巨人の戦力外選手第一陣

が発表されました。既報でご存知の方も多いでしょうが、改めて名前を書き出すと以下のとおりです。

【投手】
　酒井順也
【内野手】
　吉川元浩
　十川孝富
【育成】
　下山学
　作田啓一
　芦沢明（退団申し入れ）

支配下枠の３名は予想通り、育成についてはここでは書いていませんでしたがある程度予想の中ですね、芦沢はちょっと予想外でしたが。

もちろんこれで全員のはずが有りません。単純に考えても高校生ドラフトで３名指名したのに、３名しか解雇しないのだとすれば、７０人枠を使い切っている今年の場合は大社ドラフトで指名できるだけの枠がなくなってしまいます（笑）
報道で「今年の戦力外については２段階で」という話（このあたり報道機関によって通告の仕方の詳細が違っているので詳しいことはわかりませんが）なので、この後にまた追って通告があるものと思われます。

ただその２段階の分け方を、ニッカンスポーツが報道しているように「実績のない選手が対象：第１次戦力外通告。クライマックスシリーズに出場したチームの選手などが対象となる最終（第２次）戦力外通告」という分け方になっているのだとすれば、ちょっと疑問が出てきます。
何かというと、木村正太や岩舘学あたりがこの第一次通告に含まれていないということです。彼らは残すということなのかもしれません、まだ断定はできませんが。
ただ木村の場合は、去年も育成選手へ移行した２選手の移行の発表は戦力外通告より後に発表されたので、それと同じように発表が遅れているだけだと推定することが可能です。


もう１つ疑問なのは、先にも何度か述べていたとおり、戦力外とするのならば何故最後の最後まで酒井順也を２軍で登板させていたのかということ。
こればっかりは推測するしかないのですが、可能性としては２つあると思います。
１つ目はシーズンぎりぎりまで球団が正否の判定を出せていなかったため、最後の見極めとして優先的に登板させていたということ。ただこの場合、判定を出せていなかったというのは前々からわかっているはずですから、８月〜９月の初めあたりに優先的に登板させる事が出来たはずなのに、何故そうしなかったのかという疑問が残ります。
２つ目は、戦力外通告をする選手を決める編成側と、チームの指揮を取るコーチ陣側とが互いに独立していることで、評価のズレが出たという可能性です。コーチとしては単純に戦力となると判断していたが、編成としては将来性などを見越して戦力にならないと判断していた、といったところでしょうか。たぶんこっちかなと思います。

ただここで誤解してならないことが１つ有ります。これは昔に日記にも書きましたが、編成と現場は本質的に共存できないものであるということです。
日本人はどうも「和」を尊ぶきらいがありますので、編成と現場が意見のズレがあるなんてのはそれだけで問題であるかのように思ってしまいますが（特に巨人はそういうのを面白おかしく書きたてられるのでさらに）、そもそも編成と現場というのは方向性が違うのですからズレるのが当たり前なのです。
当たり前のことですが“現場”は与えられた戦力で最高の結果を目指すポジションです。具体的に言えば優勝を目指しているのです、彼らは長期的な成功も短期的な成功もどっちも追いかけろといわれているわけでは必ずしも有りません。むしろ求められるべき役割は短期的な成功に限られていることが望ましいのです。
なぜなら長期的成功と短期的成功は往々にしてバッティングし、共存できないものだからです。具体的に言えば選手の育成の為に結果には目をつむって起用するなんてのは短期的成功を抑えて長期的成功を重視しています。そのように同時に追い求めさせるのは非現実的です。
ならば現場では短期的な成功の実現に専念させ、長期的な成功に関しては別途役職を設けたほうが建設的です。現在の成功しているプロスポーツのほとんどでは（MLB,NFL,欧州各国サッカーリーグetc）その意識が浸透して短期的成功を求める役割と長期的成功を求める役割が分離されているのが一般的で、つまりそれが編成の役割です。
ですから短期的成功と長期的成功がバッティングする＝編成と現場がバッティングする、のは自然なことであり、同時に優れたチームであれば当然のことです。むしろそこに意見のずれがないほうが、どちらかの視野にかけているか或いは場当たり的に短期的だったり長期的だったりしているということであり、問題を抱えているチームだといえます。

話を戻しますが、もし２つ目の理由だとすれば正直に言って２軍コーチ陣の見立てにちょっと疑問を感じるのも確かです。実際に映像を見ていないのでなんともいえないのですが、酒井はこれまでと同じような失敗を繰り返していたようですから、なんでそれを見極められなかったのかなというのはどうしても気になります。