積極的な球団経営をするセ・パの両球団の責任者が球団を去ることになった今オフ

  • 舎人
    2011年12月21日 04:03 visibility690
杉内がFAで巨人に移籍することになり、その責任を取ってソフトバンクの小林取締役が辞任をすることになったという。昨年の契約更改の場で不穏当ないきさつがあり、選手たちが一様に反発したことが、今回の杉内流出につながっているのだとか。この辞任はその責任を取った形のようだ。

小林さんの杉内に対して「FAしても獲る球団がない」との発言があったことが問題にされているが、おそらく“売り言葉に買い言葉”的に言葉の応酬があったということなのだろう。

杉内が巨人に来てくれたことは様々なリスクを孕んでいるとはいえ、ありがたいと思う。今まで様々な選手のFAがあったが、間違いなくナンバーワンのFA補強だと思う。しかし、正直、移籍に当たってのそういった内訳話はしないで欲しかった気がする。おそらく、今までお世話になったソフトバンクのファンや地元福岡に対してすまない気持ちから、つい出てしまったことなのだろうが、言わなくても事情はいくらでも伝わるものだからだ。ただ簡潔に「お世話になりました。心機一転、巨人で頑張ります」と済ませた方がよかったのではないか。その方がずっと格好良かった。

それにしても、小林さんが辞任をすることになり、巨人に似たチームのソフトバンクの責任者も球団を去ることになった。巨人の清武さんは渡辺会長との衝突から、小林さんは選手との衝突から。両名とも非常に前向きな人物で優秀だったと思う。しかし、優秀な故に自分を過信して、周りが見えなくなってしまった部分があるのかもしれない。

清武さんはその後、色々な場所で内訳話をしているが、どうやら全ては11月4日の原監督の渡辺会長のシーズン報告に端を発していることが分かる。そこから渡辺会長は清武さんと原監督との調整のために色々と動いたように感じる。週刊現代の二宮清純氏との対談で、清武さんははっきりと原監督とぶつかる部分があったと認めている。ただし、それは衝突ではなく「摩擦」だそうだ。勝てるチームを作ろうとすれば意見がぶつかることもあるのは当然だとのこと。ともあれ、巨人においてはこの球団代表と監督との軋轢がやがて球団代表と球団会長との衝突へと発展していったというのが真相だと私は思う。

巨人はフロントと監督、ソフトバンクはフロントと選手、清武さんと小林さんはあまり共通点が無いような気がするが、共に補強と育成を積極的に行う球団経営をする点で似ている球団の責任者だった。それが、同じように現場からの強烈な突き上げにあって二人とも球団を去ることになってしまった感じだ。GMが絶対的な権力を持つ米球界ではおそらく考えられないことではなかったかと思う。

彼らが築いたシステムが今後も運用されるのかが心配だ。大事なのは作り上げたシステムであり、誰が責任者になっても、それが機能していればいいのだ。そのあたり今後の両球団に注意したいと思う。

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