NPBが目指すべき形 モデル例(その4)

  • DIME
    2007年02月08日 00:19 visibility108

遅くなりましてすみません、その4です。

開放型モデルが理想といっても日本の報道では大多数が感情的な理由から閉鎖型前提で議論していますのでピンと来ないと思います。

なので大雑把ではありますが、 全体像を考えてみたいと思います。ほんと大雑把ですが(笑)


まず多くの方がご存知だと思いますが、韓国・台湾ともに現在身売り球団を1つずつ抱えています。近鉄の頃を思い出していただければわかると思いますが、こんな時期になってもまだそれが続いているのはあまりに異常事態です。

話が逸れますがなぜこうなっているかというと、簡単に言えば親会社がスポンサーであるメリットがなくなっているため、他に名乗りを上げる会社がないからです。

なぜメリットがなくなったかといえば、この2国のリーグは閉鎖型にもかかわらずトップ選手はすべからくリーグの外側に行っているため野球人気が外側に流れてしまっているから。簡単に言えば閉鎖型NPBの未来を地で行っているわけです、大いに参考にすべきだと思います。

話を戻すとこの際それはNPBにとってはビジネスチャンスです。韓国・台湾に関しても取り込んでおくほうが賢明でしょう。そして取り込むのであれば自由参加である開放型は非常に有利に働きます。

リーグの市場としては日本だけでなく韓国・台湾、将来的には中国も含めた東アジアを想定します。


リーグ構成ですが基本は10〜14球団ほどで1部、同数以上(変動OK 後述)で2部、ここまでがプロorセミプロとして構成されるでしょうか。現在のプロ野球チームに加えてアマの社会人強豪チームを母体としその親会社をメインスポンサーとして期待します。

もし閉鎖型モデルの場合だと大きな参入障壁が必要でかつ全体でのリーグ反映にむけた努力が必須条件になってきます、それはつまり社会人チームを抱えるより何倍もお金がかかるということですからアマ強豪チームが参入してくる可能性はゼロに近いし、だから現実にプロに参入させてくれという声が上がってこないわけです。

開放型モデルであれば参入障壁は低く閉鎖型モデルよりお金がかからないのは確実ですから、閉鎖型でそれを望むよりは実現性はあります、それでも理想ですが。

閉鎖型モデルではどうしても参入障壁を設けなければならないため、基本的にリーグの拡大は難しくなります。逆に開放型モデルであれば参入障壁を設ける必要はないため容易です。実際にJリーグの歴史を見ればわかると思いますが、開放型にすることで地方からのチーム作成構想が生まれ、それが実を結んでいる事実もあります。

構造上「注目ポイント」をリーグ優勝だけにしかすることの出来ない閉鎖型と違い、開放型であれば「入れ替え」や「カップ戦」、「トーナメント」など多数の注目ポイントを作れます。

開放型にすれば優勝を望めるチームが少なくなり、リーグの魅力が薄れるというのは「リーグ優勝」にしか価値を求めてはいけない閉鎖型モデルの特性になれてしまっているための誤解であり、実際の開放型モデル実例(Jリーグなどがわかりやすいでしょう)を見れば、優勝の望みがないチームであっても他の「ポイント」を絡ませることで1部に存在することは何の問題にもなりません。

つまり「開放型にすれば優勝を望めるチームだけで1部を編成することになり衰退化する」というよく聞かれる主張はただの勘違いに過ぎず、むしろプロ野球の拡大構想に一致するのは開放型であるのは疑う余地のないことでしょう。


試合形式としては1部が今のプロ野球に準じて140試合程度。仮に12球団でやった場合各対戦主催6とすれば6*2*11で132試合になります。 たぶんこれでもちょっと多いかもしれませんが。

なぜ多くなるかというと、年間のリーグ戦以外にもいくつか試合形態を持たせるからです。具体的に言えばワンマッチトーナメントと数試合で決着をつけるトーナメントを追加します。

閉鎖型ビジネスモデルの成立条件としてはどうしても「優勝不確実性を高める」事がある以上「優勝」に価値を見い出す必要があります、「優勝」の乱発が出来ません。もし優勝を乱発することになるとそれだけ「リーグ優勝」の注目度が相対的に下がることになり、そこを頂点とするというモデルが崩壊するからです。

それとちがって開放型モデルであればリーグと同時に別のトーナメントを設けてもビジネスモデルの弊害にはなりません。

2部に関しては100試合前後を予定しています。ただ2部は今のプロ野球のように毎日行うのではなく、週末開催と短期集中開催を併用することで試合数をさばいていきます。

まず週末開催に関しては基本的に1部と抱き合わせで行います。具体的に言えばダブルヘッダー或いは隣接球場での開催(もちろん時間はずらす)です。短期集中開催に関しては連休などにあわせて数チームを集めて一気に消化します。4チーム集めて総当り2試合ずつで12試合とか。1日2試合ペースとなりますが、その分平日を休みとします。

