
菅野の指名問題についての私見・ドラフト改革へ繋がる恐れ
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舎人
2011年10月29日 05:20 visibility4238
風邪を引いて体調が最悪のため、ドラフトについてまとめて話そうと思ったのですが、それは体力が戻ってからにして、今日は菅野についての私見と今後の予想に関して話そうと思います。菅野は将来に向けて幾つかの選択肢を持っています。
①指名を受け入れ、日本ハムに入団する。
②社会人に進み、2年後のドラフト指名を待つ。
③メジャーに挑戦する。
最終的には菅野本人の意思に任せることになるようですが、メンツを潰された東海大学と菅野の親族がどう受け止めるか。私は限りなく日ハム入団の線は薄い気がしています。しかし、それは別の混乱を生む懸念があります。菅野は巨人に入りたい訳ではなく、叔父さんと一緒にプレーしたいということです。BANBABANさんが日記で話されている通り、菅野は常に原監督とセットで考えねばならず、菅野が日ハムの入団を拒否すると言うことは、それまで原さんに監督を続けてもらわなければならないと言うことを意味します。これは、フロント主導の球団改革を進める上で非常に障害になります。以前も話した通り、巨人の球団改革の最終章は、原監督の退任だと思います。選手起用から育成方針まで、球団主導で行うためには原監督より別の人物の方が監督に相応しい。私は原監督は来年、もしくは再来年限りで退任し名誉監督かシニアディレクターになると予想していました。しかし、菅野次第ではそのレールも違ったものになってしまうのだと思います。
菅野に関して、巨人の囲い込みも、日ハムの強行指名もルールの範囲内なら全く問題にすることではないと私は思います。ただし、日ハムの指名はやや相手を舐めていた気がします。取りあえず門前払いを覚悟して指名のあいさつだけでもしておけばよかった。もちろん最初から無駄だと判断し、確信犯的にあいさつをしなかったのかもしれません。しかし、力のある選手というのは力のない選手に比べ、いくらでも自分の願いを叶える方法を選択する力があるのです。そのため、自分の球団に入団させるそのハードルの高さを考えると他球団はうんざりして指名しなかったのに対し、日ハムは意に介さなかったと言うことです。ここでの力とはもちろん野球をやる上での実力が第一ですが、背景に持っている力も加えたものです。そこらへんの高校球児とはまるで違う権力を菅野は自ら好むと好まざるにかかわらず持っているのです。
今後の菅野の選択を予想すると、社会人に進むことが最も現実的な気がしますが、それと同じ位メジャー挑戦もあるのではないかと思います。実はこのメジャー挑戦には巨人の陰謀が隠されているような気がするからです。それはドラフト制度の改革の提議です。「逆指名枠」の復活が悲願の巨人はこれを格好の大義名分にするのではないか。昨年12月に行われた異様に早い菅野1位指名発表も菅野のメジャー流出を危惧してのものでした。もちろんこんなものは方便です。しかし、現実として有望選手が意中の球団に入団できなかったということで海外に人材流出したということになれば、NPB全体の低下に繋がるという主張の格好の材料になるでしょう。そのために「逆指名枠」の復活を提議してくるのではないか。転んでもタダでは起きないのが巨人というものです。
田沢問題の時からこの布石は打たれていました。NPBのドラフトを拒否して当時エネオスに所属していた田沢純一がレッドソックスと契約したことでNPBは大いに焦り、あるドラフト制度の改革を行いました。「ドラフト指名を拒否し外国球団と契約を行った場合の指名凍結の特例」というものです。これは「プロ志望届を提出したドラフト対象選手がドラフト会議の指名を拒否して外国球団と契約した場合、高校生は帰国から3年間、高校生以外は2年間ドラフト指名凍結選手となり、ドラフト指名を行うことはできない」というものです。しかし、この制度には大きな落とし穴が残されているのです。田沢はドラフト自体を拒否してメジャー球団と契約したために、帰国から2年間ドラフトに参加できないことになるのですが、ドラフト指名を受けてこれを拒否してメジャー球団に入るのならば、帰国制限は適用されないのです。当初は“ドラフトの指名拒否に加え、指名された球団への入団を拒否して外国球団と契約した選手”ということで決まりかけていたのが、なぜか制度が決まる段になって緩和されてしまったのです。ここに大きな作為のようなものを私は感じます。
つまり菅野はメジャーで好きなだけプレーをした後、適当な時期に叔父さんのいる球団に入ることも可能だと言うことです。これは昨年の澤村の時にも話題になっていた話です。澤村なり、菅野といった実力もあり大きな権力を背景に持っている選手のみが使える手段です。
私はファーム至上主義者なので、菅野のような即戦力よりも松本のような素材型の高校生が入団してくれる方が何倍もうれしく思っています。しかもサウスポー!素材としては西武の菊池君に優るとも劣らないとか・・今から楽しみでなりません。だから菅野のことは正直縁がなかった選手ぐらいにしか思えません。ただこの菅野の問題は、今後ドラフト制度の改革にまで話が発展する懸念を感じます。そうするとどうしてもファームの在り方にまで影響が出てくる。
私は逆指名復活には反対です。チーム強化の方法が間違った方向へ向いてしまうからです。現在の育成システムに自信を持って、ファームの機能を強化すべき。逆指名はただ単に名前の通った選手を確保するためだけの方法で出会い頭というか、狩猟的なチーム強化策です。ファームを強化して農耕的なチーム強化策をやった方が安定して戦力を輩出することができるのです。一度や二度ならば逆指名選手も大きな効果があるでしょう。しかし、一度それを使い始めると、全てを逆指名に頼ったスカウト活動になってしまいます。そうやってしがらみを持って入団した選手たちが多くなればなるほど、どうしても公平な起用や采配を阻害することとなり、引いてはチームの活力低下の大きな一因になります。そのことを清武さんたちは分かっているはず。その見識を信じたい。菅野の選択を制度改革の駆け引きに使わないで欲しいと願わずにいられません。
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