どうなんだろうなぁ。

  • DIME
    2007年11月26日 20:07 visibility90

来年の契約更改のニュースが出てくるようになりましたが、気になったのはこの2つのニュースの比較。

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二人ともホクホク? 広島の梅津と青木勇が大幅増でサイン
広島の契約更改は26日、チームトップの23ホールドポイントをマークした梅津が550万円増の1800万円でサインした。43試合に投げた青木勇は800万円増の1800万円。(金額は推定)
サンケイスポーツ
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阪神・渡辺は2500万円で更改…今季53試合に登板

阪神の契約更改は26日、今季53試合に登板した渡辺が1500万円増の年俸2500万円でサインした。(金額は推定)
スポーツ報知
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広島で勝ち試合の中継ぎとして働いた梅津が550万円(前年比144%)増で、阪神でJFKに続く地位の渡辺が1500万円(前年比250%)増。
ちなみにホールドポイントで言えば、梅津の23に対して、渡辺の7。
チームが最下位だった広島と、3位だった阪神とでチーム成績の個人成績への影響が出ていることもあろうかと思いますが、それにしても評価が違いすぎる気がします。
こういうのを球団の方針が違うからとか、球団の財布が違うからということで終えてしまっていいものなんでしょうか。
特に戦力均衡を目指すべきとか球団格差をなくすべきだとか考えている人からすれば座視していて良い問題ではないはずです。

何故なら戦力均衡を目指すのであれば(何度も言いますが私はそれには反対です)、まずはこのあたりの不平等をただし、どの球団においても同じような評価とならなければならないからです。
その理由についてはこちらで詳しく触れたことが有りますのでそちらを確認してください
現在成功している戦力均衡に根ざした閉鎖型ビジネスモデルを持っているリーグでは、その戦力均衡を達成する手段として「年俸の調整」が必須条件です。
このとき「君には10億の価値がある、でも他の選手との兼ね合いで5億しか出せないから我慢してくれ」って言われたときに我慢されてしまうと、結果的にそのチームは差額5億分他チームより不均衡になってしまいます。
「5億の価値しかない選手に対して、有り余る人件費を武器に相場を無視した10億もの年俸を払って選手を集める」ことと戦力均衡に対する影響としては全く変わりません、ベクトルの向きが逆になっているだけです。
「チーム全体で人件費に掛けられるのは30億まで。その枠内で収めるためには10億の価値がある君にも5億しかだせないのだ」っていう主張、何言ってるんだと。
30億で収まりきらないのなら収まりきらない分放出してくれないと戦力は均衡しないんです。
上のようなのを日本では「美談」と称したり「当然の考え」と受け止められます。でも戦力均衡という観点から見れば「最悪の裏切り行為」です。これらが通っちゃ均衡しないんですよ。

また、「球団に入るのではなく、プロ野球に入るという意識を持つべきだ」みたいな発言もよく見かけますが、そういう論理を通すためにはどの球団に入っても地位が変わらない、つまりこのあたりの不平等を正さなければ、誰だって「どこの球団に入っても同じだ」とは思うはずがありません。
結局それらの発言は、就労環境や年俸評価が全く違ってきてしまうにもかかわらず、自分たちの都合のためだけにそういう悪い労働環境を受け入れろと主張しているわけで、これは暴論という言葉以外に表現する手段が思いつきません。
まずはそういう考えをもてるように、労働環境を改善して行かなければならないと主張するのが正常な考えだと思うんですが。

私の場合はプロ野球の発展のためには、現行の閉鎖型のリーグモデルではなく開放型に変わっていくべきだと思っています。当然そういうプロ野球には戦力均衡など必要ないどころかむしろ害悪にしかなりません。
そして、閉鎖型という間違った方向に進まないためには、現行のプロ野球を改善するにしても戦力均衡という手段を使う必要は無い、むしろそんなことをすれば球界の改善には逆効果だと考えています。
ですから私は球団によって違いが出るのは当然、で終わりです。その状態が変わっていく必要性を感じません。

