渋谷高校おまけ〜織姫の里

  • 仲本
    2012年06月29日 22:54 visibility225

(絵馬には糸巻きの絵がかいてある)
七夕も近いのでおまけを一つ。

渋谷高校の歴史は意外に古く、大正時代に開校した「手芸女学校」にさかのぼるといいます。実業系の学校といえば今では商業、工業がほとんどですが、昔はこんな学校もあったのですね。創立当時は現在の阪急池田駅にもっと近いところにあったようです。

おそらく創立当時の学校があった場所のほど近くに「呉服神社」というお社があり、これで「くれはじんじゃ」と読みます。この神社にまつわるこんな言い伝えが残っています。

昔むかし、日本には布を織る技術がありませんでした。人々は春夏秋冬、暑さ寒さに関係なく粗末なものばかり着ていました。これを憂いた時の帝が大陸にある「呉の国」に使いを出します。どうかそちらの優れた機織りの技を伝えていただきたい。

よろしい、それでは腕のよい娘たちを遣わしましょう。遠路はるばるやってきた呉服(くれはとり)・漢織(あやはとり)という二人の織り姫の姉妹がここ池田の地に迎えられ、女性たちに裁縫・機織・染色の技を教えました。それからというもの、人々は季節に応じた色とりどりの衣服を着られるようになったとさ。…

惜しみなく働いて技を伝えた姫たちのことを忘れぬよう、二人が長寿をまっとうした後、人々は二つの社を建てておまつりしました。一つがこの呉服神社、もう一つが伊居太(いけだ)神社といい、今なお池田の町に残っています。

織り姫の里に千年以上の時を経て「手芸女学校」ができたのも故なきことではありますまい。その後学校は池田市内で何度か移転し、現在の場所に落ち着きました。今はもちろん「手芸科」という学科はありませんが、調べてみるとひそかに土地の因縁を帯びたなかなかおもしろい学校なのでした。
(画像2枚目・呉服神社と画像3枚目・伊居太神社)













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