アメリカと日本の差

  • DIME
    2006年10月14日 10:28 visibility77

メジャーリーグとプロ野球にいったいどれほどの差があるのだろう。

野球ファンなら一度は考えてみたことがあると思います。大きく差があると判断する人もいれば、差はほとんどないと判断する人も、日本のほうが上だという人もいるでしょう。

 

個人的には、野球そのものレベルでいえば差はほとんどないと思っています。アメリカが優れているのは選手個々人の身体能力に起因するものが多く例えば技術的なことで言えば日本が優れている部分もあると思います。

ただ野球そのもの以外の部分で大きな差を感じます、具体的にいえば営業能力・市場規模・ファンサービス・ファンの質などで大きな差を感じます。

そんなことの一例を今日は示したいと思います。

 

 

現在、巨人軍では若手選手が2つのリーグに派遣されています。

一つがハワイで行われているハワイウィンターベースボール:

http://www.npb.or.jp/winterleague/index.html(以下ハワイリーグ)

もう一つが宮崎で行われているフェニックスリーグ:

http://www.npb.or.jp/fallleague/ です。

 

2つのリーグの試合結果はそれぞれここで確認できます。

ハワイリーグ

http://www.hawaiiwinterbaseball.com/schedule/

フェニックスリーグ

http://www.npb.or.jp/phoenix/2006score1012.html

次に個人記録に関してはハワイリーグでは

http://www.hawaiiwinterbaseball.com/teams/sharksstats.htm

のように各チームごとに確認することが出来ますが

フェニックスリーグでは該当するような記録を確認する事が出来ません。

 

 

私はここに大きな日米のプロ野球のレベルの差を感じます。

フェニックスリーグのあの試合結果のデータでいったい何の興味を満たすことが出来るでしょうか。

期待している(or自分のひいきの)あの選手はどうだっただろうかとかそういうファンのニーズをあれでは全く満たすことが出来ません。

言い換えれば、リーグを開催するにしてもそのリーグを控え選手の練習の場として捉えているのか、プロ野球選手が野球という仕事を行う場として捉えているかの違いです。

 

もちろんこのあたりは、ハワイリーグが独立リーグとして開催されていることに対してフェニックスリーグが教育リーグとして開催されているという違うのだからしょうがないじゃないかという指摘があるでしょう。でも私はそこにこそ今の日本プロ野球の一番の問題があると思います。

どちらにしても日本プロ野球の2軍クラスの選手が中心選手となっている程度ですから野球のレベルそのものはあまり差がありません。

にも関わらずアメリカでは興行として成立させようと努力し活動している、日本では練習試合の延長みたいな扱いしかしていない。ハワイのウィンターリーグは興行的に成立しなかったために中断となっていたにも関わらず、興行として成立させようとしています。

同じ「資源(=選手・試合)」を持っていながら、こうも違いが出ています。ハワイはもともと「プロ野球」は存在していませんがそれでも野球中継を見ることは出来るわけですから、それは例えば宮崎にしても北信越であってもプロチームはなくてもテレビで見られるという地域特性はあまり変わらないと思います。

 

今のプロ野球には営業努力が絶望的に足りません、だからこそ選手個々の能力があまり差がなくてもアメリカとの市場規模には大きな差がついています。そして、同じ活動(=野球)をしても日本では3億でアメリカでは10億もらえるのであれば良い選手はアメリカに行くことはあまりに当然のことです。

結果的に今は差がないとしても市場規模に大きな差がある限り市場の大きな方が必ず質も良くなります、それは別に予言でもなんでもなくて経済的な意味での自然な流れです。

メジャーリーグとプロ野球では今は差がないと思います、でも今のままでは間違いなく自然に差が付くとも思います。それはひとえに金銭的な評価があまりにも低すぎるし、ファンの側も今でさえ高すぎると思っているような人が多すぎるからです。

 

日本プロ野球がメジャーリーグのマイナー化しないためには、極論を言えばこの金銭的な差さえなくなれば防ぐことが出来ると思います。そのために私は少なくとも「お金」の部分に関してはその道の専門家がプロ野球でも従事すべきだと思います。

私が思うアメリカと日本の差その2はこの「お金」の問題です。

プロ野球に営業努力が足りない一番の問題は球団の中枢に「野球しか知らない人」が多すぎる上にむしろそういう人が占めるのを礼賛する傾向があることだと思います。

プロ野球OBにとってそういう席は言わば公務員の天下り先のような既得権益ですから、プロ野球経験者=解説者や監督やコーチがそのような部分に「野球しか知らない人」がいるほうが望ましいとして理屈を付けるのは当然です。彼らがどれだけそう力説したとしても我々は天下りを守ろうとする公務員の主張のように差し引いてその意見を見る必要があります。

もう一点はこれはファンにも多いのですが、日本人はどうも能力をしっかりお金で評価してもらうことを悪いことであるかのように考える人がいます。具体的にいえばA球団に行けば5億もらえるけど、お世話になったB球団に1億しかもらえなくても居続ける事を美徳とみなすような考え方です。

私はこのような考えが大嫌いですし、大間違いだと思います。少なくともこのような考えが主流である限りはサラリーキャップなどの給与制限などは全く意味がなくなります。百害あって一利なきこのような考え方がなくならなければならないでしょう。

 

>追記

巨人のVenusNetにて巨人側だけですが記録が確認できるようになりました。

http://www.giants-venus.net/eastern/index.html

イースタンリーグでもそうなのですが、このように各打席まで確認できるような記載をするのは巨人だけで非常に助かっております。

 

ここで気になるのは「成績は非公式です」 という記載です。

これから推測するに、フェニックスリーグには公式記録員が同行していないか或いはNPB-BIS(日本プロ野球の全試合データを管理するところです)に登録をしないように思われます。

つまり10年後、20年後に今年のフェニックスリーグを誰かが振り返ろうとしてもデータが残っていないということです。

スポーツ紙も見てみましたがスコアシートは載っていませんでした。

やっぱりこのあたりが日本プロ野球のまだまだ遅れているところだと改めて感じます。

 

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