほど、鹿島のプレイとレフリングの相性は良くなかった。もうひとつの不安要素の人工芝で足がとられる様なことは見られなかったが、正直かなり厳しい条件での試合だった。
それでも、この結果である。それほどまでに両チームの間には、相当なレベルの違いがあった。拍子抜けする感もあったが、アジア制覇へ向け、最高のスタートとなったことには間違いない。
ただ、これで気を良くし過ぎてもイケない。週末にはすぐJの試合があるし、ACLも始まったばかり。これから、連戦が続いていくが、決して気を抜かず、目の前の一戦に集中していこう。そうすれば、札幌戦と、クルン・タイ・バンク戦で戦い方を変えてともに最高の結果を残したように、オリベイラ監督が勝利に必要なやり方をしっかりと示してくれるはずだ!
【Pick Up Players】
☆小笠原☆
念願の6番!いつもどおりの存在感のあるパフォーマンスで勝利に貢献。ただ、いつものボールを奪うプレーに対し、笛を吹かれてしまっていた。これが続くようだと、ACL用のプレイスタイルを考えなければならないかも!?
☆笠井☆
個人的に初めてそのプレーを目にした。チームが疲れている中、交代で入り、積極的に仕掛けてチャンスを創っていたプレーには好感を持てた。途中守備で危険な場面もあったが、ブラジルでの経験も生き(!?)、このような環境でのプレーはまずまず。右サイドからペナルティエリアに切り込んで放ったシュートが決まっていれば、さらに評価が上がっていたのに!- favorite4 visibility52
- 事務局に通報しました。
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