☆野球は『商業』、サッカーは『普通科』、ラグビーは『工業』、相撲は『農業』
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鶴丸 深志’
2012年01月29日 17:15 visibility2127
昔から、高校野球は『商業』、高校サッカーは『普通科』と相場は決まっている。
昨年夏の甲子園優勝校は日大三であった。日大三の起源は高等商業予備門であり、野球は『商業』であった。
サッカー優勝校は市立船橋であった。市船は普通科2学級、商業科2学級で開校されており、サッカーは『普通科』であった。(んっ?)
アタシは愛読書である二冊の本を手にした。一冊は大日本蹴球協会発行の『蹴球年鑑』、もう一冊は朝日新聞社発行の『全国高等学校野球選手権大会史』である。
二冊の愛読書にはそれぞれ、1932年度に大日本蹴球協会に加盟した中等学校、1932年の第18回全国中等学校野球優勝大会予選参加校が掲載されていたので以下に記述することにした。
<大日本蹴球協会に加盟した中等学校>
【北海道】札幌一中、札幌ニ中、北海中、小樽商、函館師範、函館商、函館工、函館中
【東北】岩手師範、盛岡中、仙台ニ中、東北学院中、宮城師範、仙台一中
【関東】青山学院中、青山師範、府立園芸、暁星中、慶応中、成城高中、府立一商、府立五中、府立ニ中、府立八中、帝都商、東亜商、東京高中、豊島師範、独協中、日大二中、東京高師附中、本郷中、明治学院中、目白中、立正中、早稲田実、浅野総合中、小田原中、神奈川工、神奈川師範、川崎中、鎌倉中、関東学院中、湘南中、横浜二中、横浜三中、聖ジョセフ中、浦和中、粕壁中、川越中、熊谷中、埼玉師範、埼玉商、不動ヶ岡中、千葉師範、佐倉中、茨城師範、水海道中、水戸中、今市中、栃木師範、真岡中、群馬師範、藤岡中、甲府中、韮崎中、山梨師範、甲府商
【北陸】富山商、金沢一中
【東海】熱田中、刈谷中、愛知県工、小牧中、愛知県商、愛知県第一師範、津島中、豊橋中、明倫中、東海商、東邦商、豊橋市商、名古屋市商、大垣商、岐阜中、岐阜師範、岐阜一工、恵那中、志太中、静岡師範、静岡中、浜松師範、浜松一中
【関西】上宮中、市岡中、豊中中、今宮中、生野中、堺中、住吉中、八尾中、岸和田中、高津中、桃山中、天王寺師範、池田師範、明星商、京阪商、北陽商、泉尾工、都島工、鳳中、和歌山中、海草中、粉河中、海南中、新宮中、奈良師範、滋賀師範、八日市中、八幡商、京都ニ商、福知山中、姫路中、神戸一中、神戸ニ中、神戸三中、洲本中、小野中、三田中、甲陽中、灘中、関西学院中、神港中、兵庫県工、神戸一商、第一神港商、第二神港商、第三神港商、御影師範、姫路師範、滝川中
【中国四国】岡山師範、津山中、岡山二中、広島一中、広島高師附中、広島師範、修道中、広陵中、興文中、忠海中、広島二中、尾道中、広島商船、三次中、浜田中、大社中、山口師範、山口中、徳山中、下関商、愛媛師範、松山中、大洲中
【九州】長崎師範、島原中、熊本中、玉江中、済々中、熊本師範、宇土中、大分師範、大分中、中津中、大分商、鹿児島第一師範、鹿児島第二師範、鹿児島一中、鹿児島二中、鹿児島商船、佐賀師範、筑紫中
<第18回全国中等学校野球優勝大会予選参加校>
【北海道】帯広中、根室商、網走中、釧路中、野付牛中、苫小牧工、空知農、旭川中、名寄中、札幌商、札幌二中、旭川師、函館師、札幌一中、札幌工、函館中、留萌中、室蘭中、十勝農、函館商、小樽商、永山農、北海商、北海中、旭川商、小樽中
【青森県】青森商、東奥義塾、青森師、八戸水産、青森中、弘前中、木造中、五所川原農、弘前工、八戸中
【秋田県】角館中、能代中、横手中、能代工、秋田師、大館中、大曲農、土岐商、鷹巣農、本荘中、将軍野中、秋田中、秋田商
【山形県】山形中、酒田商、鶴岡工、庄内農、鶴岡中、米沢工、酒田中、新庄中、米沢商、山形商、米沢中、山形工
