早くも借金4、単独最下位のライオンズ。今できることは何か

オープン戦の戦いっぷりを見ていれば当然ともいえるが、

ライオンズは開幕3カード、8試合を消化した段階で借金4の単独最下位となってしまった。

 

極端な貧打に陥り、采配はすべて裏目。

単に負けているからという以上に試合がおもしろくなく、

チーム状況を象徴するように選手の顔は暗い。

 

スポーツ紙などでは、オカワリ君不在がこの貧打の原因であるように書かれているが

それだけが原因ではないだろう。

チーム全員が貧打に陥っているということは、

キャンプの失敗によるオープン戦の貧打があせりにつながって

負の連鎖が起きていることは明らかで、

故障明けのオカワリ君が居たところで打ちまくっていたという可能性は低い。

 

根本的な解決を図るには、キャンプからやり直せ、いや監督の選定からやり直せということになるが

時間は元に戻せない。

たったの8試合で監督を更迭なんてことがありえればそちらの方が問題なので、

もっと現実的に可能なことを模索していきたい。

 

①練習する

当たり前のことだが、それしかない。

選手たちはキャンプでの練習量、実戦練習の少なさに不安を口にしていた。

それがそのままオープン戦で現実のものとなり、公式戦に入っても解消しなかった。

すでにキャンプ打ち上げから1ヵ月以上がたっているから、

今の状態はキャンプの影響というよりそこから来る負の連鎖だろう。

明らかに全員スイングが鈍い。

すでに休日返上での特打を開始しているということだから、アーリーも解禁してみてはどうだろうか。

まずは他球団をびびらせ続けたフルスイングを取り戻す事から始めるべき。

 

②オーダーの見直し

正月の段階でドヤ顔でオーダーを確定させていたのだから

たったの8試合で覆すのは伊原のプライドが許さないだろう。

しかし、近々でおかわり君をあてにするのは現実的ではないし、坂田は今期絶望。

そもそも前年ろくに試合に出ていないおかわり、一度も規定に到達したことのない坂田を

中軸としてあてにしていた伊原の現実認識自体がおかしいが、

それを今更言っても仕方がないので、いる人間で開き直ってやるしかない。

 

全員打てないのであれば、実績のある選手や少しでも調子のいい選手を上位中軸に起用し、

センターラインは守備重視のメンバーで固めて様子を見るのがいいのではないだろうか。

金子のショートにはこだわりがあるようだが、今のような起用法ではかえって金子をつぶしかねない。

ショートは守備に安定感のある鬼ちゃんでお願いしたい。

バッティングも今のメンバーの中では好調と言えるし。

 

さらに5番ファースト脇谷とか6番DH森本とか明らかにおかしなオーダーは二度と繰り返さない。

他球団のファンからはよほど選手がいないと思われて憐れまれている。

実際、憐れまれる状況ではあるが、さすがに脇谷や直人さんや鬼ちゃんを5番で起用するのは

首脳陣の頭がおかしいだけだろう。

 

5番に守備固め要員の小兵を起用するのは、浅村をバントで送る可能性があるから、

と頓珍漢な事を言っていたが

2アウトで浅村が勝負を避けられた場合はどうするのか。

代打を出すのか?その後の守備はどうするのか?

5番はバント要員→代打→守備固めという起用が望ましいのか?

どう考えてもおかしいだろう。

 

中軸は4番浅村を軸に実績のある栗山、秋山、HRを打ったランサム、将来性に期待をして木村

オープン戦好調だった上本、巧打者の大崎あたりまでが許容範囲。

上位もこれらのメンバーに鬼ちゃんをプラスして固めて欲しい。

また、熊代が不調のようなので、斉藤を試してみても良い。

 

1番栗山、2番熊代にもこだわっているのかもしれないが、機能していない。

2011年に1番栗山出塁、2番原バントで機能したのは統一球+3、4番が中島、中村だったから。

 

