【巨人】 現有戦力評価 Ver.3 補強を振り返る

  • DIME
    2007年02月05日 06:58 visibility112

ほぼ陣容が固まった頃合で改めて書かなきゃなぁと思っていたわけですが体調不良で時期を逸していました、さすがにもう時期じゃないだろうと。

としたところちょうど星野氏がキャンプを訪問したというニュース内でちょうど良いネタがあったのでここで書かせていただきます。

ほんとはその4のほうを書きたいんですけど、こういうのはタイミングが大事なので。さらっと書いておくので後々加筆すると思います。 


そのネタとは星野氏の発言だったのですが「1ポジションに2名」という指摘です。私もこれが正しいと思います。単純に優れた野手8名を構成できるだけではチームとしての編成は不足です。

リーグ全体としての利益はともかくとして各チームが追い求める理想的な形はリーグ最高のポジションプレイヤーがレギュラー、次点のプレイヤーが控えにいることです。リーグ全体から見ればたいそうもったいない話ですが。

使わない良い選手を抱えているというのはその選手以上の良い選手がそこにいてしかも離脱をしていないということです。それに加えてその選手がいつ欠けても「もったいない」と思われるような選手が後に控えているのですから、それはチームの編成として優れていると私は評価します。

あるものは使わなければいけない、使わないのはもったいないというのはあまりに貧乏性です。「有事に備えて食糧・飲料水を備蓄していて結果的に保存期限が過ぎてしまった」なんてニュースを聞いたときに後ろ指差して笑うでしょうか。巨人の編成であまりが出ていることを笑う人はそれを笑うのと等しい行為をしているわけで、あいつはバカだなぁと自分が笑われている事に気づくべきでしょう。

多くの巨人を批判するような記事(補強が多すぎ)にはそういう観点が欠けています、実際はいい選手が余るぐらいでリスク管理も含めればちょうどよく、1チームを構成するのがいっぱいいっぱいぐらいのチームこそ補強不足なのです。

1シーズン終わったときに「あの選手があまっていてもったいないね」ってぐらいが優れたチーム編成であると言えると思います。

その観点を元に今シーズンオフの巨人の活動を論評してみたいと思います。 


んでそれとは別に、もっとマクロな観点からの論評もしてみます。

「1ポジションに2名」というような考え方は選手個々の能力・将来性なども関係してくるわけでどうしてもミクロに内容になりがちです。

ただ長期的なドラフト戦略或いはもっと大きな補強全体の戦略というのは個別の選手がどれぐらい成長するかとかまで考えはじめるとやってられません。

逆に全ての選手は一定以上の伸びしろを持っている、一定以上の能力は持っているという仮定の下に、編成全体をみて余ってるところを間引きする、足りないところを追加する、そういう視点が必要です。

ちなみにこの仮定の部分は正確には編成の問題ではなくスカウトの問題です。ミクロに選手の能力までも考えてしまうとどうしてもそちらが負う部分まで話が必要になっちゃって、結局は「編成」がぼやけてしまいます。 

だからこそ、マクロな視点で見ることで「編成」の能力を論評することが必要だと私は考えています。


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まずはデータを抽出しましょう。

ドラフト・FA・トレード・外国人枠という4つの補強がありますが、基本的にそれらは相互に補完しあうモノであり、個別に独立して考えるのはあまり望ましくありません。

その中でも特に契約形態に微妙に違いがある外国人を除いた残り3つの関連性は特に高いのでこれらを全てひっくるめて考えます。


  

選手異動総括

 ※支配下選手。外国人枠除く。育成選手除く( 育成移行者は離脱とみなす)。


離脱者:17名

投手 

 鴨志田貴司

 南和彰

 伊達昌司

 桑田真澄

 佐藤宏志

 工藤公康

捕手

 (佐藤弘祐)

内野手

 原俊介

 大須賀允

 仁志敏久

 黒田哲史

 小久保裕紀

 長田昌浩

外野手

 (山本光将)

 堀田一郎

 大西崇之

 十川雄二


加入者:15名

投手

 金刃憲人

 上野貴久

 深沢和帆

 深町亮介

 門倉健

 吉武真太郎

捕手

 伊集院峰弘 

内野手

 円谷英俊

 寺内崇幸

 坂本勇人

 小田嶋正邦

 小笠原道大

外野手

 田中大二郎 

 谷佳知

 大道典嘉



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現有編成リスト 


現有戦力を野手の場合はポジション&左右で投手の場合は左右で分類し、年齢で
A:19〜25
B:26〜30
C:31〜
に分類します。

たぶん全員今年の満年齢で分類できているはずですが、もしかしたら26歳の選手がAだったりするかも。細かく確認してないんでその辺は勘弁してください。


()内人数はVer.1記入時点です。まぁ昨シーズン終了時点と思っていただければいいかと思います。


■投手■


○右腕投手:19名(20名)
A:12名(12)
 ・加登脇卓真
 ・木村正太
 ・東野峻
 ・西村健太朗
 ・真田裕貴
 ・栂野雅史
 ・会田有志
 ・福田聡志
 ・越智大祐
 ・野間口貴彦
 ・三木均