【岩手県】福岡中 一関中、遠野中、盛岡商、盛岡中
【宮城県】石巻商、宮城水産、仙台一中、育英中、仙台工、梅檀中、東北学院中、佐沼中、県宮城工、気仙沼中、仙台商、築館中、仙台二中、古川中、宮城師、東北中
【福島県】平商、双葉中、会津中、相馬中、福島中、白河中、若松商、安積中、磐城中、安達中、福島商、福島師、喜多方中、田村中、保原中
【埼玉県】不動岡中、粕壁中、埼玉商、川越商、本庄中、浦和商、浦和中、豊岡実、川越中、松山中、所沢実、埼玉師、熊谷中、浦和中
【群馬県】館林中、伊勢崎工、伊勢崎商、太田中、勢多農林、沼田中、藤岡中、前橋工、高崎商、前橋中、桐生中、高崎中
【栃木県】栃木中、佐野中、宇都宮工、宇都宮実、栃木商、足利工、鹿沼農商、大田原中、栃木師、宇都宮農、下野中、烏山中、宇都宮商、石橋中、宇都宮中、真岡中
【茨城県】湊商、水戸農、太田中、下妻中、水戸中、取手農、水海道中、江戸崎農、茨城工、水戸商、土浦中、茨城師、竜ヶ崎中、真壁農、下館商
【千葉県】成東中、成田中、千葉中、佐原中、佐倉中、銚子商、関東中、匝瑳中、千葉商、長生中、東葛飾中、千葉師
【東京府】攻玉社中、中央商、保善商、京王商、立正中、郁文館中、学習院中、東洋商、明治学院中、目白商、成立商、南足立商、青山学院中、麻布中、関東商、日大二中、早稲田実、高師附中、明治中、京北実、立教中、専修商、暁星中、名教中、慶応普通、高輪商、早稲田中、日大三中、中野中、豊島師、慶応商工、高輪中、東京中、目白中、大成中、京北中、日大一中、成城中
【山梨県】山梨師、甲府商、谷村工商、峡北農、都留中、甲府工芸、甲府中、身延中、韮崎中、日川中、山梨農林
【神奈川県】横浜三中、鎌倉中、神奈川商工、横浜商、関東学院中、神奈川工、浅野中、横浜一中、横須賀商、横須賀中、鎌倉師、日大四中、本牧中、厚木中、日大四商、逗子開成中、小田原中
【静岡県】島田商、韮山中、静岡中、浜松工、浜松一中、掛川中、庵原中、清水商、榛原中、浜松商、浜松師、三島商、静岡商、沼津商、沼津中
【新潟県】新潟中、高田中、柏崎中、新発田中、長岡工、高田商工、長岡商、村松中、新潟商、長岡中
【長野県】長野商、松本中、松本商、諏訪蚕糸、岩村田中、小諸商、丸子農、野沢中、飯田中、伊北農商、飯田商、飯山中、上田中、大町中
【富山県】神通中、福野農、富山商、射水中、高岡中、滑川商、高岡商、富山師、富山中、砺波中
【石川県】羽咋中、金沢工、石川師、金沢商、七尾中、七尾商、金沢一中、小松中、石川工、大聖寺中、金沢二中、小松商、金沢中、輪島中
【福井県】福井商、大野中、敦賀商、武生中、小浜中、福井師、北陸中、三国中
【三重県】山田中、三重師、松阪商、励精中、勧学院中、四日市商、富田中、桑名中、津中、上野中、松阪工、山田商
【岐阜県】岐阜師、本巣中、岐阜二工、斐太中、大垣中、海津中、中津商、武義中、大垣商、岐阜中、大垣中、岐阜商
【愛知県】東邦商、愛知工、一宮中、半田中、成章中、岡崎中、熱田中、西尾蚕糸、名古屋二商、愛知窯、豊橋中、西尾中、享栄商、惟信中、明倫中、愛知中、豊橋商、東海中、愛知商、尾張中、岡崎師、名古屋三商、愛知一中、愛知一師、名古屋商、津島中、中京商
【滋賀県】膳所中、比叡山中、長浜商、彦根商、大津商、八幡商、彦根中、神崎商、滋賀師、八日市中、水口中、虎姫中
【京都府】京都商実、東山中、京都二商、同志社中、福知山商、京都中、京都一商、福知山中、舞鶴中、桃山中、京都商、伏見商、立命館商、宮津中、大谷中、平安中、立命館中、京都一中、京都一工、京都二中、京都三中、京都師
【奈良県】宇陀中、五条中、郡山中、畝傍中
【和歌山県】高野山中、粉河中、和歌山中、和歌山工、新宮中、日高中、耐久中、和歌山師、海南中、紀南農、和歌山商、箕島商、伊都中、紀北農、海草中、田辺中