足を痛めてもはや鈍足に近い部類になったクリが出塁しても、バント以外の策をとることができない。

であれば1番は足があって選球眼が比較的良い木村か、いっそのこと斉藤でもいい。

熊代はバント失敗で懲罰されるのを恐れて、結果バントだけは決められるようになったが、

すっかり調子を落としてしまった。

下位で様子を見るか少し外すか、ファームで調整した方がいい。

 

7木村、D栗山、8秋山、4浅村、3上本、5ランサム、6鬼崎、2炭谷、9熊代or斉藤

でどうだろうか。

木村が出塁した場合、2番クリなら何でもできるし、

木村が出塁できなかった場合はクリの選球眼が頼りになる。

 

上位につなげると言う意味で7番と9番を入れ替えても良い。

うえぽんが結果が出ないようであれば、6番と7番を一つずつ上げて7番or9番に3渡辺でどうか。

出塁率の高いランサムと秋山の打順を入れ替えても良い。

 

うえぽんを1塁で使うとなると、もう一人キャッチャーが必要となる。

そもそも何でキャッチャー2人制なのか全然わからないので、

右の代打を兼ねて米野、武山あたりを上げておいて欲しい。

 

③選手の入れ替え

インフル渦もようやく落ち着いてきたので、ファームの若手を起用してみたい。

結果が伴わなくても本人にとってもチームにとっても刺激になるだろう。

チームの暗いムードもちょっとは変わるかもしれない。

石川、梅田、駒月あたりを見てみたい。調子が上がってくれば、田代あたりでも良い。

 

山川はそろそろ試合に出られそうという情報もあるので、状態によっては早急に招集したい。

相変わらず無駄に太っていてプロの体ではないということであれば、しばらくファーム調整で。

 

落とすメンバーは浅村、栗山、秋山、ランサム、鬼崎、炭谷、上本以外であれば誰でもいい。

金子と熊代はファームで調整した方がいいかもしれない。

特に金子は少し伊原のプレッシャーから解放してあげたい気もする。

 

学徒動員は避けたいところであるが、森君も見てみたい。

意味不明のキャッチャー二人制で代打策やオーダーも手詰まりになっているので

キャッチャーがもう一人欲しい。

岡田の骨折が癒えれば1軍に固定したところだが、まだ難しいだろうから、

上に書いたように米野or武山か、ファンサービスも兼ねて期間限定で森君を見たいところだ。

 

④戦力の補強

いつになるかはわからないが、復帰の可能性があるおかわり君はともかく

坂田の代わりの5番DH・左の大砲(候補)を早急に補強して欲しい。

ラミレス獲得検討のニュースが報知に載っていたが、今必要なのは左の中軸ではないだろうか。

 

すでに外国人が4人いて枠がいっぱい。

ラミレスなら日本人扱いだし、群馬にいるから手っ取り早い。

さらには人気選手流出でチケットの販売状況が苦しいため、

有名選手が欲しいという理由からのラミレス獲得検討だろうが、

往年の力がないのにビッグネームという選手は貧乏球団には不要ではないかと思う。

 

ラミレスであればランサムで十分だし、

伊原がランサムを中軸に置かない理由は、浅村に続いて右が並ぶのがイヤだということのようなので、

ラミレスでは結局問題は解決しない

 

中古外人であれば、ファーストも守れるクラークもしくはボウカーが適しているだろう。

特にコンプライアンスがどうのとうるさい西武の場合、人間的にも問題ないボウカーが最適。

 

外国人枠がどうのとせこいことを言っている場合ではない。

全くリードする場面がないのに、

勝ちパターンのリリーフPの外国人を二人も雇っているのはぜいたくではないだろうか。

本人たちに落ち度はないが、仮に新外国人の野手を雇うことができたら、

打線がなんとかなるまではランディかボウデンを落とすしかないだろう。

 

枠のことばかりを重視し、ラミレスを獲って来ても無駄金になりかねない。

少なくとも昨年段階で他球団での戦力であったボウカー辺りを狙わねば、何の補強にもならないだろう。

 

もしくはランサムを獲得するにあたって、他にリストアップした外国人選手もいるだろうから

そこからメジャーの40人枠を外れた選手の交渉も検討してみて欲しい。

 

