私案・日本版ルール5ドラフト

  • 舎人
    2011年12月09日 01:53 visibility2047

今日は以前話した変則ウェーバードラフトと同様の球界活性化の私案についてです。これは各球団の中でチーム事情によって出番に恵まれなかったり、自分に合った指導者に巡り会えないためにくすぶっている選手たちをもう一度各球団に振り分けるという試みです。各球団の戦力均衡化を促し活性化させるとともに、選手の飼い殺しや二軍ずれを防ぐ効果があると思います。

 

現在、MLBではウインターミーティングが行われ、各球団のGMがトレードやFAなどの戦力補強について一堂に会し、話し合いを行っているのですが、毎年このウインターミーティングの最終日に行われているのが「ルール5ドラフト」と言われる試みです。

 

ルール・ファイブ・ドラフト (wikipediaより引用)

ルール・ファイブ・ドラフト(Rule 5 draft)とは、十分な活躍の場を与えられずに選手が半ば飼い殺し状態になることを防ぐために他のチームの選手を指名し獲得できる制度である。名称の由来はMLB規約の第5条に規定されていることから。

毎年12月のウィンター・ミーティング最終日に行われる。メジャーの40人ロースター(選手登録枠)に空きがあるチームのみ参加可能で、その年の優先権のあるリーグでレギュラーシーズン勝率の低いチームから指名権が与えられる。優先リーグは毎年交互に入れ替わる。

制度の悪用による過剰な引き抜きを防止するため、以下のような規定が設けられている。

 

規定

ロースターによる制限 

メジャーの40人ロースターに登録されている選手は指名できない。つまり、マイナー契約の選手のみ指名できる。

在籍年数による制限

 18歳以下で入団した選手のうち、ルール・ファイブ・ドラフト実施日の時点で在籍年数5年未満(2006年までは4年未満)の選手は指名できない。19歳以上で入団した選手のうち、ルール・ファイブ・ドラフト実施日の時点で在籍年数4年未満(2006年までは3年未満)の選手は指名できない。

メジャーリーグ・フェイズ

AAAから指名した場合は、相手チームに50,000ドルを支払わなければならない。また、指名した選手は次のシーズンは全期間メジャーの25人ロースターに登録しなければならない。つまり、シーズン終了まで25人ロースターから外すことは許されない(ただし、故障者リスト登録は可)。故障者リストに登録せず25人ロースターから外す場合は、速やかに元のチームに選手を返還し、選手を返還されたチームは25,000ドルを払い戻さなければならない。ただし、返還先のチームが選手の返還を望まない場合はウェーバー公示され、第三者のチームが獲得できる。ただし、第三者のチームがウェーバーで獲得した場合も上記の規定が適用される。

マイナーリーグ・フェイズ 

AAのチームから指名した場合は相手チームに12,000ドルを、A以下から指名した場合には相手チームに4,000ドルを支払わなければならない。AAからの指名の場合は必ずAAAの、A以下からの場合は必ずAAのロースターにシーズン開幕時には登録しなければならない。ただし、途中でそれぞれのロースターから外れてもかまわない。


 


米球界の人材活用の発想は素晴らしいものがあります。日本でもすぐにでも導入すべきだと私は思います。しかし、このままでは制度があまりにも複雑すぎます。そこで私がこのルール5ドラフトを日本球界に合うように単純化してみました。


 


まずは条件
①各球団の入団3シーズン以上の選手で、次のシーズン開幕前に満26歳以上の選手。
②このうち投手ならば過去3年以内に一軍登板が25試合もしくは50イニングに満たない投手、投手以外は過去3年以内に一軍出場が50試合もしくは50打席に満たない選手を対象とする。
③各球団プロテクトは3名までとする。一度プロテクトされた選手は二度とプロテクトできない。
④オールスターで勝ち越した球団の最下位からウェーバーで選手を指名していく。
⑤最終的に引き取り手のない選手は元の球団の所属とする。


 


すると次のような選手が俎上に上がってきます。チームによって捕手を余らせていたり、投手を余らせていたり、やたらと選手が入れ替わり、対象選手自体がほとんどいないチームがあったりします。


