【巨人】 小久保離脱中のサード
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DIME
2006年11月07日 10:03 visibility352
アリアスの日記を書いたときの付録みたいなものです。
開幕以来サードのスタメンを張ってきた小久保裕紀が怪我で戦列を離れたのは6/3で、復帰したのは8/18の試合でした。
この間に57試合が行われました。この57試合の先発サードが誰だったかを見ていくことで、巨人の全体的な方針が見えてきます。
一気に書くと、先発サードは以下のとおりでした。番号は打順です。
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岩舘学 1
脇谷亮太 7
岩舘学 9
岩舘学 9
脇谷亮太 8
脇谷亮太 7
脇谷亮太 2
脇谷亮太 7
脇谷亮太 2
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木村拓也 2
古城茂幸 8
岩舘学 7
木村拓也 7
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ディロン 5
古城茂幸 8
古城茂幸 8
ディロン 5
ディロン 5
ディロン 5
ディロン 5
ディロン 5
古城茂幸 7
ディロン 5
古城茂幸 8
岩舘学 8
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川中基嗣 1
川中基嗣 1
川中基嗣 1
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アリアス 6
アリアス 6
アリアス 6
アリアス 6
アリアス 6
アリアス 5
アリアス 5
アリアス 5
アリアス 5
アリアス 5
アリアス 5
アリアス 5
アリアス 5
アリアス 5
アリアス 7
ディロン 6
ディロン 7
ディロン 7
ディロン 6
ディロン 6
ディロン 7
ディロン 7
ディロン 7
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古城 8
古城 8
古城 8
古城 7
木村拓 8
木村拓 8
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まず全体的な傾向として、左には左、右には右という傾向があります。これは特に最初の期間に顕著です。この傾向は何もここに限ったことではなく、今年のチーム全体の起用方針として見られました。
ですが私はこれは間違っていたと思います。例えば巨人の投手で見ても高橋尚成投手の場合は決め球がスクリューであることから左打者よりも右打者の方を得意としています。逆に左打者でも左投手のほうが得意な打者だっています。
もし左右の違いを考えるのであれば、左には左、右には右という単純な二元論ではなく各投手・各打者ごとの適正を見ながら起用すべきであったし、たまにはそれを崩してでも左右関係なく打てるかどうかを試してみるべきでした。
これに関しては前回監督時にそれまで左腕投手の時には外されていた清水隆行を左右関係なく抜擢することでその素質を開花させた原監督の仕業とはどうしても思えません。誰が決めたやり方かは知りませんが来季以降は改善して欲しいものです。
次に順を追って起用を見ていくとわかることですが、小久保が怪我をしたときにまず巨人は何をしたか?若手を抜擢したのです。
小久保が怪我した直後からの9試合に関しては右投手の時は脇谷亮太、左投手のときは岩舘学を起用しています。
ただ残念ながらこの抜擢に対して脇谷・岩舘あわせて30打席29打数6安打1四球、マルチヒットが2試合目の脇谷のみという結果で、抜擢に答えることが出来ませんでした。
この直後に脇谷は2軍に降格することとなるのですが、再昇格後の原監督や吉村2軍監督の発言でこの時脇谷に関しては「何か足りない点」がありそれを再度ファームで教えてきて欲しいという意図があったことが明かされています。
具体的な「何か」についてですがこの後ファームではそれまで1番だけでなくいろんな打順が試されていた脇谷が1番に固定されつづけ、そのまま1軍に戻り1番として起用されたことから「1番としての仕事」ではないかと思われます。
つまり、小久保が怪我をしたときに巨人はまず最初の選択として若手の抜擢を選び、その中で脇谷の適正を見極め、次にむけての布石を打った事がここからわかります。
次の段階としてまずは脇谷が抜けたので残った古城・木村・岩舘をまた左右にあわせて起用しています。この4試合がつなぎといったところでしょうか。木村に関してはこの時期他のポジション(レフトなど)での起用もあることから、彼は本当の意味でユーティリティとして空いたポジションを埋めるように起用されていたことがわかります。
この直後、ディロンが岩舘学と交代で1軍に復帰します。この復帰タイミングに関しては2軍でも1試合こなしただけのほんとに「ぶっつけ本番」での復帰でした。
これは怪我人の続出で得点能力が急降下していてため、チームがどうしても打力の(少なくとも能力は)ある選手を必要としていたための措置だったわけですが、結果論ですが今から考えるとディロンだけでなくこの後の高橋由伸・阿部慎之助も同様に「ぶっつけで復帰→調子が戻らずにしばらく低調でかえって足を引っ張る」いうコンボだったことを考えるとやっぱり疑問が残ります。