ボウカーのような昨年時点でNPBの実績のある選手よりはギャンブル性が強いが、

40人枠を外れたことで当初の予算よりは安く獲得できるだろう。

 

ラヘアという選択肢もある。

ペーニャの活躍に加えて、仮にラヘアも他球団で戦力になるようなことがあれば、

SBにダメージを与えることができるだろう。

まあ、ラヘアよりクラーク、ボウカーの方が活躍する可能性は高いと思うが。

 

トレードの検討もありだろうが、現在の西武の状況では相手に足元を見られる可能性が高く、

交渉は難航するだろうから、まずは新外国人の獲得を検討して欲しい。

 

⑤伊原のお口にチャックをする

昨日の日刊に涌井が伊原発言に闘志を燃やしているという記事が出ていた。

前年まで自軍の主力投手であった涌井を貶める伊原発言は正直私にとっても腹立たしいものだったが、

そもそもなぜ伊原は不用意な発言で無駄に敵を作るのだろうか?

このチーム状態で他チームの選手を揶揄できる神経が理解できないが・・・。

 

涌井自身、西武との対戦はやりにくい面もあっただろう。

本当の策士であれば、それを逆手にとって、

涌井に暖かい言葉を送ることで、今後も内角を攻めにくい状況に持っていくこともできただろうに、

逆に闘志を燃やさせて何の得があるというのだ?

 

そのほかにも正月の開幕オーダー発表で、実績がありながら外された選手の感情を逆なでし、

オープン戦のオーダーですら自由に組めない状況を作って自分の首を絞めたり、

試合後のコメントで名指しで選手のミスを責め、試合中には懲罰交代を敢行することで選手を委縮させ、

その結果、簡単な作戦でさえも失敗し、

無駄なアウトを増やしてチームは負け続けるという負の連鎖も作っている。

 

開幕3戦目では公衆の面前で銀仁朗をしかり飛ばす場面もあった。

おそらく岡本篤の配球に関して話をしたのだろうが、

構えたところに投げられないピッチャーにリードもくそもあったものではない。

伊原もわかっていて、あえて皆に聞こえるように叱り飛ばしたように思う。

ベンチの空気を引き締めたいとか、そういう理由なのだろうが、

それで結果が良い方向に行くのか?

少なくとも銀仁朗は心の中では反発しただろうし、ファンから見ても気分のいいものではなかった。

 

渡辺監督時代のぬるいやり方が相当気に入らなかったのだろう。

自分の色を出したいということなのだと思うが、果たして恐怖政治でチームが一つにまとまるのだろうか。

勝利に向かって一体感を醸成できるのだろうか。

 

古くは広岡監督の時代、選手たちは食生活にまで口を出す広岡監督に辟易としていたというが、

チームは勝ち進むことで徐々にまとまっていき、

最終的には「監督の言うことを聞いていれば勝てる」と支持者が増えていったという。

 

伊原はそういうチーム作りを目指しているのかもしれないが、

当時の西武は万年Bクラスの暗黒期だったからこそ、

たるんだ空気を一掃する必要があっただけではないだろうか。

 

伊原にしてみれば、5年も優勝していないから暗黒期という考え方なのかもしれないが、

2年連続2位、4年連続Aクラスのチームが暗黒なのだろうか?

そもそも時代が違いすぎるように思う。伊原のやり方は今の選手たちにフィットするのだろうか。

 

前年が最下位のチームであれば、それ以上下がりようがないので、好きにすれば良いと思うが、

前年2位より上ということは優勝しかない。

優勝という結果を出せないのであれば、前任者と違うやり方をやった意味はないとも言える。

 

それに広岡監督が厳しく指導していたことは体調管理や技術面であって、

今となっては当たり前のことである。

構えたところに投げられないピッチャーの配球に関してキャッチャーが罵倒されるという理不尽なものではい。

論理的な整合性のない恐怖政治に意味はあるのか?

 

8試合で結論を出すのは早いかもしれないが、

オリックス、巨人と石もて追われるように辞めていったことを思い出し、

組織のリーダーとして、どのような言動が適切か、再度考えてから行動するようにしてほしい。

ってか誰か止めないの?