集中開催することによるメリットは経費削減です。地方にチームが拡がるのはそれだけ移動費がかかります、これが現2軍が地方に分散しない一番の理由です。逆に地方であっても参加しやすい環境を作るためには短期で集中して開催することで「何度も移動費がかからなくて済む」ことが必要です。特に韓国や台湾を取り込むのであればこの点をどうにかしておくことは必至です。

1日2試合を達成するために2部であってもある程度の選手数の確保が必要になりますので、選手の雇用を確保することにもつながります。

3部以降は現在のアマチュア野球を吸収することで彼らが行っている試合を踏襲します。内容としてはトーナメント戦が中心になるかと思いますが、ある程度はやむをえないと思います。

1部と2部の入れ替えに関しては、リーグ戦成績によって自動昇降格とします。これは野球の特性を考えるとあまり短期決戦が向いていないからです。

2部と3部の入れ替えに関してはチームの実力もそうですがビジネスとして成立するかどうかを見極めて、その上で代わることとします。アマチュアとプロの入れ替えですから戦績以外重視です。またビジネスが成立しえるのであれば入れ替えでなくただ追加するのでも構わないでしょう。

あまりにチーム数が多すぎなければ増やしていけば構いませんし、その先の目標として逆に30チームぐらいビジネスとして成立するようになってくれれば今度は2部を更に分割して3部までプロ化し、2部と3部は自動昇降格、3部と4部がこれまでの2部と3部という形に間を1つ追加すればいいだけです。




次に選手に関してですが、1チームが抱える選手人数としては40名程度を想定しています。現在プロ野球が抱えられる選手数は70*12の840名ですが、40名前後とすれば今のプロレベルの選手クオリティ(試合でなく)を21チームまで抱えられます。韓国・台湾の選手レベルまで期待すれば理論上は現在の2軍やトップクラスのアマ野球レベルの試合クオリティは2部まで確保できるでしょう。

40名では1チームが1年間戦い続けるには少なすぎると思われるかもしれません。ところがデータを見ている人はご存知だと思いますが、各球団が1年間戦った後に1軍で記録が残っている選手は野手・投手共にそれぞれ25名前後なんです。しかもそこには10試合にも満たないような「体験参加」も含まれているのでそういう選手を除いてみるとだいたい40名で1シーズン戦っていることがわかります。もちろんこの数字は怪我人とかが出ていること含めてです。

開放型にすれば自前で「2軍」を抱えている必要はありませんから1軍が1年戦える人数を確保していれば十分です。現在の「2軍」が行っているような育成は2部以下で行ってもらい、移籍金によってそれをビジネス化します。

ドラフトはなし、もちろん球団の選手の留保権もなしです。契約期間の満了に伴って自由に移籍する権利を得ます。ただリーグとしてリーグ外への移籍(つまりMLBを想定しています)には制限を設けます。

契約金に関しては形態として廃止し、最初に契約するチームが所属する階層によって一定の準備金を支払うことにします。裏金の問題に関しては最初の契約では長期契約を結ぶことを禁止する、重いペナルティ(降格&罰金etc)を課す、各球団に決算の提示を義務付ける(この辺は後述)ことで対応します。

特に大事なのは、最初の長期契約の禁止です。

現実の違法行為もそうですが、罰則で封じたりするのはあまり効果がありません。それよりもそれを行うメリットをなくす事のほうが問題解決としてはスマートです。

では裏金や契約金の高騰が起こるメリットは何でしょうか。そうすればよい選手を長年自分たちが強い立場で拘束できるからです。先に数億はらって先物買いしておいても、その選手が球界最高クラスの選手となったときに昔なら引退するまで今ならFAまで安く囲っておけるからです。

しかし最初に契約してもそこから長い期間拘束できなければ、最初に大金をかけてまで獲得するメリットはなくなります。実際にサッカーなどであまりこういう問題が起きないのは対策をしっかりしているというより、こうやってするメリットをなくしているからです。


その代わり、選手側のメリットとして最初であっても年俸に関してはあまり制限を設けません。野球に関してはプロ入り後すぐにでも活躍できる選手がたまに現われますからそういう選手に関しては若くても自分の能力に見合った金額を獲得できるようにしておくべきです。 

ただ新人選手への金額が獲得競争に伴って高騰することを避けるため、該当リーグの選手平均年俸のXXX%という形で設定し、同時にチーム側に対して新人の年俸がチーム全体の年俸のXX%を超過したら罰金を払うとすることで高騰を防止します。

