MLBのウェーバー制は既に崩壊している。
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DIME
2006年09月22日 00:47 visibility163
ちょうどフジのすぽるとで出ていたのでちょっと書いてみる。
見ていた人ならわかると思うのだがMLBの制度についての指摘があった。そこでもあったようにMLBのウェーバー制度は既に崩壊している。
今MLBで一巡指名有望選手の多くは指名前から代理人が付いている。その上で「彼の実力は最低でも契約金***万ドルに値する。それ以上払ってくれる球団になら入団するがそうでない場合は指名を拒否して独立リーグでプレイして次のドラフトを期待して待つことを選択するであろう、これだけの能力を持った選手がMLBで活躍できないのはMLB全体の損害であるので各球団の決断に我々は期待している」とか宣言する。
そのためにこいつは間違いなく一番目に指名されるだろうと言う選手の指名が、でもそれだけのお金をだす余裕はうちの球団には無いのでと見送りされる傾向にある。 例えば今年のドジャース1順指名のルーク・ホッチェバーはこの形で現在独立リーグでプレイしていたはず。
その点がしっかりテレビ中で指摘されていたにもかかわらず、あまりに普通にテレビの流れではスルーしていたのでびっくりした。あんな番組構成で見ている人たちは不思議に思わなかったのだろうか。
日本でウェーバー制度を広げようとする人たちはこの現在の状況について一切触れないか、ウェーバー制にも不完全ですから改善すべき部分はありますね、とか言葉を濁しておいてまたウェーバー制を声高に叫びだす。
ウェーバーにしても何の解決にもならないよ?としか思えない。ウェーバー制度によってお金が抑えられるといってもそれは「不当に」抑えられているにすぎない。正当に評価してくれないプロ野球界に野球少年が何の魅力を感じるのだろうか。
そんな状況になって、「自分の希望する球団に入れなかったら、そんなプロ野球には魅力が無いのでMLBに行きます」とか有力選手に言われ続けるようなじたいになったらどうするのであろうか。
以下は今ちょっと思いつきで書くことなので、多分穴だらけだと思うのでその程度と思って読んで欲しいのだが。
削るのであれば下位指名選手にまで数千万円の契約金が必要なところであろう。これは現在の支配下登録枠と1軍登録枠の設定が雑すぎるので、通常の指名選手がMLBでいえばロースター契約選手扱いとなるからだ。
ドラフトで指名される選手の中でも本当の意味で活躍する=球団に還元する選手は少ないのだからそういう選手に優先的に配分されるような形にすべきだろう。
今のドラフトではまず支配下登録選手としてのみ契約し、ここでは契約金を少なくする。その上で1軍登録枠を拡大して、そこにはじめて登録されるときには改めてロースター契約を結ぶ。
例えばドラ1レベルの即戦力候補であるならば現行の1億円をドラフト契約1000万、ロースター契約9000万とかの契約にしておけばいいと私は思うんだけどな。とりあえずドラフト契約では契約金は1000万までとか2000万までとかにしてみればいいんじゃないだろうか。
日本人はどうも性格的にそういうのを嫌うようだが、資本主義社会でいい商品によりいい値段をつけて評価するということは何も間違ったことではない。その間違っていないことを無理矢理に押さえ込もうとするのは間違っている。社会がそういうシステムに最適化していないのだから絶対にどこかでひずみが生まれ崩壊するのは明らかだ。
そうではなく、かけたいところに効率的にかけられるようなシステムにすれば、お金の無い球団であってもうまくお金を使えば立ち回れるようになる、そのような形を目指すべきでは無いだろうか。
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覚えているだろうか。去年の辻内のオリックスと決まったときの硬い表情を。訂正があってほんとうは巨人だったと知ったときの笑顔を。
http://www.sponichi.co.jp/baseball/special/2005draft/KFullNormal20051004019.html
『12球団OKを打ち出し「どの球団でも光栄だし好き嫌いを口にすべきでない」と発言には注意してきた。それでも西谷監督が「辻内のあんなうれしそうな顔、初めて見た」という本物の笑顔が光っていた。』
高校3年生という同じ年代では基本的にある程度の進路を決め、職種を決めていく。そんな年齢が「自分で職を決めるにはまだ早すぎる」はずがない。