 ・(R)深町亮介

B:3名(4)
 ・酒井順也
 ・木佐貫洋
 ・久保裕也 
C:4名(4)
 ・上原浩治
 ・豊田清

 ・門倉健

 ・吉武真太郎

○左腕投手:10名(9名)
A:7名(4)
 ・辻内崇伸
 ・林昌範
 ・深田拓也
 ・内海哲也 

 ・(R)金刃憲人

 ・(R)上野貴久

 ・(R)深沢和帆
B:0名(1)

 
C:3名(4)
 ・高橋尚成
 ・野口茂樹
 ・前田幸長

■捕手■
○全体:6〜8名(7名)


A:2名(3)

 ・(R)伊集院峰弘
 ・星孝典

 ・(梅田浩):外野手兼任
B:3名(3)
 ・加藤健
 ・實松一成
 ・阿部慎之助

 ・(小田嶋正邦):内野手兼任
C:1名(1)
 ・村田善則


■内野手■


○右打:7名(9名)
A:2名(0)

 ・(R)坂本勇人

 ・(R)寺内崇幸

B:4名(5)
 ・岩舘学

 ・吉川元浩
 ・十川孝富

 ・小田嶋正邦
C:1名(4)
 ・二岡智宏
 
○左打:4名(5名)
A:1名(1)

 ・(R)円谷英俊
B:1名(1)
 ・脇谷亮太
C:4名(3)
 ・古城茂幸
 ・川中基嗣
 ・小坂誠

 ・小笠原道大


■外野手■


○右打:5名(5名)
A:1名(1)

 ・梅田浩

B:2名(2)
 ・矢野謙次
 ・三浦貴
C:2名(2)

 ・谷佳知

 ・大道典嘉
 
○左打:7名(8名)
A:1名(1)
 ・(R)田中大二郎 

B:3名(3)
 ・亀井義行
 ・鈴木尚広(両)
 ・斉藤宜之
C:4名(4)
 ・小関竜也
 ・高橋由伸
 ・清水隆行
 ・木村拓也(両)


増減整理


減少

 右腕投手B:1名

 左腕投手B:1名

 左腕投手C:1名

 (捕手A:1名→コンバートによるもの)

 右打内野手B:1名

 右打内野手C:3名

増加 

 左腕投手A:3名

 (捕手B:1名→コンバートによるもの)

 右打内野手A:2名 

 左打内野手B:1名



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前回までのおさらいですが、 まずVer.1の時点(9/23記述時点)で巨人の現有戦力を評価したときにポジション別に4つの問題がありました。

 1、若手右腕投手の飽和

 2、左腕投手が不足しているが同時に補充枠も不足して対応が難しい

 3、若手内野手の不足

 4、中堅外野手の成績不足(粒が小さい)

 (0、捕手は取り立てて“編成で解決すべき”問題はなし) 

この4点を私は今シーズンオフで解消にむけて動かなければならない点だと考えて球団の活動を見てきました。 


まずこの中でも方向性として違いがあります。1〜3番に関しては個々の選手というよりも全体で見たときのバランスの問題です。それに対して4番に関しては編成のバランスよりもその内容を占める選手の質に対する問題といえます。

最初の言葉で言えば、前者がマクロな後者がミクロな視点からみています。

増減整理で見たときに問題の解決が図られているかどうかを見れるのは前者のマクロな問題です。まずはそこから見てみたいと思います。

ただマクロで見た場合あくまで選手個別の能力は重視されず、また人数一緒でも中身が代わっている事もありますので、その視点ではどうしても見落とされがちな部分がある事をさきに断っておきます。



1、若手右腕投手の飽和 

 結果:0点(評価不能)


“若手右腕A”に関しては鴨志田貴司が抜けて、深町亮介が入ったので増減はなし。飽和状態は続いていますのでこの問題に関しては出来ていません、ダメダメです。

ただ12名のうち06年のルーキーで5名、05年のルーキーで4名含まれています。これを今年減らせというのはそもそも無理な相談で、この問題に関しては継続案件となるのはある程度仕方がありません。

そもそもこういう事になってしまった根本の原因は該当する2度のドラフト指名のまずさにありますが、これに関しては今年のドラフトで狙えた右腕をあえて回避していましたし、改善傾向。とりあえず今年のドラフトでまた無闇矢鱈に増やさなかったのでマイナス点をつけることまではないと思います。