【大阪府】岸和田中、鳳中、富田林中、天王寺師、高津中、天王寺商、桃山中、豊中中、関西工商、京阪商、茨木中、大阪中、扇町商、西野田職工、八尾中、生野中、明星商、池田師、日新商、今宮職工、天王寺中、北野中、四条畷中、東商、福島商、城東商、今宮中、市岡中、此花商、堺中、浪速中、興国商、住吉中、浪華商、北陽商
【兵庫県】村野工、第二神港商、洲本中、豊岡中、姫路商、第三神港商、甲南中、洲本商、明石中、神戸一商、第一神港商、姫路商、姫路師、伊丹中、関学中、赤穂中、御影師、育英商、神戸二中、県兵庫農、神戸一中、滝川中、灘中、尼崎中、中外商、小野中、加古川中、三田中、甲陽中、神戸三中、北神商、加古川中
【鳥取県】鳥取一中、鳥取商、米子中、鳥取二中、倉吉中
【島根県】浜田中、島根工、松江中、大社中、島根商
【山口県】防府中、宇部中、豊浦中、柳井中、防府商、下松工、徳山商、徳山中、鴻城中、多々良中、下関商、岩国中
【広島県】広島一中、三次中、呉二中、新庄中、松本商、盈進商、大正中、尾道商、広陵中、広島商、尾道中、誠之館中
【岡山県】岡山二中、岡山一中、関西中、津山中、笠岡商、岡山一商
【香川県】志度商、高松一中、高松商、香川師、高松中、小豆島中、丸亀中、丸亀商、坂出商、三豊中、観音寺商
【高知県】高知商、高知工、城東中、城東商
【徳島県】徳島師、阿波中、徳島中、麻植中、徳島商、富岡中、撫養中
【愛媛県】越智中、八幡浜商、西条中、宇和島中、愛媛師、宇和島商、北予中、松山商、松山中、大洲中、今治中
【福岡県】小倉中、東筑中、小倉工、南筑中、豊津中、三池中、鞍手中、門司中、筑紫中、福岡工、豊国中、福岡商、明善中、八女中、伝修館中、久留米商、八幡中、福岡中、築上中、飯塚商、嘉穂中、若松中
【佐賀県】唐津中、有田工、佐賀師、佐賀商、佐賀中、鹿島中
【長崎県】長崎商、佐世保中、長崎師、海星中、瓊浦中、長崎中、鎮西学院中
【大分県】大分中、大分工、大分師、佐伯中、中津中、大分商
【熊本県】熊本工、八代中、熊本師、宇土中、熊本商、済々黌中
【鹿児島県】鹿児島商、鹿児島一中、鹿児島二中、鹿児島実、鹿児島中、加治木中、川内中
【宮崎県】宮崎商、延岡商、宮崎中、延岡中、宮崎師、都城商
【沖縄県】県一中、県二中、県水産、那覇商、沖縄師
【台湾】嘉義農林、台南一中、高雄中、台南二中、嘉義中、台北工、台中商、台北一中、台北商、台北二師、台北二中
【朝鮮】元山中、羅南中、京城商、春川高普、仁川南商、善隣商、京城中、竜山中、京城師、京城工、鉄道学、全州高普、光州高普、大田中、光州中、裡里農林、清州高普、木浦商、高敞高普、群山中、釜山二商、大邱中、大邱高普、釜山中、東莱高普、普州高普、釜山一商、大邱商、平壌中、鎮南浦商工、新義州中、平壌高普、海州高普、新義州商
【満州】大連商、青島中、安東中、奉天中
サッカーは加盟183校のうち、実業系学校(商業・工業等)の占める割合が19.7%であった。一方、野球は予選参加663校のうち、実業系学校の占める割合が36.8%であった。
日本のサッカーは東京高等師範学校(現・筑波大)で始められたと言われており、その後、全国の中等教育養成機関である師範学校に普及していった。師範学校でサッカーを学んだ卒業生の多くが公立中等学校に就職したため、実業系学校にはそれほど普及していなかったと考えられる。
一方の野球は、学生野球の人気が高まり実業系学校にも普及していた。(当時の実業系の校数が分かりませんが、推測するにほぼ野球部があったと思われます)
続いて、中等学校サッカーが全国大会となった1926年(大正15年・第9回大会)以降から先ほどの1932年(昭和7年)までの全国大会上位進出校を野球と一緒に見てみよう。
【全国中等学校蹴球大会】
第9回大会(1926.1) 出場8校
8強 暁星中 神通中 愛知一師 京都師 桃山中 御影師 広島一中 培材高普