当時私は復帰直前のディロンも、高橋も阿部も練習を見にいきました。フリーバッティングを見ても怪我が治ったって言う程度で本調子には程遠い内容でした。こうなることは容易に想像できたはずです。
これは前回の監督時もそうだったんですが、原監督はどうも怪我人に対してせっかちです。怪我人は怪我を100%治しただけでなく、その後に調子を戻してはじめて復帰させないと逆に戦力になりません。この点に関してはもうちょっと我慢を覚えて欲しいものです。
話がそれましたが、ディロンの復帰に伴って今度は左:古城、右:ディロンという起用方針に変わります。
若手の抜擢が結果を伴わなかったので、次の選択肢として新外国人と移籍入団選手というまだ戦力の見極めがしっかりついていない選手を起用して、使い物にならないかなぁと見ているわけです。これも理にかなった起用方針です。
と同時にこのあたりでアリアスの獲得へと動き始めます。これは前に書いたとおり「中軸を打てる打者」を必要としたからに他なりません。ディロンはともかく、ここまで起用してきた古城・脇谷・岩舘・木村などがそれにはあたらないと判断されていたのは打順を見れば明らかだと思います。
もちろんこの時点でディロンが結果を残していない&腰痛持ちなのがわかっていますから、ディロンだけじゃ心もとないから追加で獲得しようと考えるのも自然です。
この後川中を3戦連続で起用しますが、これがちょうどアリアスをレフトで起用していた最初の3試合になります。3戦連続川中を1番で固定したようにこの時サード川中、レフトアリアスでどうにかならないかと試していたのがわかります。
ただ結果は川中は使えなかったし、アリアスのレフト守備も心もとないということでサードアリアスで落ち着きます。
そしてここからは24試合、アリアスとディロンの起用が続きます。この起用はひとえに得点力が低下していたことへの対策につきます。簡単に言えば、若手抜擢とか言ってられる余裕がなくなったって事ですね。
2名とも結果を残すことは出来なかったとは言え潜在的な能力からすれば打ててもおかしくない野手だったわけで。打撃能力優先で考えればアリアスとディロンをつかって、どっちか片方だけでも打てるようになってくれないかと期待するしかなかったというところでしょうか。
そして最後の最後になって、ようやく外国人選手を諦め、現有戦力の中で一番結果を残していた古城と木村を活用して小久保までつなぐことになります。
ここへの転換が遅すぎたと思います。アリアス前の古城は5試合で16打数7安打でした。もちろんこれは全て右投手のときに限っての結果なわけですが、そもそも右投手のときにしか起用しなかったのは首脳陣側です。
後から振り返ってみるともっと早いタイミングで古城を抜擢して、左右関係なくしばらく任せていれば違う結果が生まれていたかもしれないと思えてなりません。
具体的な評価についてはまた別途書きますけど、どうも古城に関しては総合指標で見る限り今年の打者の中では優れた成績を残しているようです。こうなってくると58打席しかたっていないのが非常に残念です。せめて100打席ぐらい与えておいてくれれば来季への見極めになったのにと思います。
原監督の場合、一度決めた選手に対して非常に我慢強いです。今年で言えば脇谷・鈴木に光明を見るや後半結果が残らなくなってもずっと使い続けましたし、個人で言えば小坂誠・清水隆行・仁志敏久などは非常に我慢して多くの打席を与えていました。
このアリアス・ディロンの起用に関しても同じで、この2人がどうにかしてつかいものになってくれないものかと我慢して起用し続けていたのが良くわかります。
ただそういう打ててない選手をがまんして使い続けている事がさらに得点能力の低下を同時に生んでいることにもなっています。監督の采配を見ると、ただ闇雲に打てない選手はすべからく「今」打ててないだけだという信念で我慢強く起用しているようにしか見えません。
もちろん李承ヨプのように打数を重ねれば打てるようになっていく選手もいますしそういう選手は非常に多いです。ほんの少しのチャンスだけで見限ってぽんぽん選手を入れ替えていくような起用よりは我慢して使う方法の方が優れていると思います。
しかし打ててない選手の中には、調子の波で偶然今打てていないだけという選手だけでなくて根本的にフォームが崩れていたり、自信をなくしていたり、体の痛みがあったりして、チャンスを与えているだけじゃ打てるようにならない選手もいるはずです。
左右投手別の起用のときも言及したのですが、原監督の起用方針はあまりに単純化して考えすぎているきらいがあります。
「使うと決めた選手は結果に関わらず起用し続ける」、一見正しい起用方法ではありますがその起用方法をすることで「何故打てないのか」の追求がおろそかになっているようじゃ意味がないと思います。
どうも今年の起用に関してみればそうなっていたように思えてなりません。
以上が小久保が怪我離脱中のサードの起用方針の流れになります。
「若手の抜擢がなく飼い殺される」とか「足りなくなったからって安易に外からの選手で埋めようとする」とか言われる巨人ですが、このサードの起用から見えるのはまずは若手起用、次に既存戦力活用、最後に追加戦力起用という巨人の方針でした。
今年若手が活躍しなかったのはひとえに若手が与えられたチャンスを活かしきれなかったということにしか過ぎません。それはそれで大問題なわけですけど(笑)。
- 事務局に通報しました。
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