阿部の離脱を捕手陣の構造改革のチャンスにすべき!・星の男気
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舎人
2011年04月09日 04:04 visibility590
来週からいよいよ一軍が開幕となりますが、巨人にとって最も恐れていた事態が発生しました。阿部の離脱です。本来、打力を期待できないポジションであるはずの捕手において、阿部は昨年44本塁打を放つなど、打線の中核を担ってきました。つまり、阿部は捕手であり、打線の主軸という一人二役を担っていたということです。これが巨人の他球団に対する大きなアドバンテージになっていたのです。それが無くなったということは、巨人は2つの駒を用意しなくてはならなくなったということです。1つ目の駒が捕手、もう1つの駒が打線の主軸ということです。
この難局を乗り切るために、打線の組み替えなど色々な方策が練られていますが、高橋を5番で起用するということは、打線の主軸という駒を期待してのことでしょう。そして捕手の駒は鶴岡が起用される方針だとか・・しかし、当然のように阿部の代役に鶴岡を起用することに私は大きな疑問を感じてしまいます。鶴岡を起用するにあたって、何か検証がなされたのか?ただ単に過去の実績だけで決めてしまっているのではないか?今のチームの捕手事情を原監督以下首脳陣はどう考えているのか?そんな疑問が沸々と湧いてきてしまうのです。
鶴岡は2008年のペナントレースにおいて、阿部のいない間の穴埋めをし、大いに優勝に貢献してくれました。しかし、肩の弱さが致命的で捕球にも難があります。あくまでも急場しのぎの代役に過ぎないと私は思っています。他に捕手がいないのならまだしも、巨人には加藤、星、実松、市川といった具合に肩の強さも捕球も鶴岡よりも上の捕手が揃っています。彼らが鶴岡よりも間違いなく劣っているといるとすれば一軍での経験だけです。それならば、何の疑問も持たずに代役を鶴岡に決めるのではなく、まずは競わせて欲しいと思います。彼らだって決して若くはない。加藤と実松が30歳、星がもうすぐ29歳、市川がもうすぐ26歳といった感じなのです。この機会に彼らを試さないで、いつ試すのでしょう?彼らには毎年のようにトレードのオファーがあったと聞きますが、それを断ってまでチームに残した意味が私には分かりません。
昨年の夏場にイースタンリーグで悲しい現場を見ました。当時の日記「キャッチャー多過ぎ!」「“キャッチャー多過ぎ!”の動画アップ」をご覧になって欲しいのですが、ファームの試合の前に7人ものキャッチャーがホームベースの周りでウロウロしているのです。こんなのはおそらく巨人だけです。この時、元大阪爺さんたちと話していたことはオフには1人か2人出るだろうということでした。しかし、オフに誰も入れ替わることが無く、捕手出身の小田嶋が引退しただけです。するとこともあろうか、原監督は寺内に捕手を練習させようとしたりしています。捕手というポジションはそんなに簡単ではないだろうに・・それならダブついている捕手に他のポジションを試させるべきです。今年は二軍が2つになりさすがに7人もウロウロすることは無くなったでしょうが、昨年と事情は全く変わっていません。巨人の捕手陣は集めるだけ集めて、人材を腐らせているだけです。この閉塞感を何とかして打破しなくてはいけません。
私は今回の阿部の離脱を巨人の捕手陣の構造改革のチャンスにすべきだと思っています。具体的には中堅以上の捕手の数を減らすことです。問題は今年34歳の鶴岡から29歳の星までの間に巨人には5人も捕手がいることなのです。これが人材を腐らしている部位みたいなもので、市川より下の世代にも重い蓋(ふた)となってしまっているのです。これを“仕分け”ることによって3人以下にするべきだと私は考えています。阿部は決まりとして、後2人で十分です。そのために彼らにはチャンスを与え、今後チームに残すべきかどうかを見極めるべきです。そして、残り2人は放出してあげる。使いもしないのにいつまでも保有していることが最も罪なのです。投手の数が多いからその分捕手が必要という話もありますが、これはあまりにも彼らに失礼な話です。それならブルペン捕手の数を増やせばいいだけのことです。
そういった戦力の見極めの上で阿部の代役が鶴岡というのなら何も文句はありません。誰が2番手、3番手になったとしても、鶴岡から星までの間の世代が軽くなるということによって閉塞感は薄れ、中間の世代の市川や次世代の鬼屋敷・河野たちの抜擢につながることになると思います。
私が個人的に最も好きな捕手は星です。肩の強さや打撃が魅力なのもありますが、それよりもキャプテンシーを感じ、投手を叱ることができるからです。野間口がフラフラしているところ、活を入れ、立ち直らせたのを見たことがあります。また、ファンサービスを“てらい”無くできる選手です。雨で中止になったグラウンドでベースランをして、ホームベースに向けてに泥だらけになりながらヘッドスライディングをしたのを見たことがあります。中止の無聊をファンの前でパフォーマンスをすることでなぐさめようとしたのでしょう。そういった人間性に富んだ点も魅力に感じています。
その星の話が現在発売中の週刊ベースボールの清武さんのコラムに載っています。宮城県出身の星はなんでもチームメイトやファンに呼びかけて集めた段ボール80箱分の救援物資をワゴン車に詰め込み、3月28日の未明に6時間半をかけて、故郷の宮城県名取市に運んだのだそうです。さらにそこから壊滅的な被害を受けた南三陸町に走り、支援物資を渡した上で選手たちから託されたビデオメッセージを町の人に届けたのだとか・・。詳しくはコラムを読んで欲しいと思いますが、何と男気に溢れた選手でしょう!清武さんは星のことを「一人の人間として尊敬の念を抱いた」と書いていますが、私も同感です。読んで目頭が熱くなりました。
清武さんのコラムの今回のタイトルは「被災地の星」というものでした。祖父母を震災で亡くし、星は今年、大きなものを背負って戦うことになります。何とかその思いが届くシーズンになって欲しいと思います。私も今まで以上に応援をしたいと思います。
動画は開幕戦で星がマルチヒットを打ったものをアップしました。こういった活躍が今年は一軍でも見られたらなと思います。
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