今日はプロ野球実行委員会の日でした。

  • DIME
    2007年10月01日 23:13 visibility80

あんまり実行委員会などわざわざ気にする人は少ないのでしょうが(個人的には残念なことです)。
先日の日記で取り上げた育成選手と戦力外通告については、育成選手のほうはそのまま決定し、戦力外通告については継続審議となったけどとりあえず今日から通告開始となるようです。

んで興味深いのは、ロッテが四国ILの徳島に対して育成選手の派遣を行いたいというニュース。
覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、ロッテは今年の6月にも、四国ILの球団を買収したいと言う構想を明らかにしています(買収先としては唯一メインスポンサーが決まらず経営的に不安定な高知という憶測だったっけ)。
んでこれに対する他球団側の反応はと言うと、複数の球団から「人数や期間を明確にしてほしい」「社会人野球との調整が必要」「今年新設したフューチャーズの活用をまず考えるべき」などの意見が出たそうな、まぁ最後のは巨人でしょう。

野球にちょっと詳しい方ならご存知だろうが、このロッテの対処方法というのはブランチ・リッキーが行ったマイナーリーグの育成組織化に似ている。というか多分バレンタイン監督も一枚噛んでいるというこの手法は当然それを念頭においているのだろう。
どういう手法だったかというのをここで細かく説明するのは難しいのだが、暴力的に要約すれば以下のようになる。
当時はMLBには下部組織はなく現在の独立リーグのようにMLB以外の弱小リーグに所属するチームが多数あるという形だった。そこでリッキーは独立リーグのチームに対して、支援と引き換えに所属選手がMLBに入る場合の独占契約を結んだ。
結果として多くの優れた選手がMLBに入る時はリッキーのチーム(カージナルス)を必ず経由することとなり、カージナルスは自チームを強化することは勿論、他球団に対して余った有力選手を売ることで大きな収益を稼ぎ出した。
もちろんこれはMLBにドラフトが成立するずっと前、戦前の話です。んでドラフトが始まってからはどうなったかというと、上記のビジネスモデルは既にあったわけなので、それに合わせる形でとりあえず自らが契約しているマイナーリーグにまで行き渡るぐらい多くの選手をまずドラフトで確保する、その上でよい選手が生まれたら自軍で使うか他球団に売るという流れになったわけです。だからMLBではドラフト指名が非常に多い。
んでまぁこの歴史を念頭において現在のロッテの構想に当てはめるとどうなるか、独立リーグが実質的に3軍以下として引き込まれるということになるんだろうなと思う。

フューチャーズにしろロッテの手法にしろ、目指すところは同じ、プロ野球という枠組みの中での育成の拡大。
ただしフューチャーズの場合は全部自前、それに対してロッテの手法では人件費だけ自前で、チームの経営は他に任せる、言ってしまえばアウトソーシングの手法に近い。
そう考えるとメリットはおのずと見える、アウトソーシングをするメリットと言えば幾つかあるがここでは外部に期待する専門性だろう。ではその外部に期待する専門性とは何か、地域に密着したレベルでの黒字経営、つまり下部組織の独立採算ということ。
現状では湘南シーレックスをはじめとして、2軍という組織も独立採算となれるような努力も見られているが、けっして成功しているとは言いがたいのが実情。
ならば自分たちで独立採算の組織をつくりあげるのではなく、外部の独立採算ができている(残念ながら現状ではできているとは言いがたいが)組織にアウトソーシングしたほうが良いのではないかということである。
当然問題は今書いたように、実際のところは独立採算ができているわけではないって所。ただこの場合プロ野球側が資金投入する(つまり人件費の面倒を見る)ことで、残りの部分では黒字化が可能かもしれない。このあたりは昔一度日記で触れていて、大雑把に計算すればだいたい全部の選手の面倒を見てくれれば1チームあたり1億円前後の売上高で採算が取れる可能性は出てくると思う。
そういうところから見れば、採算とか経営とかあんまり考えられておらず「育成」だけが主目的になってしまっている現状のフューチャーズのやり方よりも、このロッテの手法の方が望ましいだろう。

ただ、これがそのまま上手くいくかというと、疑問に思う部分がある。
それは現在の日本の野球界では、社会人野球と言う“学生”後の受け皿が昔よりは小さくなっているけれどもまだ大きな存在としてあるということと、プロ志望届の存在。
現在の日本では「プロ未満」の選手の受け皿として、社会人野球や大学野球などある程度整備された環境が既にある。ここに育成選手という概念を新たに持ち込むことになると、「プロ未満」の中の選手を既存のアマ野球と奪い合うことになるのだが、プロ志望届の存在によってその奪い合いはアマ側に大きく有利に傾く。
プロ志望届がある以上、例えば現時点では支配下には満たないが、育成選手として囲っておきたいぐらいの選手が居たとしても、選手の方でまずプロ志望届というアクションを出してくれないとプロは手を出せない。それに対して、アマは志望届を出す前にプロかアマかを選択させることができる。
それでも育成選手を目指してもらう為には「社会人」より「育成選手」のほうをメリットが高くしなければいけないのだが、社会人より待遇面などでメリットが大きいというのはそもそも育成選手の目的と合わない。
結果として育成選手として期待する選手層の多くはアマ野球を選ぶことになりそもそも育成選手として良い選手を確保できるかという問題が発生してくる。
去年の巨人の育成選手の大量指名にしても、ほとんどが大学・社会人だったわけで、これはプロ志望届がなかったという恩恵が大きいだろう。
このあたりがどうしても難しいかなと思えてくるが、とりあえず出来るようならやれた方が望ましい気がする。その場合、巨人も早急に手を打ち、フューチャーズと独立リーグへの参加とを両方ともできるようにしておいて欲しいものだ。

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。