【サッカー　福島】　仁賀保は恨むが如し寂しさに悲しみをくわえて

長駆日本海縦貫線を駆け抜けたのはいったいいつ以来だろう。新潟まで上越新幹線の始発で向かい、新潟から「いなほ」に乗り換える。早晩置き換えの決まった（常磐線からの転用だが）４８５系に乗るもの久しぶり。

庄内平野を抜け有耶無耶の関を越えたのならそこは化外の地まつろわぬ民の住む蝦夷。

芭蕉が訪れ船で巡った九十九島は今では水田の中に点在。この日梅雨明けしたとはいえまだ、雲に覆われ快晴とはいかず稲の生育も心配。

蚶満寺の芭蕉像東北各地を旅し芭蕉像に幾度もめぐり合うが、ここの芭蕉像は奥の細道の最北地に立つもの。

近くにある道の駅で岩牡蠣を食す。きっと芭蕉も食したであろう。

隣の金浦は白瀬矗の生誕地。記念館もあり訪れたかったのだが時間がなくこれは断念。小さい町が連なるが、それぞれ特色を持ち好事家には堪らない。ご多分にもれずこれらの街は平成の大合併でにかほ市に。市名のもととなった仁賀保はTDKの企業城下町。以前走っていた「鳥海」「出羽」もこの街のためのようなもの。

TDKの工場を駅との間に挟んでこのスタジアムは存在する。仁賀保グリーンフィールド。

サッカー専用っぽいが、ソフトボールでも使えるような構造とか。確かに、照明の位置は変則だし、バックネットを有する変形スタジアム。

ゲーム開始前、ローソン提供（スポンサーになっているとか）のLチキンの早食い競争を実施。

サポ仲間でじゃんけんで決まったKさんが出場。LチキンではなくLチキンバーガーの早食い競争だった。参加したのが女性ということもあり「2個で」と声をかけたらすんなりとおり、男性３個・女性２個の早食い競争。

結果はハンデイもありKさんの優勝。

これは幸先良いスタート。

でも余興は余興。ゲームとは別物。

ゲームを前半から作っていたのはうち。

積極的に動き攻撃の体勢を構築していく。

いきなりセットプレーから見せるも得点にいたらず、それでも今日は行けると思わせる。

純弥や康剛がゴール前で決定機を再三にわたり作って行くが精度があまりにも悪すぎる。

先制点が欲しいにもかかわらず決めきれない。

そのうちブラウブリッツがサイドチェンジを交えた鋭い攻撃を魅せる。サイドの選手の駆け上がりの速いこと、そしてサイドチェンジの上手いこと。ボールが綺麗に収まる。

こうなってくるとうちの悪癖がでそうで怖い。後ろからつっかけてのカードをもらうってパターン。それでも選手たちもそこは心得ているようで不用意なプレーをすることもなくそれぞれがきちんとカバーリング出来ている。

前半をスコアレスで折り返す。

得点ができそうでできないそのフラストレーション。言ってしまえば精度の悪さ。下世話な言い方をすればへたくそ。

ハーフタイム中にサポ仲間と「やな展開だな」と話していたがそれが現実のものとなるにはそう時間もかからない。

後半のいきなり失点。どう見ても白のユニホームが多い中（ようは自陣）をあっさりとヘディングで決めれれる。ここ数試合続く失点シーン。マークのずれ。受け渡しがきちんとできていない証左。

追う展開になるとどう見てもうちが不利となる。闇雲ではなかろうが攻撃がパワープレーに偏ってしまう。

コースケを投入し彼を動かそうとするもイマイチボールが収まらない。ホンヨンも然り。

塁くんも最後シュートを放つも結局枠外。

スピードもブラウブリッツの方が数段うえで守備を崩しきることもできず、わずかなチャンスのカウンターですら精度を欠くとなればいかんともしがたい。

結局のところ立ち上がり、再三のチャンスをものにできなければ勝てる試合も自滅するのみ。サッカーは点を取れなくても取られなければ勝ち点を積み重ねることのできるスポーツ。

ここまでくると個の能力差はいかんともしがたく、そこはチーム力でカバーするよりほかない。

ここアウエイの数試合で恒例となりつつあるバス囲みと称する選手への差し入れ。

今回は、スタジアム前のローソンで調達。

その店内では、秋田の勝利を記念し粗品を配布。ゲーム前に早食い競争の仕切りをしていた浴衣姿のお兄さんが配布。

この方誰あろうブラウブリッツの社長。Ｊ準加盟といえどもどこも台所事情は同じ。３２歳の青年社長も運営ではなんでもやさん。

選手の出待ちのあと、監督と話すも、監督も苦悩している様子が見て取れる。

憂いを生むのは３００年前と同じ。芭蕉は「うらむがごとしかなしみをくわえて」と語る。それは選手監督サポーター皆同じ。象潟ならぬ仁賀保はそのような土地だから。