今オフから翌08年のオフシーズンまでのドラフトも含めた球団の行動まで確認してはじめて本当に評価できる問題でしょう。



2、左腕投手が不足しているが同時に補充枠も不足して対応が難しい

 結果:50点 


もちろん代わりに入ったのが新人なので、「正解」だったのかなんてのは現時点どころか今シーズン終わったぐらいじゃ判断は出来ない。早くて3年、まぁ5年後に何人残ってるかでしょう。(※こういうのがミクロな観点であり、マクロだと割り切って分析してるときにミクロ分の不足を理由に批判しても的外れ、それがわかっててやってるんだから)

ただここで論評するのは編成としての対応であって「足りない、でも枠もない」っていう状況から3名入れ込む枠を作ったこと、そして大社ドラフトで全部で自由枠を除けば9名しかいなかったドラフト指名クラス左腕を2名確保できた指名戦略。この2点は高く評価したい。 


問題点は、その3名という枠は左腕2名と右腕1名を削ったわけで左腕投手数からすれば1増に過ぎず左腕投手を増やしたというより世代交代を進めたというほうが実態に近い。削れる枠を作るには問題1の解決を待つ必要があるので今対応するのはちょっと無理があるが。

また危惧していた「年齢の断絶」が起きているのも気になるところ。ただこれも断絶しているからといって「左腕B」あたりの投手を補強できるかといえば

 ドラフトでは指名適齢期を過ぎていてめぼしい同年代の投手は既に狩猟後

 FAにはまだ早い

 日本人枠内の問題なので外国人じゃ解決にならない

ってなると補強の選択肢はトレードしか残っていないわけで、相手の都合や出す選手にもよるので解決するのは難しい。

んでそもそもどこに問題があったかといえば、これもまた指名しごろだった時期(3〜5年ほど前)のドラフトに問題がある。今後のドラフトでそういう観点での指名傾向が見られるかによって評価は定まる。


とはいえ上記のように縛りのある中で3名も新しい選手を加えることが出来たというのははっきり言って想定以上の出来だった。

私は今までの日記にも書いてきたように出来ても2名だと思っていたので個人的には評価は高いけど、客観的に見れば半分ってところか。



3、若手内野手の不足

 結果:70点


足りるかって言われれば「まだ全然足りない」んだけど、そもそも若手というのは4つの選択肢の中でも基本的にはドラフトでしか獲得できないわけで、その中で3人追加できたというのは1シーズンに出来る対応としては十分でしょう。 

またその選手枠を作るにあたっても分類Cのベテランの枠が分類Aの若手枠へと代わっていることがわかります。

小久保→小笠原、長田離脱という目立つ部分だけを見ると年齢交代が進んでいないように解釈されかねませんが、6減5増の内野手全体で見ればまったくの誤解であることがわかります。

根本的にまだ不足しているのでいい点数は上げられるはずもないけど、このシーズンオフで出来るだけのことはやったのでぎりぎり合格点ぐらいってことで。あとは枠には含めていないけど、育成選手次第かな。 



全体的な感想 


繰り返しますが、このあたりはあくまで数合わせ、個別の選手能力とかは別にしています。そもそも指名に引っかかっているという時点でどの選手も一定以上の能力=成功する可能性はあるだろうという仮定の下です。


星野氏が「投手陣が若返りの時期、2〜3年後が面白い」と言っていましたがこうやって分類するとそれが良くわかると思います。

現在の巨人投手陣は分類Aが非常に多くなっています。ここの投手たちがこれから数年かけて見極められ、Bに達する頃が一番全体のバランスが良くなってくるでしょう。 


んでまぁドラフトが含まれているので当然といえば当然な話なんですが、増減見ていただければ、B・Cが減って、A・Bが増えています。

一部の選手の異動(ミクロ)だけを見て、巨人は若返りといってるのにできていない(マクロ)なんて批判が見られますが、それらがミクロとマクロを混同して的外れな論理展開をしていることが良くわかりますね。

一つのトレードだけに絞れば「若手離脱←→ベテラン加入」であったとしても、全体として見回してみると若手のいるところから若手を間引いただけ、ベテラン(年齢高)を外したところにベテラン(年齢中)を入れてるだけです。


補強というのはマクロでまず見るべきで、大事なのは全部ひっくるめてどうだったかということです。

いわば三角トレードの考え方と同じで「1対1」の対応だけで全ての問題を解決する必要はなく、複数の活動の結果として全体に整合性が生まれればいいのです。 

つまり球団の抱える問題はトレード・FA(FA補償)・ドラフトというのを全部ひっくるめて最終的に解決すればいいわけです。1つの問題を1つの解決手段だけで解決する必要性はありません。

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