仰木彬がいたなら
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HiRO
2007年01月14日 23:55 visibility631
ノリがもめとるこのタイミングで、ちょうど、金村義明の「仰木彬 パ・リーグ魂」を読んだ。
金村といえば、野球理論はともかく、どの解説者よりもパ・リーグの試合をよく観ている。それはプロ野球ニュースの解説にも充分に活かされており、他のパの試合をほとんど観ていない解説者との差は歴然。
近鉄時代に仰木彬のもとでプレーした金村がホスト役のCSのオフ企画番組「ガンバレ!日本プロ野球」での仰木彬との軽妙な会話からは、かなり親しそうな2人の関係が伺えた。
本書では、近鉄に入団した金村の野球人生、引退後の人生を通して、仰木彬との交流を描いている。
当時の近鉄選手の目から見た、近鉄という組織に対する諦めにも近い気持ち、それでもなおチームを、パ・リーグを愛し続けた金村と仰木彬の野球人生。それが、時に愉しく、時に熱く、時に切なくほろ苦く活き活きと描写されている。
パ・リーグ好きとして、読み出すとグイグイ引き込まれ、一気に読み干してしまった。
パ・リーグファンにはお薦めの一冊だ。
これを読み終えた翌日、ノリの退団が決まった。
オリックス。
名門Bravesの名前を消滅させたばかりか、BlueWaveとBuffaloesの合併でBuffaloesを名乗るも、そのどちらをも継承しようとしていない。「がんばろう神戸」の合い言葉は遠い昔。もはや神戸でもなく、何処に向かおうとしているのかが見えない。
谷を放出、ノリも放出。そうやって、チームの伝統を紡ぐ重要な選手を放出し、弱体化させてきたBlueWaveの歴史を繰り返そうというのか。それで、弱体化したチームの観客動員が伸びないとばかりに、再び球界再編を迫ろうというのか。
BlueWaveとBuffaloesが合併したときに、その2チームでの監督経験から、この異なる2チームの選手を束ねるのは他にいない、との声を受 け、69歳の高齢で、しかも病に冒された身体でありながら、監督を引き受けたのが、自ら「パ・リーグの宣伝部長」を名乗り常にパ・リーグを盛り上げること を考えていた仰木彬だった。
そんな仰木彬の熱い想いをも踏みにじられる気がする。
MLBを断念してまで近鉄Buffaloesでの日本一を望んだノリだったが、球団合併によってそれは叶うことのない儚い夢と消え合併球団でのプレーを拒絶、単身海を渡る。例え、3AであってもオリックスBaffaloesではプレーしない。
そんな気持ちに理解を示し、MLB行きを決意させたのも仰木彬の一言なら、そんなノリの気持ちを融かしたのも仰木彬の生前の直接の電話。
「帰って来い。オリックスで頑張ってくれないか。」
仰木彬が生きていたなら...決してこんなことにはならなかったろう。
今はただ、ノリがプレーできることを祈るだけ。
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