☆日本最古の中等学校野球部同士の対抗試合 ~宇都宮 VS 水戸一~

  

 

今から約125年前の明治29年、宇都宮中学に「野球部」が誕生した。その年の10月17日に、茨城県の水戸中学と宇都宮市旧城内広場(本丸)で試合をした。中等学校の学校対抗試合として、日本で最も古い試合の記録である。試合結果は、31 対 15 のスコアで水戸中の大勝であった。その後も、明治30年、31年、中断をはさんで明治39年と対抗試合が、同じ10月17日に行われている。
10月17日-この日は、日本で初めての対抗試合が行われた日として、栃木県高校野球だけでなく、日本の高校野球にとっても、まさに記念すべき日なのである。
この明治時代の野球は、今とはだいぶ違っていたようだ。
まず、「ナインボール」という時代があった。「ナインボール」とは、今の「フォアボール」と同じである。もともと野球は、打者が要求したところに投げるとストライクで、そこからはずれた球がボールである。
このころは、ボールが9球で打者が1塁に歩くという決まりだった。明治19年に一高にベースボール会が作られるとルールもだんだんに統一され、ナインボールから「ファイブボール」へと変わった。ボ-ルが5球で1塁に歩けるのだ。
ストライクは3球で、今と同じだった。また、このころの野球では「バウンドキャッチ」というのが行われていた。キャッチャーが、打者のはるか後ろにいて、投手の投球をワンバウンドさせた後で受けた。だが、3球目を捕球されなければ、1塁に走れたのは今と同じだったから、2ストライクをとるとキャッチャーがマスクをつけて打者の後ろに来て受けるのである。フライも捕球されるとアウトだが、ワンバウンドでの捕球もアウトとされた時代もあったという。今の、少年野球のフライが苦手な子どもたちには、うらやましいルールであろう。
ファウル7つで打者はアウトという決まりもあった。この決まりはかなり後まで子供の遊びには残っていた。試合は21点先取した方が勝ちというルールもあったようだが、実際にはこのルールはあまり適用されなかったらしい。
ともかく統一したルールで野球が行われるまでには、かなりの混乱があったものと思われる。現在でも、野球ルールの改訂が毎年のように行われているのを考えると、実にルールを決めるのが難しいスポーツが野球である。
また当時、審判員は一人で、投手の後ろに立ち判定した。ただし、審判員の判定をめぐるトラブルはたくさんあっただろう。現在のプロ野球などを見ていると、特にそう思う。判定の難しさも、野球というスポーツのもう一つの大きな特徴といってよいだろう。
したがって、明治29年の宇都宮中-水戸中の試合は、今の高校野球の試合とは、かなり違うものであったと考えた方がいい。

 

~栃木県高校(中等)野球の歩み より~

 

 

 

日本最古の中等学校野球部同士の対抗試合を行った、栃木の宇都宮高校と茨城の水戸一高が各県の春季大会でベスト8以上の好成績を残した。

 

宇都宮高校は1879年(明治12年)に栃木中學校として創立され、栃木県内の旧制中学校を前身とする高校の中では最古の歴史を有する男子校で、2021年の東大合格者を19名輩出した県内屈指の進学校である。
野球部は1896年(明治29年)に創部され、栃木県内最古の歴史を有する。
甲子園には、甲子園球場で初めて開催された1924年(大正13年)夏の第10回全国大会に初出場し、栃木県勢としての初勝利を挙げ、栃木県高校野球史に輝かしい一頁を刻んだ。それ以降、甲子園から97年遠ざかっている。
夏の全国大会予選には、県勢としては真岡中(真岡)に次いで、1919年(大正8年)の第5回大会予選(関東大会)に初参加した。結果は、千葉師範に 6 - 10 で敗退となった。
夏の予選初勝利は、翌年の第6回大会予選(関東大会)で、千葉中(県千葉)に 6 - 2 で勝利した。
夏の予選通算成績は96勝99敗、優勝1回、準優勝1回である。

 

水戸一高は1878年(明治11年)に茨城師範学校予備学科として創立され、茨城県内最古の歴史を有し、2021年の東大合格者を23名輩出した県内屈指の進学校である。
野球部は1891年(明治24年)に創部され、関東の公立校の中で最古の歴史を有する。
甲子園には夏のみ3回出場し、通算成績は0勝3敗である。
夏の全国大会予選には、県勢としては竜ヶ崎中(竜ヶ崎一)、土浦中(土浦一)、茨城商(水戸商)、下妻中(下妻一)、茨城中(茨城)、太田中(太田一)に次いで、石岡農(石岡一)、水海道中(水海道一)とともに、1925年(大正14年)第11回大会予選(関東大会)に初参加した。結果は、銚子商に 3 - 4 と惜敗であった。
夏の予選初勝利は、翌年の第12回大会予選(関東大会)で、千葉中(県千葉)に 10 - 3 で勝利した。続く試合も、成田中(成田)に 9 - 0 で勝利し決勝に進出した。決勝では、千葉師範に惜しくも 7 - 8 で敗れた。
夏の予選通算成績は161勝91敗1分、優勝3回、準優勝2回である。

 

 

両校は甲子園は勿論、春、秋の関東大会でも対戦したことはない。

北関東の高校野球部の中で一番古い水戸一高と、二番目に古い宇都宮高校の甲子園復活に期待したい。

 

 

 

 

 

以上です。

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