新外国人の扱い方
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DIME
2007年05月25日 09:57 visibility70
まったく新作をおいてないのもなんなので、1つ書いておこうと思います。
先日他の場所で1つの議題がありまして。
「なんで中日は(落合は)なぜ李炳圭を使い続けるのですか」
ってお題でした。ちょうど巨人でも同じような話題(李炳圭→ホリンズ)が出ていたところなので
私なりの考え方を書いておきたいと思います。
まずそもそもの話ですが、刹那的な戦術的判断で言えば調子の悪い選手は使うべきではありません。
でも長期的な戦略的判断で言えば調子の悪いレギュラー選手にはその調子の悪さが一時的なのか永続的なのかを見極め、一時的なものだったならば本来の実力を発揮できるよう努力すべきです。
もし仮に日本シリーズみたいな短期決戦だったら調子が悪いのは思い切って外す方がいいでしょう。
でもシーズンを見てだったら、安易にぽんぽん切ってしまうとその選手が必要となったときにその選手の実力を見極めるところから始めなければなりません。
戦力として使えるかどうかを見極めるには結構な時間がかかりますから、結果的に戦力にならないと判断がついた頃にはもうチームは手遅れだった、なんてことになりがちです。
短期決戦なら調子が戻るまで待つ必要はありませんし、待つだけの期間がありません。
それに対してシーズンは長丁場ですから、待つだけの期間がありますし必要な期間が出てきます。そして待つということは戦術的な判断には反することです。でもこれはしょうがないことなんです。
何故かと言えば、何度も書いているように、野球が負けるスポーツであるからです。1敗の価値の低いスポーツだからです。
その為シーズンを考えると言うことは往々にして戦術的な判断=目先の1勝に反することが多くなります。
野球について考える時には、目先の1勝を追っていないかを戒めるのは非常に大事なことと言えると思います。
以上から繰り返しになりますがシーズンを通して考えるのであれば、調子の悪い選手がいたとすれば、まずはじっくり見極めをすることが第一です。
とはいってもやはりファンとしては感情がありますから、そう簡単に「じっくり」とはいきません。
例えば最近10試合ぐらいで打率2割前半なんてのが続いたとき。だいたい週6試合なので1週間半ぐらいイライラが募っていることになります。
そうなると多くの人が「打てないという見極めはもうついただろう」って気持ちになりがちではないでしょうか。特に他に使って欲しい選手なんかがいる場合には。
でも選手の見極めっていうのは、それぐらいの試合数で判断してしまうと、ほぼ間違いなく数字の罠にはまります。
例として、1軍昇格したばかりの三浦貴の2軍での成績をあげます。
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最近3試合
16打席11打数7安打5四死球
打率.636、出塁率.750、長打率1.091
5月全体
54打席46打数15安打7四死球
打率.326、出塁率.407、長打率.500でOPS.907
最近3試合以外
38打席35打数8安打2四死球
打率.229、出塁率.263、長打率.314でOPS.577
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1試合4打席だとすれば38打席というのは9試合、先述した1週間ずっと打てない日々が続いたぐらいです。
でもそれぐらいは、3試合で固め打ちをするだけで1割近く上昇する程度の期間、打席数でしかないのです。直近5試合ぐらいだったら言わずもがなです。
つまり短い期間だけで安易な見極めをしまうと、本当は調子が悪いのではなくめぐり合わせが悪いだけだったに過ぎない選手まで外してしまう危険性が高くなります。それぐらい見極めを行うための試合数は多く必要となります。
よって調子を戻すための手段としては見極めを兼ねてまずは試合から外して再調整するよりも試合に出続けさせる方が望ましいと言えると思います。往々にして見極めている間に調子は戻ります。
新外国人に関してはそれに加えて新しい環境に対する「慣れ」という問題がありますから、本来の力量を発揮してもらうには他の打者よりもより多くの打席が必要となる可能性がより高いです。
次に別観点から考えて見ます。
5/22現在で巨人は46試合で27勝19敗、中日は45試合で25勝19敗1分。
ホリンズや李炳圭のような調子が悪い選手を起用し続けていても結果的に充分に勝っているんです。
両チームともシーズンに直せば80勝ペースですからクライマックスシリーズを見据えればそれ以上無理に勝つ必要はありません。
それよりもシーズン1年間を見据えたときに、現在調子の良い中心打者がずっと調子がいいとは限りません、むしろそうであることのほうが珍しい。
もし仮に中心打者が離脱したときにその位置に若手を抜擢して入れるのは荷が勝ちすぎるので実績のあるベテランや外国人に頼る必要があります。
それを離脱がおきてから考えてちゃ遅いんです。外れていないうちに考えておいて外れる事がなければ運がよかったね、で済ませたほうがいいです。
そういう打者が離脱した時に若手や粒の小さい選手だけで打線を構成するのはやはり無理があります。
なので他の調子が良くて不調者がいても許容できるうちに、“不振を脱する”或いは“使えないとしっかり見極めがつくまで使い切る”ことを選択しているのだと思います。
もちろんチーム事情が最悪の時にそれでも悪い選手を使い続けるようであれば問題です。でも連敗していた時は確か李炳圭は外しましたし、巨人にしてもホリンズ以外の選手を定期的に使っています。 それで充分です。
以上より、現時点で李炳圭やホリンズを起用し続けるには十分な正当性があり、支持できる選択だと私は考えています。
<おまけ>
ちなみに私の経験上ですが、新外国人の場合には良くある定型パターンがあります。以下のような感じです。
1、開幕直後(2週間前後):始めてみる投手ばかり、打てるほうが珍しいです。
2、短期復調(2週間前後):自らは慣れてくるが相手側は情報がまだ不足気味
3、再低下(個人差大きい):相手のスカウティングも定まり徹底的な弱点攻め。
→このあと成功するか、ダメなままかは選手次第。
現在のタイミングは第3期にあたっていますので、打てなくてもおかしくはありません。最低でもこの期間だけで1ヶ月ぐらいは様子を見る必要があるでしょう。
そういう意味でもホリンズや李炳圭はもうしばらくは使われ続けるんじゃないかと予想しています。
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- 事務局に通報しました。
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