こういう形にすると一部の球団にどうしても良い選手が集中してしまうと指摘されることが多いです。実際にそういう傾向は見られるでしょうがそれがリーグが成立し得ないほどにまで拡大することはないと私は考えています。 

お金をしっかりかける球団が生き残り(これは開放型にすれば自然とそうなる)、活躍すればお金がもらえるという2つの当たり前の事が当たり前に達成されるようになれば、選手はお金をもらうためには「活躍の場」が必要になります。

強い球団だからといって活躍の場が他の倍あるわけではありません。となれば選手はまず「活躍の場」を確保することを重視しなければいけなくなりますから一部球団にだけ集中できなくなります。

むしろ同じ金額を提供してくれるのであれば、いい選手がいないほうが同じ活躍をしても目立ちますからそちらにいくでしょう。

問題は全ての球団が選手に対して金銭的な評価をしっかりできるかであり、それが出来ていれば過ぎた寡占は発生しません。そして現在のような閉鎖型モデルではそれが出来ていないのは明らかですが、開放型にすればそういう努力不足の球団は自然淘汰されます。


選手の異動に関しては、移籍金を認めます。これによって下部リーグのチームが「育成」をするメリットが生まれます。もちろん選手異動に関しては時期制限も設けます。その制限がないと優勝が望めなくなった球団が高年俸選手を放出しまくることになりますので。

ちょっとこの辺はまだ細かく考えてはいないんですが、高騰しすぎないような対策で、チーム総年俸などを基にした制限などでしょうか。あと移籍金の一部をリーグが回収して運営費に回す。リーグの回収比率を変動させて若手を育成しての移籍はリーグ比率が低い、逆に高年俸選手を移籍させるときはリーグ比率が高いなどをすることで上記の対策にもなります。またチームが得た収益をチーム間だけで動かすだけでなくリーグが回収することでリーグの弱体化を防ぎます。

正直まだこの辺は考えが足りてないんで、もうちょっと検討が必要でしょうけど。

MLBへの移籍に関しては全ての移籍においてリーグ側にメリットが生まれるようにします。選手は大事な商品ですからただで譲り渡すことだけはあってはなりません。現実としてはポスティングシステムはこちら側とすれば非常に優れた制度ですので基本はこれを踏襲することが望ましいのではないでしょうか。



んで次にリーグ全体での補助の話です。もちろん開放型モデルですから収益分配制度は弊害を引き起こすだけですので行いません。

とは言えそれとは別に「リーグ全体が発展する」という観点が抜け落ちがちな開放型モデルの特性への対策は必要です。

対策が必要な点は2つ、1点目が前にチラッと書いたんですがフランチャイズ差の是正です。この是正を図ることで小さな地方都市でも努力さえすれば大都市球団と渡り合えるわけです。開放型モデルで自由に参入できるとしても参入しやすくなければ意味がありませんから、参入可能に必要な市場規模のレベルを下げることが必要です。 

これに関しては、一定のフランチャイズ市場規模から生み出す金額目標をリーグ全体で設定し、それを実際のフランチャイズ規模に掛けた金額を各チームから回収して分配します。

ここで大事なのはMLBのように実際に入った収入からでなく市場規模から算出した目標値を基に回収することです。だから市場規模が小さくても努力が低くて稼げていない球団はマイナスになりますし、市場規模が大きくても平均以上に稼げている球団はプラスになることはなくてもマイナス幅が小さくなります。

努力無しには稼げない、努力しなくてもお金を得られる事がないようにすることが大事です。

もう1点は、下部リーグへの補助です。まず上記の1点目の対応時点で下部リーグに関しては1部リーグより係数を低くすれば差額が実質的な補助となります。

また最初に書いたように1部と抱き合わせで試合をすることを通じても補助を行います。この時に当日全ての興行で発生した売上を定数配分とします。

単純に抱き合わせたとしても1部側にメリットがありませんから2部の試合までプロモーションしようとはしないでしょうが、 1部の試合も含めた売上を配分されてしまうと2部側が売上低いとその分全売上で1部が占める割合が増加し、その分自分たちの試合の売上を持ってかれてしまいますので彼らは努力せざるを得ません。

あとはこの2つの比率の按配で実際の補助の濃さをコントロールします。2部に関しては利益は出ないけど損もしない程度に、1部に関しては2部にいるよりもメリットがあるようにぐらいを目標とすることで、より上位のリーグを志向する要因にもなるでしょう。



とりあえずはこんなもんでしょうか。こんな書き方でうまく説明できているかわかりませんが。

抜けてるところやわからないところがあればご指摘ください。

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