高校野球100年〜斐太高校の長い夏(つづき)

  • 仲本
    2015年07月26日 18:14 visibility4898

7月4日、夏の高校野球岐阜大会が開幕。長良川球場で行われた大会初日第二試合に斐太高校が登場した。見慣れない字だがこれで「ひだ」と読む。

 


いくら伝統校とはいえ、よその県のことなんか知らないよ、というのが普通だが、そこは情報化社会の恐ろしいところで、大阪にいながらにして基礎情報が手に入ってしまう。斐太高校は岐阜県の北部、飛騨地方の高山市にあり、明治19年に創立された。野球部は第1回の夏の大会予選に参加している。


開会式があったため、この日の試合開始は14時30分とわりとゆっくりの予定。10時頃に家を出れば十分間に合う感じだったが、この日は天気がぐずついていたのと、翌日別の遠征も考えていたのとで結局とりやめた。

 

試合は4−3で斐太高校が勝った。最後は雨中戦となり、9回に勝ち越して岐阜農林を辛くも振り切ったということだ。

 

岐阜大会は1、2回戦は土日に行われる日程になっている。次の試合会場は各務原。調べてみると駅から非常に遠く、おいそれと遠方から行けそうなところではない。3回戦以降は三連休にかかり、沖縄遠征と重なる。その次の週末には岐阜大会は決着がついている。うーん、こりゃ無理にでも初戦を見に行っといたほうがよかったかな。

 

ところが斐太高校、ここから予想もしなかった快進撃を見せる。

19日 3回戦:4−0 麗澤瑞浪

20日 4回戦:6−0 中津商

22日 準々決勝:3−2 市立岐阜商

 

迎えた準決勝の相手は県立岐阜商。主戦の高橋投手が負傷とはいえ、優勝候補筆頭の甲子園常連校は選手層も厚いはず。斐太の健闘もここまでか。雨で日程が1日延びたことで、決勝戦なら行けなくはないのだが…。

 

24日 準決勝:4−3 県立岐阜商

 

勝った Σ(゜Д゜)

 

注目の高橋投手はこの日も登板回避。

 

初回に3点を先制した斐太が県立岐阜商の追撃を振り切って初の決勝へ。

 

これは見に行ける。

 

行くしかない。

 

ここで会ったが百年目。

 

親の仇でもとるくらいの勢いで、はるばる岐阜・長良川球場までやってきた。

 

岐阜駅からのバスは車内も道も混雑していた。この日の夜は長良川の河川敷で花火大会が開かれるのだそうだ。
すでに場所取りのシートが河川敷にたくさん広げられ、車窓からもなんとなく浮き立った気分が伝わってくる。

 

余裕を持って球場に到着するつもりが、チケット売場の長蛇の列に並んでさらに15分。岐阜駅に着いてから球場入りするまでに結局1時間近く費やした。

 

せっかくなので三塁側(斐太サイド)よりに座る。立ち上がっての大声援は相手守備陣にとって脅威となるだろう。

 

決勝戦の相手は岐阜城北。こちらは甲子園出場経験を持つ。準決勝で大垣日大を倒して上がってきている。

 

先攻・斐太は1回表、二番打者が引っ張った打球はレフトの頭上を越える二塁打。これでスタンドはどっと盛り上がった。「さあ行くぞーー!」三番打者がレフト線ギリギリに落ちるタイムリー。この日も幸先よく一点を先制した。

 

斐太は2回、3回にも得点圏に走者を送るが後続が絶たれて得点ならず。押しているうちに追加点がほしいところだったが。

 

城北は3回裏、先頭の三番打者がレフト左に落ちるヒット。レフトの処理がやや緩慢なのを見て、打者走者は二塁を陥れる。

 

続く打者は送りバント。投手がマウンドを駆け下りる。あわてるようなバントのコースではなかったはずだが、一塁送球が右にそれてファウルグラウンドを点々とする間に走者がホームイン。

無死で走者が二塁に残り、牽制悪送球で三進。すかさずセンター前にタイムリー。

(例によりピントは手前のセーラー服の子にあっている(苦笑)。斐太高校は卒業式終了後、学校そばの川で「白線流し」をすることでも知られる)
その後も効率のいい攻めで、結局この回城北は4点を挙げた。

 

斐太は4回にもバント処理悪送球で1点を失う。この日の斐太は4失策、これがすべて得点に結び付いてしまった。

 

2−6の劣勢で迎えた7回、斐太はノーアウトから連打と四球で満塁のチャンス。波乱があるとすれば、大応援を後押しにここで一気にたたみかけるしかない。

 

しかし、斐太はここも併殺崩れの一点どまり。


斐 太 100 100 100/3
城 北 104 100 10x/7

 

(岐阜城北・鷲見投手)

両チームのエースは連戦の疲労もあろうが、120km/h台の直球に90〜100km/h台の変化球と、目を見はるような球があるわけではない。斐太は12安打を放ったが、基本は1点ずつコツコツとるチームなのだろう。点差が開いても乱戦に持ち込めるだけの攻撃力がなかった。

 

おそらくは学校のみならず町をあげての大応援。ずっと昔の高校野球はどこでもきっとこうだったんだろうな、と思わせたが、選手たちにはかえってプレッシャーになってしまったのかもしれない。斐太高校の長い夏はこうして終わった。

 

(斐太スタンドの千羽鶴。

岐阜城北に引き継がれただろうか。横断幕は「切磋琢磨の力」までは読めたが、その先はよく見えない)

 

(7回裏、斐太のエース・根尾投手は7点目を失って降板、ライトの守備に向かう。岐阜大会7試合で885球を投じた)

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