4強 御影師 暁星中 広島一中 京都師
準優勝 広島一中
優勝 御影師
第10回大会(1928.1) 出場8校
8強 東京高師附中 富山師 岐阜中 京都師 都島工 御影師 広島一中 平壌崇実
4強 都島工 広島一中 東京高師附中 平壌崇実
準優勝 広島一中
優勝 平壌崇実
第11回大会(1929.1) 出場8校
8強 青山師 富山師 愛知一師 滋賀師 明星商 御影師 広島一中 平壌高普
4強 明星商 平壌高普 青山師 御影師
準優勝 平壌高普
優勝 御影師
第12回大会(1930.1) 出場9校
8強 函館商 東京高師附中 富山師 愛知一師 京都師 市岡中 神戸一中 広島師
4強 東京高師附中 広島師 市岡中 神戸一中
準優勝 広島師
優勝 神戸一中
第13回大会(1931.1) 出場9校
8強 函館師 堺中 京都師 広島一中 熊本二師 青山師 愛知一師 御影師
4強 堺中 広島一中 青山師 御影師
準優勝 広島一中
優勝 御影師
第14回大会(1932.1) 出場12校
8強 青山師 愛知一師 函館中 広島一中 堺中 京都師 長崎師 御影師
4強 愛知一師 広島一中 京都師 御影師
準優勝 愛知一師
優勝 御影師
【全国中等学校優勝野球大会】
第12回大会(1926.8) 出場22校
8強 新潟商 高松中 前橋中 静岡中 京城中 大連商 和歌山中 鳥取一中
4強 高松中 静岡中 大連商 和歌山中
準優勝 大連商
優勝 静岡中
第13回大会(1927.8) 出場22校
8強 松本商 平安中 鹿児島商 広陵中 福岡中 高松商 早稲田実 愛知商
4強 松本商 広陵中 高松商 愛知商
準優勝 広陵中
優勝 高松商
第14回大会(1928.8) 出場22校
8強 高松中 和歌山中 愛知商 松本商 北海中 台北工 甲陽中 平安中
4強 高松中 松本商 北海中 平安中
準優勝 平安中
優勝 松本商
第15回大会(1929.8) 出場22校
8強 広島商 静岡中 市岡中 鳥取一中 台北一中 平安中 海草中 高松商
4強 広島商 鳥取一中 台北一中 海草中
準優勝 海草中
優勝 広島商
第16回大会(1930.8) 出場22校
8強 広島商 大連商 和歌山中 静岡中 松山商 諏訪蚕糸 東北中 平安中
4強 広島商 和歌山中 諏訪蚕糸 平安中
準優勝 諏訪蚕糸
優勝 広島商
第17回大会(1931.8) 出場22校
8強 大社中 小倉工 札幌商 嘉義農林 松山商 桐生中 広陵中 中京商
4強 小倉工 嘉義農林 松山商 中京商
準優勝 嘉義農林
優勝 中京商
第18回大会(1932.8) 出場22校
8強 早稲田実 松山商 八尾中 明石中 熊本工 石川師 中京商 長野商
4強 松山商 明石中 熊本工 中京商
準優勝 松山商
優勝 中京商
サッカーでベスト8に進出した48校のうち実業学校は3校で6.3%、一方の野球は56校のうち実業学校は26校で46.4%、さらに商業学校は19校で33.9%であった。
優勝校においては、サッカーは6校全てが師範学校か名門中学校であるのに対し、野球は7校のうち6校が商業学校であった。
高校野球は『商業』、高校サッカーは『普通科』となった一番の要因は、先ほど記述した普及率の影響ではないかと考えられます。
野球においては、野球弊害論(野球に熱中し勉学がおろそかになったり、度の過ぎた応援が教育に悪影響を及ぼす等)の影響が多少なりとも残り、進学を重視する中等学校より実業学校の方が着実に実力を付けていったのではないだろうか。
サッカーにおいては、サッカーを校技と定める中等学校(刈谷、藤枝東、湘南、小石川等)も現れ、実業学校との実力差を広げていったのではないだろうか。
以上、文字数がやや多い日記だと思いませんか?
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