逆転サヨナラ負けよりショックだった長田の引退報道

どうやらオリックスの長田がシーズン途中での退団を球団に申し入れているらしい。
これは本当にショックなニュースです。

長田は元々は巨人の選手でした。
2002年のドラフト3位入団なので、久保や木佐貫、矢野なんかと同期です。
この年の高校生野手としては最高評価を受けていた選手で、
他球団にドラフト1位で指名された森岡(中日)や西岡(ロッテ)、尾崎(日ハム)よりも、
ワンランク上の素材だと評されていたほどです。
評論家の小関氏をして、巨人は久保、木佐貫、長田と、
今ドラフトで1位級を3人も獲得してしまったと言わしめていたほどです。

それほど評価の高かった選手を巨人はなぜ3位で指名できたのか？
これは長田の強烈な巨人逆指名があったからです。
その逆指名の話が出るまでは、
地元千葉のロッテや西武などが1位指名を検討するなんて話が出ていました。

かくして巨人に入団した長田でしたが、いきなり春のキャンプで話題になり、
篠塚コーチから直々の指導を受けることになります。
非常にセンスあふれるプレーに、評論家のキャンプレポートで、
わざわざ掘り出し物として、この高卒ルーキーは取り上げられたりしていました。
そして、早くもその年の5月には一軍に抜擢され、先発出場を果たしています。

しかし、その後の長田には度重なるケガが襲いかかることになります。
そして、そのケガを経るたびに、
少しずつ選手としてのパフォーマンスが落ちていった気がします。
走攻守に優れ、松井稼頭央のようになると期待されていたはずが、
度重なるケガの末、ただの非力なアベレージヒッターに成り下がっていったのです。
走塁も並、守備もまぁまぁと言った感じになっていました。
長田が巨人にいた時代というのは、言わば暗黒時代です。
ファームのスタメンの平均年齢が30歳前後の夢も希望もない時代でした。
そんな中で高卒選手として頑張っていたのが長田であり、山本将光だったのです。
ファームの試合を見に行くたび、目は長田を追い、山本を追っていました。
私の中での期待の高さは今の中井や大田以上だったでしょう。
確かに入団時の輝きはいくら待っても戻りませんでしたが、
いつか封印された本来の能力が復活し、一軍で活躍することを信じていました。

長田は仁志のいなくなったセカンドを守るため、
ずっと球団からは期待をかけられていたと思います。
それがなかなか思うように育たないことに痺れを切らし、
球団はある選手をドラフトで指名します。
それが現在一軍でセカンドでメインに出場している脇谷なのです。
脇谷はファームにいる時、優先的にスタメンセカンドで出場するようになります。
長田は脇谷が一軍に行っている時だけしかスタメンで出場できなくなりました。
長田はますます影の薄い選手になってしまったのです。

その年のオフ、長田は鴨志田とともにオリックスへトレードで出されることが決まりました。
これはオリックスの当時のGMの中村勝広氏が長田のことを評価しており、
「この選手は球史に残る素材だ」と前々から欲しがっていたからとのことです。
私はこのトレードの報に怒り心頭でした。
この球団は選手の成長の可能性を分かっていないと思ったからです。
私は木佐貫のように育ち切った選手や、栂野のようにいくら待っても、
巨人では開花しない選手をトレードに出すのは何も異論はありません。
しかし、当時の22歳の長田はまだ成長途上にのある選手でしたし、
23歳の鴨志田はドラフトで指名されれば間違いなく上位クラスの投手でした。
そういったまだ成長途上で評価の定まっていない、
まだまだ将来可能性のある段階の選手をトレードに出すのは反対なのです。
結果としては、代わりに来た谷が優勝に貢献し、このトレードは成功に終わりました。
しかし、これはただの結果論です。
谷を取ることには異論はありませんが、交換要員の点で、
このトレードは今でも間違っていたと思っています。
巨人は若手選手の可能性を軽視し、時々この手のトレードをしますが、
石井浩郎を取る代わりに吉岡を出して失敗したことを思い出して欲しいです。
長田の引退についてはまだ正式発表もなく、
本当のところどうなるのか分かりません。
なんでシーズン終わってからの自由契約ではなく、
シーズン途中なのかというのも不思議です。
他にやりたいことでもできたのでしょうか？
いずれにしても本人が決めた人生の選択です。
プロに未練がないのならそれも仕方ありません。

今までの思い出の数々・・
あの内角を体に巻き付けるようにして打つ打撃は忘れません。
鎌ヶ谷で打った山本とのアベック本塁打は今でも鮮明に覚えいます。
今までありがとうございました。お疲れ様でした。
悔いのない人生を歩んでいただけたらと思います。