300勝の重み

 その歓喜は突然訪れた。アディショナルタイム3分。その3分で何としても得点しようとするチーム全体の執念があのゴールに結びついたに違いない。


 永井のヘッドが決まればそれはそれで劇的な幕切れだが、サッカーの神様もそんな三文文士が書くような筋書きは見せてくれない。


 CKのこぼれ球を兵働がクロス、それをヨンセンが合わせ、ゴールネットを揺らす。 ゴール裏に駆け寄るヨンセン。控えの選手も駆け寄って彼をもみくちゃくする。当然ゴール裏は狂喜乱舞、まさにGWのお祭り騒ぎ。ピンポイントで合わせた兵働も技士(わざし)だが、ヨンセンは策士。よくぞそこに浦和のDF陣を避け廻りこんできたとうなってしまうポジショニング。


 


 前節、磐田が引いて引いてカウンター一発、あとは猛攻を耐え忍び勝利をもぎ取ったことから、リスクを避けてカウンター狙いかとゲーム前は想定していたが、あにはからんや積極果敢に攻め込んでいく。中盤どうしのぶつかり合いで一進一退、五分と五分の攻防が続く。まさか、あそこまで浦和のボランチも攻撃に参加するとは、やはり浦和も勝ちにきていることがうかがえる攻撃布陣。けだし、エジミウソンのゴールは技ありゴール。結果から言えばこの1点だけだったことから、守備としては及第点。


  いやそれ以上に後半、武田に仕事をさせまいとする、平岡、本田、ボスナーの踏ん張りには感謝。さすがに途中出場で、浦和サポを背負っての仕事ゆえ武田も幾分の不安はあったはず。「声が大きすぎてブーイングをブーイングとは思えなかった」とコメントしているものの、途中出場のGKの労苦は推して知るべし。


 


 気持ち的には小野のゴールも観てみたかったが、やはりサッカーの神様のお気には召さなかったようで、チャンスをものにできなかった。


 


 先日の新聞報道で2009年決算も黒字、累積債務を解消したとあった。スタート10のチームでありながら、一度は経営破たんでつぶれかけたチーム。市民球団から鈴与の資本が入ろうともよそに比べたら経営規模はそれほど大きくない。身の丈にあった経営チームが300勝の勲章も獲得。鹿島、磐田についで三番目。上2チームにたいして黄金期がないのにもかかわらず300勝。6.7年前は降格争いにも巻き込まれていたのに。着実に堅実に。派手さはないがチームは一歩一歩成長し続けている。


 


 GWの楽しい勝利の余韻はここまで。


 京都・新潟と下位チームの対戦が続きますが、勝って兜の緒を締めよ。勝ちは八分が最上の喩えどおり、慢心することなく次節対策を。

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