ただ、戦力均衡を目指すとか、チーム差をなくすとか考えている人からすれば、まずはこのあたりの改革から主張していくべきだと思うのに、そういう考えの人に限ってこのあたりに疑問の声を上げないどころか、こういう差があるのを当然のことであるかのように受け入れているのは非常に不思議です。
もちろん、広島の評価を上げろとか言っているわけでは有りません、阪神の評価が不当に高すぎると言っているわけでも有りません。一致するのであれば広島と同じだろうが、阪神と同じだろうが、もっと低かろうが高かろうが問題はありません。
ただ、戦力均衡のためには球団に関係なくリーグで画一的な評価基準が必要です。
そうなっていないのにもかかわらず、「総年俸を全球団一定の水準に整えよう」とか「プロ野球に入るという意識を持ってもらおう」とか言い出すのは一足飛びに議論が飛躍している事を認識すべきです。
たとえそれを実際に実行できたとしても「リーグ内での画一的な評価基準」という前段階を満たせていないので、それが戦力均衡にも繋がりませんし当然戦力均衡を前提とした閉鎖型モデルにおけるリーグの発展にも繋がりません。
そのあたりの論理の順番は認識しておくべきでは無いでしょうか。

それとも、上記のような事をすれば、自然に画一的な評価基準になってくると考えているのでしょうか。であるならば私は同意できかねます。
何故なら、現在そういう事例が多く見られるように日本人の特性として金銭評価を必ずしもドライに考えられることが出来ない部分があるから。それが自然にそうなっていくとは考えづらい理由です。
にも拘らず、戦力均衡を前提としたビジネスモデルでは金銭評価が選手評価と一致しないとモデルが成立し得ない。
であるならば、事前にそういう世界なのだという価値観を新たに作って浸透させるか、金銭評価と選手評価が一致するような制度を作るしか有りません。
ただ、それは非現実的だし日本人の感覚にもなじまない部分が大きいでしょうからなかなか難しいだろうなと思います。このあたりも閉鎖型のビジネスモデルよりも開放型のビジネスモデルの方が望ましいだろうという理由の1つなんですが。
参考までに他のプロスポーツリーグではどういう制度で金銭評価と選手評価を一致させているかというと、簡単に言えばできるだけ多くの選手を複数の球団と交渉できるようにさせているか、第三者機関を設けてどれぐらいの年俸が妥当であるかを審査させているかです。
前者はもっと簡単に言えば保留件条項の緩和、つまりFA資格者をほとんどの選手に広げるということです。ほぼ全ての選手が複数の球団と交渉することになれば市場原理が働き評価が定まってきます。
後者は一応日本プロ野球にも存在することは存在します。年俸調停委員会です。ただご存知の通りその委員会の構成は各球団に任命権限のある3名ですから事実上無いのと一緒です。こちらを選ぶのであれば第三者機関としての整備が必要となります。

あと、誤解の無いように付け加えておきますが、渡辺亮の評価が高すぎるとは全く思っていません。むしろ私は今年の新人王には渡辺を推していたぐらい評価しています。
この1500万円増に関してはさすがは阪神だなと思います。こういう中継ぎ投手に対する高い評価があったからこそ、中継ぎを頑張ろうとする選手も出てきますし、選手の中にあっても中継ぎ投手という地位の向上に繋がるでしょう。
あまり結び付けられて語られるところの無い部分ですが、やはり中継ぎが厚いチームは、まず中継ぎの評価、年俸の上昇率が高い。こういう評価をすることが強い中継ぎ・抑え陣容を作るための第一歩だと思います。
そういう意味でも巨人が今年どのような評価を出すかに注目しています。上原浩治あたりに先発をやっていた時よりも高いアップ額を提示したり、山口鉄也あたりに何百パーセントアップなんてのを提示したりしてくれると巨人も好転していくと思うのですが。

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