 

⑥自己満采配を改める

「機動力野球こそ私の真骨頂」と言わんばかりにオープン戦からエンドランや盗塁のサインを出しまくっているけれど、決まった試しがない。

さらにはトップバッター出塁後は判で押したようにバント。

こちらもさっぱり得点につながらない。

 

作戦自体は場合によってはありだが、乱発すべきものではないし、

そもそもの成功率が低ければ、相手を助けるだけである。

 

どうしてもやりたいのであれば、キャンプで実戦練習を積み、

できなければできるまで練習するなどの努力を重ねるべきだった。

 

伊原体制は秋季キャンプからスタートしたはず。

今更「できない選手が悪い」では通用しない。

あなたにはこのチームの何が見えていて、これまで一体何をやっていたのか、と聞きたい。

 

できないならできないで、オープン戦で見切るべきだったが、

公式戦に入っても爆死し続けている。

ただでさえ1割打線でろくに出塁できないのに、

自らアウトになっていては全力で負けに行っていると思われても仕方がない。

正直ここまでの6敗のうち、無駄に伊原が動かねば2つぐらいは取れたのではないかと思わないでもない。

 

おそらく伊原としては成功率そのものより「仕掛けてくるチーム」という印象を付けることを優先しているのだと思うが、

そのために今は負け続けていいのだろうか?

甚だ疑問である。

 

それ以上に問題なのは、なぜ失敗をするのか、ということだ。

もちろんキャンプでの練習不足という側面はあるだろうが、

渡辺監督時代はエンドランを空振りするなどということはほとんど起こらず、

効果的に決まっていた。

 

では、なぜ失敗をするのか。

おそらくそれは、選手と監督の信頼関係が違うからだろう。

2軍のピッチングコーチ→2軍監督→1軍監督を歴任してきた渡辺前監督は都合10年間、

今の選手たちと指導者として接してきた。

当然個々の選手のタイプや性格も熟知しているだろうし、

そもそもの人間性もあって選手たちから非常に慕われていたように思う。

そして一番の特長は「積極的なミスは叱責しない」ということだった。

グリーンライトの選手が盗塁死をしたとして、それはグリーンライトを与えた監督が悪い、

失敗することが問題の場面であったなら、「走るな」のサインを出さない監督が悪い

という考え方だった。

 

一方、伊原監督は就任会見の際、

真っ先に名指しでヘルマンの盗塁成功率が低いことを問題点の一つとして上げた。

この発言の背景には日本人選手のミスを指摘するより、

外国人であれば日本語もわからないからいいだろう、という意識があったのではないか。

しかし、現実には外国人は新しいボスには敏感なものだし、通訳だって当然いる。

 

この発言がヘルマンの流出にどれくらい影響したのかは不明だが、

プライドの高い元メジャーリーガーが何のコミュニケーションもとったことがない人間から

いきなり自分のプレイスタイル否定をされて良い気持ちがするはずはない。

1年契約の外国人、それも来年契約を継続してくれるかどうか不明な外国人選手に

言うべき言葉ではなかった。

戦力になっていない選手であればともかく、

最高出塁率のタイトルをとって貢献してくれた選手だったのに。

 

この発言で重要なのは、ヘルマンの流出という結果以上に

ミスを認めないと宣言したことだ。

 

そりゃミスはしない方がいい。

しかし、野球はミスをするスポーツであり、それを前提に逆算をしていく必要がある。

 

ミスを減らす方法の一つとして「積極的なミスは責めない」という方針を打ちだすことで

選手を呪縛から解き、結果、成功率を上げるというのが渡辺流のやり方だった。

渡辺監督の方法も賛否両論はあるかもしれないが、

少なくともここまでのエンドランや盗塁の結果を見る限り

渡辺流の方が結果を出していたように思う。

まあ、伊原方式はサンプル数が少なすぎて比較するのは酷ではあるが。

 

