抑え投手をどうするのか。
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DIME
2007年09月30日 17:48 visibility100
典型的な長嶋語録である、「勝利の方程式」、どこがどう方程式なんだ?という疑問はさておかれたまま、今ではNHKのMLB中継の文字情報にまで使われるほど一般化してしまいましたが、結局「勝利の方程式」という名前の由来となった巨人軍が、その後のプロ野球の歴史で一番それとは縁遠い球団じゃないかと思われてなりません。
そんな巨人なので先日は早くもスポニチにクルーン獲得なんて記事が出ていましたが、まぁあれは単なる飛ばし記事だとしても、クルーンの獲得を検討すること自体はあまりに自然で誰でも予想の範囲内でしょう。
今年、優勝を狙えるだけの結果を残しながらまだ補強かなんて馬鹿げた声はどうせでるんでしょうが、中日は優勝してなお、攻撃力不足という一番の問題点の改善の為にウッズを獲得した、だからこそまた翌年、翌々年と優勝争いができている。日本ハムだってグリンの活躍がなければ連覇はならなかったでしょう。
実際のところ、上原浩治をなんとか配置転換させてもまだ中継ぎ・抑えが安定を見ないというのは、その上原がロングリリーフするのがもはや常態化していることからも明らかです。
ということは、来年上原が先発に戻る・戻らないにかかわらず、巨人の中継ぎ・抑え投手は数が足りない=積極的な補強が必要、という事情は変わっていないと言えます。
もちろん長期的な編成を考えれば、抑えというのは自前で育てる方が望ましいのは言うまでも有りません。
何故なら抑えというポジションが現実的には数年以上にわたって活躍し続ける例は限定的であり実際のところは非常に新陳代謝の激しいポジションであるため、FAでは"旬”の時期に獲得するのは難しい上に、新陳代謝に合わせて取っていけるほど移籍市場(FA、トレード、外国人)は大きくないからです。
そしてその育て方としてはセットアッパーから抑えにランクアップさせていくって言うのが一番良い手法だと言えます。仕事自体も似通っていますし、抑えに辿り着くまでに「納得させられる」だけの実績や認識を広げる事も可能です。
またチームとして一度その「育成システム」を確立してしまえば新陳代謝の激しい抑え投手を定期的に生み出していけることにもなります。
そういう意味で言えば巨人内ではやはり林昌範が順当といえるでしょう。ただし問題としては肘にねずみ(遊離軟骨)を抱えていると言う点。
まず手術をしないと言うなら論外。ねずみが何処に移動していつ痛み出すかわからないような状況では抑えどころかセットアッパーも任せるべきではありません。
手術をするという前提に立つとすれば開幕までに目処が立つかわからないですし、シーズンに間に合うとしてもぎりぎりの復帰になるでしょう。それでいきなり抑えというのは厳しいかなと思います。
また同様の理由から、それ以外に今いる若手の中から抑えを抜擢するという選択肢もチームとしての育成システムも構築したいという観点から言えば除外するべきです。まずセットアッパーを任せ、その先に抑え投手の道があると言う流れを作ることは、1名の抑え投手を作ることよりも長期的には価値が有ります。
以上から、将来的に林昌範或いは他の若手を抑えとするにしても、少なくとも来シーズンはそれ以外の選択が必要という結論になります。
そしてもし仮に岩瀬、クルーン、小林雅の全員が市場に出てくるとなった場合、誰を獲得するべきなのかと言うと、単純に実力だけを見れば私は岩瀬を推したいですけど、総合的に見ればクルーンが一番だと思いますね。
まず第一の理由として選手補償の問題。現在急激な若返り中なので25名という枠が去年以上に狭い。具体的に名前を挙げれば去年の名簿例としてこの日記で28名をあげましたが、今年そこに去年は入れなかった木佐貫、深田、会田あたりを入れてくると越智があぶれる、栂野があぶれる、そんな感じでしょう、チームの育成課程の中で28人枠としては今年が一番悪いタイミングだと言えます、来年になればある程度若手がふるいにかけられているはずなんですが。それに対してクルーンなら補償が必要ない。
んで次に所属球団の問題ですよね。パ球団から獲得するなら戦力分単純増ですが、セ球団ならマイナス分含めて単純2倍増です。そういう意味では岩瀬かクルーン。
そういう戦力としての客観評価以外の部分での有利さを超えるほど、クルーン、岩瀬、小林雅の間に大きな差があるとまでは思えません。
ただ問題は、戦力としての客観評価として今年のクルーンがどうかってところ。与四死球率が悪化しているのが非常に気になります。
ただ、獲得するしないにかかわらずどうしても気になる部分が有ります。上原浩治が、大事な阪神3連戦の初戦と3戦目と連続して救援失敗し敗戦投手になったときのことです。
あの時見てる限りでは「上原ダメだ」っていう声はあんまり見なかった気がします。試合事情も有りますけど、それ以上に上原でダメならしょうがないという認識があったんだと思います。あれがもし上原じゃなかったらファンは同じように対応できていたのでしょうか。
だから上原が抑えをするのが良いって事ではありません、上原はFAでほぼ必ず抜けますから上原では翌々シーズンから先は計算できません。大事なのは抑え投手というのは、あの上原でさえそれぐらいの失敗はするポジションなんだという点です。
マスコミの報道の仕方はどうしようもありませんけど、ただファンだけでもあの時の上原への対応のように抑え投手はある程度打たれるものだと自覚する、打たれても非難の声を上げない。こいつが打たれたならしょうがないと覚悟を決める。
巨人で抑えが育たない理由の1つにはファンが達成不可能なほど高い要求基準で見ていることもあるのではないかという気がずっとしています。そうでなくても緊張感とストレスのかかるポジションであるのにファンはそこに更なる重圧を加えて押し潰しているのではないかと。
だから補強は絶対に必要だし、しなければならないことですが、それだけではなく、そういう周辺環境の整備が必要なのではないか。むしろ逆にそれさえできるようになれば、補強だろうが育成だろうが一本立ちした抑え投手を作ることはできるような気がします。
個人的には、上原浩治は順当にいけば来年にはFAを獲得するので、それ以降ははっきり言って関係のないことなのですから、巨人に籍のあるうちは巨人として一番効果の高い結果をもたらすように使う、つまり来シーズンも抑えとして起用するのでいいと思うんですけどね。
若手右腕には先発タイプがごろごろ余っているんですからどーせ抜けられてしまうんであれば、それよりも先を見据えて先発と言う限られた枠は若手にまわすべきだと思います。
でもまぁ上原と首脳陣(というか原監督?)との約束内容如何では、信用問題になって本人がモチベーションを維持できなくなるなんて事にもなるでしょうから実際は難しいでしょうけど。
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- 事務局に通報しました。
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