また「プロ野球」に就職するのであってどこの球団でも同じだ、なんていうのは詭弁にしか過ぎないのは誰の目にも明らかだ。資金規模、チームの実力、FA・ポスティングへの対応などをみれば各球団は違う会社であることは疑う余地も無い。
にも関わらず、どれだけ理不尽とは言えそれがルールだからとぐっとこらえて「12球団OK」と言い続けた辻内。そんな行動を「かっこいい」とか「スポーツマンらしい」とか言うのだろうか、私にはタダタダ涙をこらえているようにしか思えないのだが。
今の田中投手も本当に12球団OKなのだろうか。それとも自分の気持ちを大人の都合で踏みにじられ、それでも笑顔を浮かべてこんな言葉を発しているのだろうか。
また忘れてはならないのが、辻内と同じような形でありながら逆に希望球団から希望しない球団へと変わってしまった陽選手。
http://www.sponichi.co.jp/baseball/special/2005draft/KFullNormal20051004023.html
台湾から野球留学にきた陽にとって第二の故郷ともいえる福岡、そして来年からソフトバンクへ入団が内定していた日本語の出来ない実の兄。彼がどれだけソフトバンクへ入団を希望していたか察するに余りある。
にもかかわらず、馬鹿げたプロとアマのいがみ合いのために希望球団を口にすることもかなわず、指名を絞ってもらうこともかなわず、最後の最後は不手際でぬか喜びを味わわされると言う絶望さえも見る羽目になってしまった。
辻内の笑顔と同じぐらい、陽が日本ハムが正しかったと知ったときに搾り出した「うれしいです」という一言は多分死ぬまで忘れられるものじゃない。言葉とは裏腹に日本アマ野球、プロ野球、そして日本の全ての野球ファンに対する呪詛にさえ聞こえたのは私だけなのか。
陽は日本ハムに入団してがんばっている。2軍戦で何度も見かけているしそのバットコントロールと守備センスにはいつもモノの違いを感じている。その野球に取り組む姿勢にはソフトバンクに入りたかったなどという気持ちは微塵も見られない。ほんとにがんばっている。日本ハムにはいい若手がそろっているがその中でもうぐ森と並んで将来有望な筆頭候補だろう。
でも陽を見るたびにいつもいつも「ごめんなさい」と思わずにはいられない。私だって野球ファンだから。
去年だけ、或いはこの2人の選手だけでこんなことが起きているわけではない。去年は「当たりくじの確認ミス」という前代未聞の事件が起きたせいでこの2人だけ本来は見られるはずの無かった、「意中球団の場合の未来」と「意中球団で無かった場合の未来」を同時に見られただけだ。今まではこの2つの未来を同時に見られなかったので知ることは出来なかったが、多くの選手があのような2つの未来を自分の意思ではないところで勝手に選ばれていたということは想像に難くない。
今はソフトバンクで活躍している新垣投手。彼も高校生時代からソフトバンク(当時ダイエー)入団を希望していたがそれを表明することがかなわなかった。
それを表明することが出来なかったがために、オリックスは新垣のソフトバンクへの気持ちの大きさを見誤り強硬指名にいたり、最後には三輪田編成部長の自殺と言う悲劇を生んだ。
新垣は完全に被害者でありながら、自分の行動が人を殺してしまったと言う重い十字架を背負っている。では加害者は誰なのか。もちろん三輪田部長でもオリックスでもないし新垣でもない。こんな理不尽な制度を強行しているアマ球界でありそれを呑んでいるプロ球界だ。もっといえばそれに対して批判の声を上げるどころか、逆指名のような行為を批判しているような野球ファンであると私は言いたい。
また去年のような悲劇がうまれるかもしれないのだということを思うと悲しい。せめて逆指名は出来ないまでも、各高校生が堂々と希望球団を口に出来るような、それ以外の球団ならば進学・就職を選ぶと言えるような、そんな自由ぐらいはもって当然ではないだろうか。
希望球団以外が指名できなくなるような制度を設けろと言うことではない、しかし指名しても取れないリスクがあると事前にわかっていた上で交渉することになる、ぐらいはかまわないのではないかと思う。それでも欲しいと思うような選手ならば強硬指名して誠心誠意を見せればいいのだ。強硬指名しても動かないのではないかという判断ができる方がよっぽど建設的でいい制度ではないだろうか。
高校生に職業選択の自由が無い。そんな憲法違反すれすれの悪行で悲劇が生まれ続けている。一年でも、一人でも早くこんなことはなくなってほしい。
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