高卒野手について・大田と橋本は今年どんな活躍を見せるか
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舎人
2010年01月31日 19:00 visibility168
早くも明日からキャンプイン!春の足音が確実に近づいてきています。
私は今年の巨人の新戦力を考えるに、やたらと中途半端な戦力を補強した感があります。
“この選手や投手を軸にチームを作り替える”といった補強は無かったように思うのです。
補強選手一覧(ドラフトを除く)
投手
藤井(日本ハム)32歳
昨年成績 22試合114.2回7勝5敗63奪三振 防御率3.53
小林(インディアンス)35歳
昨年成績 10試合9.2回0勝0敗4奪三振 防御率8.38
高木(オリックス)27歳
昨年成績 6試合20.0回1勝2敗4奪三振 防御率4.95
中里(中日)27歳
昨年成績 2試合4.1回0勝0敗4奪三振 防御率6.23
打者
エドガー(パドレス)31歳
昨年成績 82試合153打数33安打4本塁打18打点 打率.255
みんな微妙な選手ばかり。最初から主戦力としては期待していないのでしょう。
少しでも活躍してくれれば儲けものといった感じです。
ちょうど昨年のD・ゴンザレスみたいな立ち位置なんだと思います。
これは投手にしても野手にしても現在の戦力に自信があるからできること。
また金銭的に恵まれた球団ならではの編成ってことです。
しかし以前なら、それでも取り付かれたように過剰戦力をかき集めたことでしょう。
そしてその時は、それによってチームに不協和音が生まれたり、
「採算が取れない」とか「とんでもないお荷物」といった嫌なムードが漂ったりしました。
その頃に比べ、巨人のフロントも少しは賢くなったようです。
長嶋さんの時代から10年以上かけてようやく学んだのでしょうか。
今の清武球団代表は節度と将来のビジョンがしっかりしているようです。
原監督は小笠原、ラミレス、阿部以外のレギュラーはみんな白紙なんて言っています。
昨年レギュラーだった坂本や亀井、松本たちは、他の選手たちと、
一からレギュラーを競そうことになるということです。
これは小笠原、ラミレス、阿部の三人は取り替えが効かない選手だが、
他は幾らでも代わりになりうる選手がいるという自信の裏返しでもあるのです。
木村が引退し、セカンドのポジションが空いているというのに、
今年の野手の補強は上記のエドガーのみ。
この選手は即レギュラーってことにはならないでしょう。
それでもこの先内野手の補強をするって話は聞きません。
球団としてはエドガーがだめでも、
若手野手を競わせ使い回せばなんとかなると思っているのです。
その球団期待の若手野手の代表が中井であり、大田なのでしょう。
坂本の成功により巨人は本当に変わりました。
以前は高卒の選手はレギュラーになるどころか、
ベテランや大卒選手たちが優先的に起用され、イースタンの試合でも出たり出なかったり。
ここ10年を振り返っても、山下や長田、山本といった期待の高卒野手がいましたが、
球団は、彼らには“まだ高卒だから・・”といった甘やかしや、
(起用しない)言い訳があったように感じます。
確かに高卒選手はプロとしての体力が無く、将来のことを考えれば体作りも大切です。
しかし、多くの高卒選手がそんなのんびりとした方針の中で、
大学や社会人経由の選手に追い抜かれていってしまったような気がします。
坂本が入団してからどう変わったのか?
なによりも実戦の中で力を付けさせることに大きく方針転換しました。
高卒といえども、どんどん試合に出し、実戦を積ませています。
現在の力よりも将来性を見越して選手たちは起用されています。
これは本当に正しいことなのかどうかは分かりません。
坂本が成功したからといって、次に続く選手が出てくるかどうか分からないからです。
また、将来こういった育成で選手寿命が短くなりはしまいかといった懸念もあります。
それでも、多くの若手選手たちが一軍昇格や抜擢の旬を逃して、
だんだんファームずれしているのを見てきた私としては、
現在の方針を強く支持したいと思っています。
さて、期待の二年目、大田と橋本ですが、
昨年は二人ともまずます持ち味を発揮した良いシーズンだったと思います。
特に大きなケガが無く一年間過ごせたことがなによりもの収穫でした。
かつて、二人に勝るとも劣らない期待を込められていた長田は、
ケガをするたびに一回りずつスケールダウンしていったような気がしました。
なんであんなことになったのか、今でも残念でなりません。
大田と橋本の二人には、プレーを磨くこともさることながら、
ケガをしにくい体作りもこの一年で取組んで欲しいと思っています。
A班スタートの大田の課題は第一に守備です。
昨年は全てが大雑把なものでした。
打球にやたらと飛び込んだりしてファインプレーもありましたが、
そういったダイナミックな動きは下手な選手の裏返し。
本当に上手い選手は小坂のように動きがスタティックです。
打つ方は経験さえ積めばなんとかモノになる雰囲気がいっぱいです。
後はどこまで首脳陣が我慢して起用できるかにかかっていると思います。
ドラフト1位入団という特権でライバル中井に一歩リードの形ですが、
いつまでも待ってはくれないでしょう。
個人的には今年ではなく、来年が勝負の選手だと思っていますが、
間違いなく将来の巨人を背負って立つ選手になることでしょう。
橋本の方は走塁が課題。
同じタイプの俊足巧打の外野手には鈴木を筆頭に松本・工藤といます。
さらに右打ちという特性とパンチ力まで兼ね備えた長野まで入団してきました。
この中でレギュラー争いをすることは恐ろしく厳しいものになります。
私の勝手な印象で5選手の5ツールの優劣を付けるとすると、
打撃 松本>長野>鈴木≧橋本>工藤
長打 長野>>橋本>鈴木>>工藤>松本
守備 松本=鈴木=工藤>長野=橋本
肩 長野≧橋本>松本>>工藤>鈴木
走塁 鈴木>工藤≧長野=松本>橋本
こんな感じでしょうか・・
この先、橋本が生き残るためには、走塁を磨くことが間違いなく必要なのです。
脚自体はかなりの俊足です。しかし、盗塁死がやたらと多いことから分かるように、
どうもスライディングに問題点があるのかもしれません。
今年はこれを徹底的に磨いて、逆に武器にすることを目指して欲しいと思います。
打つ方守る方は、すぐにでも一軍で使ってもいいほどの段階まで来ていると思います。
松本に代わりに出場させても、そこそこ活躍できるような気がします。
その位、個人的には評価の高い選手です。
私は橋本の完成型は5ツール全てに秀でたケガをする前の前田智徳だと信じています。
一軍のレギュラー争いをするのは来年以降かもしれませんが、
今年は一軍でも出場の機会が数多くあることでしょう。
動画は私が2009年に撮った大田と橋本の全ヒットをそれぞれまとめてみました。
二人の今年更なる活躍を期待したいと思います。
大田泰示2009年イースタンでの活躍
http://www.youtube.com/watch?v=V7fHLNmjTf8
橋本到2009年イースタンでの活躍
http://www.youtube.com/watch?v=dv3dGqai9Qc
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