2011年J2第27節 横浜FC-愛媛FC 「たった一度の」
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おかき
2011年09月12日 15:16 visibility156
試合終了の笛が鳴った後、あまりにも静かだった。まさに通夜だった。いつもは吼えるゴール裏ですら、無言で選手達を出迎えた。たった一つのゴールがその魂を吸い取ったからだろうか。それとも大切な人がここにいないからだろうか。
何だかいつもと違う夜だった。三ツ沢で試合を行っていない影響もあるだろうが、何かが違う。芝の色?匂い?風景?風?ホームやアウェイというより、それぞれが抱える思いがすれ違っていた様に見えた。今回ゴール裏付近の弾幕を中心に、喪章があった。自分達で供えた喪章だったが、その通り喪に服してしまった。亡くなった横浜サポの方とは深い付き合いがあった訳ではないが、彼女が望んでいた事はこれではないはずなのだが。
たった一度射抜かれたゴール。でもたった一度なのは、人生も同じ。だから前を向いて生きる。そこに全力を注ぎ込む。上り坂があれば、下り坂もある、そして「まさか」もある。それでも私達は俯いてはいられない。
人生において人と人の出会いが何かを生み出す様に、前半横浜のパスは愛媛陣内で何かを起こすのではと思っていた。4-4-2というベーシックな布陣の愛媛だったが、バイタルエリアの守備は緩い。野崎も荒堀も何度もここを突破して愛媛ゴールに迫った。北九州戦で見せた荒堀のゴールまでのルートの様に細かいパスは何本も繋がる。
だが、最後の部分の詰めが甘く、横浜は主導権を奪いつつもミスを犯して愛媛の守備を崩しきれない。
前半はスコアレスドローだったが、決して悪い内容とまでは言えなかった。愛媛のFWジョジマールと福田を抑えて、本当にヒヤリとするシーンはなかった。
後半も同じ様な展開が続いたが、横浜は徐々にリズムを失った。愛媛は2トップに加えて、齋藤がやや高めの位置から牽制する様にプレッシャーをかけてきたことで、後ろからのビルドアップが容易ではなくなってしまった。
ボランチがそれをヘルプして掻い潜りたかったが、その変更に気が付くのが遅く、気が付いた頃には自分達も消耗してセカンドボールにも競り合いにいけない位に疲弊してしまっていた。
そのプレスをかいくぐって、4-4の2つのラインを崩すアイデアが体力が落ちてくると、思考力も低下し相手を崩すプレーを共有出来なくなった。柳沢は相変わらずクロスを入れる事ばかりで、相手の脅威にはならなかった。野崎も前半こそよかったが、負傷の影響もあり後半はインパクトを残せないままピッチを退いた。
そういった状況で、荒堀が右サイドからドリブル突破を仕掛けようとしたところをカットされ、こぼれ球を愛媛・齋藤に拾われて独走を許し、ゴールを決められた。後半28分。
それから愛媛はより守備を固め殆ど前に出てこなくなった。横浜はその閉じられた扉を開くことが出来ないまま試合終了を迎える事になった。閉じられた扉を叩きたくても叩けない人もいる。あまりにも無残な敗戦になってしまった。そこにある時間はたった一度きりだから、全力を尽くすのが筋だと思う。この日ピッチに立っていた選手達は誰かの鼓動を加速させたか?また見てみたいと思った選手になれた奴はいたのか。
人生は山あり谷ありだから、負けることがあるのは当然だ。だが、山は自分で乗り越えるしかない。たった一度のサッカー人生は長くない。いつ消えてしまうかわからない。悔いがない程に全てを出し切って、走りきっているか、今一度問いたい。
今日はだけは静かに眠らせれくれないか きっと明日はまた立ち上がるから
こう見えても俺はおセンチなんだよ。
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