巣立て!

  • HiRO
    2007年04月10日 01:25 visibility87

「気持ちでいけ!!」
5回裏の攻撃前。1点のビハインド、大人しい打線へ、王貞治の野太い声が響く。

和田と元Eaglesグリンの先発。

初回、和田がポン、ポン、ポンッと簡単に三者凡退に封じれば、グリンも大村、宗の1、2番を斬って2死。
この日も3番は多村ではなくブキャナン。そのブキャナンがライト前への軽打で出塁すると、信彦は四球、迎えるは小久保。甘く入ったど真ん中のボールを振り抜くと、レフトスタンドへ突き刺さる先制の4号3ラン。またも2死からの得点。

が、和田が点を獲ってもらった後に、簡単に点を獲られる。
2回表、ヒットの稲葉を置いて、グリーンのタイムリー2ベースに田中幸雄のタイムリーで2失点。
さらには、3回表、先頭森本にヒットを与え、セギノールにストレートを続けて逆転2ランを被弾。

いくら、和田の投球がタイミングをとりづらいとはいえ、真っ直ぐを4球も続けりゃね。完全にバッテリーミス。しかも真ん中に入ってしまった。

その後、ゲームは膠着状態に。和田は、変化球を交え緩急を使い初め、4回、5回と無安打。

そして、5回の裏に暴投の王監督の檄。
「気持ちが足りない。気合を入れて行け!」

迎えた6回裏。
「監督にハッパをかけられて気合が入った」という先頭信彦の初球。外角高めへの真っ直ぐ。レフトポール際への同点2号弾!

続く小久保が四球を選んで、柴原はフルカウント。インコースへのスライダーがやや甘く入って逆転2号2ラン!

8回にも、信彦の痛烈なライト線2ベース、犠牲フライによる3進後、柴原のダメ押しとなるセンターへの犠牲フライで1点を追加。

打線に負けを消してもらった和田は、8回まで投げ、4回以降は無安打の好投。安打を許したのは2、3回のみ、5安打、13奪三振。
ちょっと配球が甘いというか、ね。

9回は、馬原で恒例4人締め。

MK砲の共演に柴原の活躍で、前日の嫌な負けを一蹴し、連敗ストップ。
親父の一喝に応えた格好ではあるが、なんやろう。手放しでは喜べない。

三冠王もいて、小久保もいて、それで親父に活を入れられんと駄目なんか?
王さんが現場を離れたらどうする?

今までは、現場で指揮を執る親父に応えてれば、それで良かったかも知れない。
が、これからは違う。
親父が現場にいようといまいと、己に活を入れ、自ら奮い立たせていかにゃならんときが近づいとる。親父に一喝されて目が覚めとるようじゃ先が思いやられる。

王さんという親父と息子達の物語、その最終章は、おそらく、そう遠くない現実のものになりつつある。その最終章で語られるべきは、王貞治のもとで育った若鷹達の巣立ち、即ち、王イズムの体現者として、自立した野球人の姿であるべきだ。

王貞治がベンチにいなくとも、その王貞治から受け継いだスピリットをもって、チームを、己を鼓舞し、奮い立たせることが出来る。個々の選手がそうなることこそ究極の姿だろうし、そうあらねばなるまい。

松中信彦は、王貞治の技術を継承し、昇華させつつある。
が、そのスピリッツも含めて、という意味では、まだまだ全然ひよっこ。開幕から観る限り、小久保のほうがまだまだ全然上。小久保の、初回の先制を賭けた場面での集中力は凄まじい。

目先の勝利に浮かれるな!
満足するな!
王貞治に喜んでもらうことを目標にするな!
王貞治が舌を巻いて退陣を決意するくらいのものを見せろ!

若鷹達よ、巣立て!

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