そもそも、バントやエンドランや盗塁は作戦としてどうなのか、という問題も検証せねばならない。

現代野球の考え方で行けば、得点効率を上げるために重視すべきは出塁率と長打率である。

野球というのは27のアウトを献上する間にどれだけの得点を取るかを競うスポーツであることを考えると

当然のことながら、自ら1アウトを献上するバントは、戦術の一つであってもセオリーではない。

僅差でリードをしているゲームの終盤や短期決戦でどうしても先制点を獲りたい場合であれば、

それなりに有効だろうが、

開幕戦やルーキーの初先発と言った明らかにピッチャーが固くなっている場面で

先頭打者をストレートのフォアボーールやヒットで塁に出してしまった場合、

簡単にバントで1アウトをあげてしまうのは、愚策と言えるのではないだろうか。

 

日曜日のオリ戦では、1点リードされた9回表、1アウト1塁の場面で

金子にスリーバントを命じ、結果失敗をして敗戦というできごとがあった。

金子は伊原監督自らがその足の速さにほれ込んで、すべての技術で未熟にも関わらず

ショートで起用し続けている選手である。

1塁のランナーは金子と並ぶ俊足ツートップの斉藤。

普通に打たせてもゲッツーの可能性は低い場面、しかもピッチャーは剛速球投手の平野である。

 

このような場面でヒッティングでゲッツーにならないために、金子を起用しているのではないか?

斉藤を代走に出したのではないか?

1アウトでバントという愚策もさることながら、

明らかにプレッシャーを感じている2年目の金子がスリーバントを決めることができると本当に思っていたのか?

そこまでのリスクを負ってツーアウト2塁の場面を作ったところで、

後ろの打者がヒットを打たないと終わりである。

同点の場面ならまだしも、1点負けている場面での9回の采配としてこれはどうなのだろうか。

 

この作戦は5番ファースト脇谷と並んで「世紀の愚策」として、伝説化していく類のものだと思う。

こんな采配を阪神あたりでやっていたら、今頃関西のスポーツ紙はハチの巣をつついたような騒ぎだろう。

ファンの声が小さいチームは本当に残念。

 

こんなあり得ない采配を繰り返して負けていては、

ただでさえ少ないファンが今以上に球場に足を運ばなくなるだろうし、

ファンもさることながら、選手たちもあきれているのではないかと思うのだが・・・。

 

伊原もさすがに愚策であることはわかっていると思う。

「目の前の勝利より金子の成長が重要。このプレッシャーが今後の成長につながる。

シーズン後半に必ず返ってくる」と考えているような気がする。

しかし、オープン戦ならまだしも、これは金を取ってみせているプロの興行である。

勝ち目がないのであればまだしも、1点差ゲームで同点のランナーが出ている場面なのに。

 

育成したいのであれば、2軍でやって欲しい。

金子にしたって、この経験を元に成長するというよりは、

自身の失敗によってチームがまた負けてしまったという事実を背負いこんでつぶれてしまいかねない。

まあ、スリーバントが決まっていたとしても、勝てた確率は低いとは思うのだが・・・。

 

また、外野の前進守備が好きなようだが、これも場面と打者を見た上で臨期応変に対応してほしい。

今年のボールは飛ぶ。

先進守備があだになって、外野を抜かれているシーンをすでに二度は見た。

 

試合の序盤は動かない。

指示を出すとすれば、ボール球を振らない、ファーストストライクから振っていく、

追い込まれたら極力球数を投げさせる。

バント以外での進塁打の指示はあたったらゴーぐらいでいいだろう。

動くのは僅差の中盤以降でお願いしたい。

エンドランや盗塁よりも狙い球を絞るなどの指示をお願いしたいのだが、できているのだろうか?

