“キャプテン”的脱臼生活 その1 前編
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ドゥイ
2006年02月13日 21:07 visibility224
2月13日AM0:30。
とある病院の待合室。
トリノ五輪の熱気を伝えるテレビ一台と、テンション低めの男一匹。
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2月12日PM6:30。
葛西臨海公園付近のグラウンドでキックオフ。
30分×4本。
今週も木曜日に個サルに参加し、体の調子はいい。
「チャレンジ」。その一言を胸に、試合に臨む。
PM7:30。
2本目も中盤に。徐々に体もあたたまり、「チャレンジ」開始。
FWに入るクサビのボールを前でインターセプト。
ダイレクトでサイドへ展開。
ロングフィードでチャンスメイク。いい感じ。
PM8:30。
3本目に入るも体力は十分。VAAMに感謝。汗となって代謝。
そして、その時は来た。
相手の中盤から、ディフェンスラインの裏にボールを出される。追いかける敵FWと“キャプテン”。「私を捕まえてみて」「待てー、こいつ〜」「アハハ、アハハハハハ」。
ワンバウンドし、高く跳ね上がったボールを、一歩先に出ていた相手がトラップの体勢に。
斜め後ろからチェイスの“キャプテン”。「今のタイミングで跳べばクリアできるかも」。だが体勢不十分。「危ないかな」。一瞬、迷った。だが、今日のテーマは「チャレンジ」。185センチの長身。ヘディングには自信あり。「フライ、ハーーーイ」。跳んだ。ボールを捉えた。その瞬間、 “キャプテン”の身体を相手FWのタックルが捕らえた。
「軽くヤバい。体勢を立て直さなきゃ」。しかし空中で無防備になった“キャプテン”の体は急速にバランスを失い、右肩から地面に叩きつけられた。
「ミシリ!!!」。「かなりヤバい」。そのあまりにも不自然な感触から、怪我の深刻な状況は否が応でも認識した。
すぐに激痛。右肩を抑えてうずくまる。駆け寄るチームメイト。ピッチから立ち去る“キャプテン”。ベンチに座りうずくまる。
「大丈夫?救急車呼ぶ?」。心配したチームメイトが声を掛ける。生まれてこの方、大きな怪我をしたことがない“キャプテン”。一日に、1リットルの涙ならぬ、“1リットルの牛乳”を愛飲している“キャプテン”の骨密度は相当なもの。「救急車NO!たぶん大丈夫」。
強がると、「次の試合は出ないほうがいいよ」。言われなくても、そうします。ハイ。
ぽつんと一人、帰宅の途につく。
シャワーを浴びながら逡巡し、反芻し、葛藤。
2ヵ月後に迫る都リーグ開幕戦のこと、仕事のこと、家のこと。
いろいろな人に迷惑を掛ける。
特に、家族。やんちゃ盛りの2歳の息子の面倒や家事をワーキングウーマンの“奥さん”一人に任せること。それを考えただけで、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「少しでも早く治さなきゃ」。月曜日の朝イチに予定していた診察予定を繰り上げ、深夜0時、救急外来の門を叩く。
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2月13日AM0:40
とある病院の診察室。
レントゲン写真を見ながらサラッと一言。「鎖骨の関節脱臼だね」。
「手術でボルトを入れて固定しないと完全には治らないけれど、プロのラグビー選手とかは(手術しないで)そのままやってるよ」。よく考えると?なコメントだが、落ち気味の“キャプテン”には妙に頼もしく聞こえる。
「詳しいことは、もう一回鎖骨のレントゲン撮ってみないとわからないから、次来たときねー」と“淡白宣言”全開の医師の言葉に、力が抜ける。
うん、急にいけそうな気がしてきた。「先生、勇気をありがとう」。
しかし、現実は甘くなかった・・・。
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