「育成選手制度」・・・その必要性とは。

 結論を先に行ってしまうと、私は「育成選手制度」には反対である。


 理由は簡単で、一軍の試合試合と、将来の一軍選手育成の場となる二軍の試合試合前後を戦う上で、それほど多くの選手を必要としないからだ。


 


 巨人の育成選手制度活用は成功しているじゃないか!という反論があるだろう。確かに仰る通り。山口や松本といった新人王も生まれている。ただ、これに喜ぶのは早計ではないか。


 問題は、では新人王も獲れるような逸材が何故ドラフトで本指名されていないのか、ということである。これははっきり言えば、巨人だけではなく球団スカウトの大きな失敗ではないか。


 つまり、そういった選手をドラフト本指名で獲得できるようになれば、育成選手制度なんて必要ないのである。


 


 勿論、プロ入り前の選手が、プロ入り後にどのような成長をたどるのか、どの程度活躍するのかを見極めることは非常に難しい。よって育成選手制度を今すぐやめろとは言わない。


 一方で、この大量の選手獲得の中で、どのような選手がプロで活躍できるのか、それを見極めるためにスカウトはどうあるべきなのか、そういった選手をプロ入り後にどのように育成していくべきなのか、そういったノウハウを蓄積していく必要があるはずだ。


 


 究極のプロ野球球団は、獲得した選手が全員活躍し、しかもFAや外国人による補強を必要とせず、なおかつ強い、とあるべきではないのか。


 それは実際には不可能としても、できるだけそれに近づいていく過程として、数多くの選手を入団させ、実際に育成してみることで多くのノウハウを蓄積するというのであれば、私は現段階として否定はしない。


 


 清武氏は育成選手制度の(一時的な)成功に胸を張ったが、その後の展開についてのコメントを目にすることは無かった。年経っても年経っても「とにかく数多く選手を入団させれば、その中でいくばくかの成功例が出てくる。これが育成だ!」では進歩が無いとは思わないだろうか。


 


 実際、育成選手として入団した選手の中にはわずか年で退団してしまうような「失敗例」もある。そのような不幸は無い方が良い。そのような失敗を減らしていけば、おのずと育成選手制度など必要なくなるはずなのだ。


 


 冒頭に書いた結論は少し言い直しておこう。


 私は「育成選手制度」については、現在のところは消極的賛成である。しかし、遠くない将来において、この制度を必要としない、スカウト・育成のシステムを球団には構築してほしい。


 


 果たして清武氏は、育成選手制度の未来に何を見ていたのか。それだけは興味の尽きないところである。

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