 

今は難しいかもしれないが、そもそもの「機動力野球」が本当に有効かどうかも見直して欲しい。

外国人選手の選定を見るに、編成とスカウトは現代野球を理解し、良くやっていると思う。

出塁率と長打率を重視するという編成はクリとオカワリの優遇、

ボールが変わったことを考慮し、

ヘルマンと同様、出塁率が高くヘルマンよりHRが打てるランサムの獲得などを見れば意図はよくわかる。

 

新外国人にしてもDHでよければ、ザ・パワーヒッターを獲得できたのかもしれないが、

ライトに坂田ではなく伊原好みの選手を起用したいがため、坂田がDHに回ることになり、

その結果守備のできる外国人ということでランサムになったのだと思う。

現場のオーダーにはスカウトはよく応えているのではないだろうか。

レイノルズは近年パリーグで好成績を残しているタイプのピッチャーそのものだし、

よくぞみつけてきたという印象を持つ。

 

しかし、せっかくの効果的な編成も伊原がスモールベースボールにこだわりすぎると無駄になってしまう。

今後野手の調子が多少上向いたとしても、

エンドランや盗塁はリスクの高い作戦であり、主軸に置くべきものではない。

取れる得点も取れなくなってしまう。

 

伊原が理解すべきは、西武の本拠地は西武ドームであると言う点だ。

まだ春先なので目立たないかもしれないが、西武ドームはパリーグ1の高PFの球場である。

おかわり君優先の契約、山川の2位指名などは、今のところ機能していないだけで

西武ドーム本拠地の球団としてはフロント判断は間違っていない。

 

ランナーをバントで進め、1点を守りきる野球は日本ハムや中日がやるべき野球であり、

実際この2球団はそのやり方で勝ってきた過去もある。

 

西武ドームはセリーグでいえば、神宮やハマスタのような球場である。

ヤクルトや横浜が「投手力中心の1点を守りきる野球を目指す」と方針を掲げたら「は?」と思うだろう。

西武ドームで勝つためには打ち勝つことが必要であり、

伊東時代からそういう方向の転換を図ってきたのはよくわかる。

 

東尾時代は投手力中心で勝ってきたじゃん、という意見もあるだろうが、

それが可能だったのは時代が違うから。

PFは相対的な指標である。

西武ドームは移転をしていないが、パの他球場は神戸→大阪、大阪→仙台、東京→札幌と移転をし、

相対的に西武ドームのPFが上がった。

その時代が伊東時代でかつボールが飛ぶ数年間もあった。

年々温暖化も進行しており、それに合わせて夏場の西武ドームのブルペンの消耗度も増している。

2009年には新座席の設置でさらにフィールドがせまくなったということもあった。

 

日本ハム、中日、巨人、横浜、ヤクルト。

結果が伴っている球団とそうではない球団があるが、

NPBの各球団が本拠地の特性と生かした野球をしようという編成と作戦を進めているのは明らかである。

 

伊原は過去の成功経験にとらわれてはいけない。

上記のような球場の環境変化だけでなく、球団を取り巻く状況の変化も理解をしてほしい。

伊原が走塁コーチとして結果を出した80年代~90年代、監督として結果を出した2002年と今は時代が違う。

かつてのパリーグは今のセリーグ並みの格差リーグで、その中で西武は勝ち組だった。

2002年も十分その名残があった。

しかし、今は資金力で圧倒される落ち目の球団であることを理解しなければならない。

 

昨年までのパリーグは激戦だった。

それは貧乏な西武やロッテが育成力と監督を中心とする団結力や采配の力で

SBや楽天のような豊富な資金力を持つ球団に対抗できていたからだ。

しかし、一つ間違うと西武はパリーグの横浜、ヤクルトになりかねないし、

一度落ちてしまうと復活はなかなか厳しいものとなるだろう。

豊富な資金力を誇るオリックスですら、再浮上に長い年月がかかっている。

 

このまま最下位固めが進めば球場はビジターファンばかりが目立つようになり、

またもや身売り論がささやかれるようになるだろう。

買ってくれる会社があったところで移転もあるだろうし、

なければ、今度こそ球団消滅、1リーグ化が進む可能性も高い。

 

西武の上場が正式に決まった。

それは同時にサーベラスへの対抗するための道具として、

ライオンズを維持する必要がなくなったこととイコールでもある。

 

対抗策はまずは勝つこと。

ファンにとって魅力的な野球を展開し、ファンの維持拡大を図るしかない。

 

それが無理であれば、その時こそ伊原監督、あなたの処遇からまずは検討されるべきだと私は思っている。

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