 


中日
前田(右打ち捕手、28歳)、田中大(右打ち捕手、27歳)、谷(右打ち外野手、26歳)、柳田(右打ち外野手、29歳)、中川(右打ち外野手、26歳)
ヤクルト
加藤(左投げ投手、26歳)、渡辺恒(左投げ投手、33歳)、山岸(右投げ投手、29歳)、新田(右打捕手、29歳)、福川(右打捕手、35歳)
巨人
須永(左投げ投手、26歳)、加藤(右打捕手、30歳)、実松(右打ち捕手、30歳)、加治前(右打ち外野手、26歳)、隠善(左打ち外野手、27歳)
阪神
簫(右投げ投手、25歳)、上園(右投げ投手、27歳)、石川(右投げ投手、26歳)、白仁田(右投げ投手、29歳)、清水(右打ち捕手、27歳)、岡崎(右打ち捕手、28歳)、坂(右打ち内野手、26歳)、黒瀬(右打ち内野手、26歳)、野原祐(左打ち外野手、26歳)
広島
上村(右打ち捕手、28歳)、白濱(右打ち捕手、26歳)、井生(右打ち外野手、30歳)、迎(右打ち外野手、30歳)
横浜
秦(右投げ投手、28歳)、小杉(右投げ投手、26歳)


ソフトバンク 
小椋(左投げ投手、31歳)、高橋秀(右投げ投手、29歳)、新垣(右投げ投手、31歳)、久米(右投げ投手、26歳)、仲澤(右打ち内野手、29歳) 、小斉(右打ち内野手、28歳)
日ハム


宮本(左投げ投手、27歳)、松家(右投げ投手、29歳)、中嶋(右打ち捕手、42歳)、尾崎(右打ち捕手、27歳)、渡辺(右打ち捕手、26歳) 、岩舘(右打ち内野手、30歳)、関口(右打ち内野手、26歳)


西武 
山本(右投げ投手、29歳)、米野(右打ち捕手、29歳)


オリックス 
西川(右投げ投手、29歳)、辻(右打ち捕手、32歳)、横山(右打ち捕手、27歳)


楽天 
松崎(左投げ投手、28歳)、河田(右打ち捕手、32歳)、井野(右打ち捕手、28歳)、伊志嶺(右打ち捕手、26歳) 、大廣(右打ち内野手、29歳)、丈武(右打ち内野手、31歳)、楠城(右打ち外野手、27歳)
ロッテ 
橋本(右投げ投手、31歳)、服部(左投げ投手、29歳)、山本(左投げ投手、28歳)、木村(左投げ投手、26歳)、香月(右投げ投手、27歳)、光原(右投げ投手、31歳)、松本(左投げ投手、31歳)、金澤(左打ち捕手、27歳)、青野(右打ち内野手、28歳)


 


これをシャッフルしてチーム事情に合った選手を振り分けることによって、球界は活性化され、人材の有効活用につながります。少なくとも選手たちは現在のチームでひたすら出番を待って歳ばかり取ってしまうよりもマシだと思います。


 


こういったことはもっと選手会が問題にすべきです。どうも選手会はレギュラークラスの選手の保障にばかり気にしている気がしますが、本当はこのように力はあっても活躍の場に恵まれない選手たちのことを考えた提案がもっとあってしかるべきだと思います。


 


私は球界にかかわる言葉で一番嫌いな言葉は「飼い殺し」というものです。ナガシマさんの時代に嫌というほど、力はあっても活躍の場を与えられない選手たちを見てきました。ファームで頑張っている選手たちがチャンスをろくに与えられずに、いたずらに歳ばかり喰ってしまうのは悲しい限りです。村田に杉内とナガシマさんの時代を彷彿させる補強に走る巨人ですが、そんな悲しい時代が再び来ないことを祈るばかりです。


 


レンタル移籍についても導入を検討するという報道がありましたが、米球界や他の競技でも参考になるものはどんどん検証して日本球界に導入して欲しいと思います。

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。