今さらながら、「杉内に背番号18」を憂う。

 杉内の獲得について、真っ向から反対する巨人ファンは少ないだろう。


 私は基本、生え抜き重視論者だが、消極的賛成というところだろうか。


 さて、では杉内に背番号18番、となるとどうだろう。


 私はこれだけは大反対だ。


 


 巨人ファンの楽しみの一つとして、やはりその歴史の長さがある。これを他球団のファンに自慢をするのは愚の骨頂としても、巨人の歴史をひも解いていくことはとても楽しいことだ。


 実際、そういった歴史があるからこそ、4番打者にいちいち「第○代」とか言うわけだし、「背番号18はエースナンバー」とか言えるのだ。


 正直、これは巨人ファンの特権ではないか。


 


 原監督は現役引退に際して、4番打者の立場を「巨人軍独特の何人も侵すことのできない聖域」と表現した。何故、巨人の4番が「聖域」なのかと言えば、王・長嶋といった不世出の打者、さらに遡れば中島・川上というプロ野球の歴史に欠かせない打者がその座を守っていたからだろう。


 では何故、「18番はエースナンバー」なのか。前川・中尾・藤田・堀内・桑田と連綿と受け継がれた右投手によって作られたイメージだ。短期的に背負ったスタルヒン・近藤も右投手だった。


 そしてファンは「次代の18番は誰なのか」ということに思いをはせていたはずだ。若い右投手の争いの末に誰かが18番を背負うのか、あるいは桑田のようなスーパールーキーにそれを託すのか。


 


 それをあっさり杉内に差し出した。原は「巨人の4番は聖域」と言ったが、巨人の18番は選手の口説きの材料程度にしか思っていなかったようだ。杉内に背番号18のユニフォームを着せてニヤつく原監督の記者会見時の顔は腹立たしかった。


 正直、これで18番の価値は格段に下がった。「巨人の18番だけは別格」から「ただのエースナンバー」へ。たとえ杉内がどのような素晴らしい成績を上げようともだ。


 


 杉内は記者会見に際して「重たい背番号だということは、理解している」と言ったが、本当に理解していたらこの話を受けていないだろう。本当に理解している人間なら、「そういった話を頂けるだけで気持ちは十分伝わった。しかし背番号の重みを考えると、私につける資格は無いと考えている」と言うはずだ(その代わりに21番をくださいと言えば良い)。


 


 これで巨人はその歴史における財産を一つ失った。


 それでも、杉内の背番号18を支持するファンは多いのだろうか。


 


 

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