秋季大会放浪記~大阪・私学の壁(つづき)
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仲本
2016年10月09日 19:35 visibility1420
今年の大阪の秋はちょっとした波乱というか、ベスト8に府立高が3校残った。この日舞洲球場で行われた準々決勝にはそれぞれ1校ずつ登場する。最近では公立でもスポーツコースを設けているところがあるが、今回残った池田・今宮・北野の3校はどうもそういうわけでもなさそう。
何度でもいうが舞洲はアクセスが悪いので、第二試合の開始に間に合えばいいやと思って出かけることにした。
球場に着いてみるとまだ第一試合の終盤だった。初芝立命館が5-3で池田をリードしている。池田としては1点でも返して反撃ムードを高めたいところだったが、逆に初芝に1点を追加され、6-3で敗れた。
試合終了。当たり前のことながらユニフォームは有名な徳島の池田とは雰囲気が違う。学校は大阪府の北部・池田市にあり、旧制府立中学としては昭和15(1940)年創立で16番目。初芝立命館は10年ほど前に立命館と提携したが、もともとは初芝高校だった。遠慮がちな二段書きになっているのはそのせいだろう。こういうのは平安みたいに袖につければいいのに、と思う。
第二試合は今宮-上宮太子の対戦。試合前のノックをみると、選手個人の技量はやはり上宮太子が勝っているようだ。野球部強化は上宮本校から太子高校へシフトさせたはずだが、うまくいかないもので、いまだに本校の1980年代を上回る黄金時代は訪れない。
今宮高校、胸マークは筆記体で「Imamiya」。好みの問題もあろうが、この文字の並びには筆記体が合うようだ。全国大会出場は1回、戦後初めての春の選抜大会に今宮中学として出場している。一部マニアのために一応言っておくと、創立明治36(1906)年は大阪市内では4校目の旧制中学ということで、ストッキングには白線が4本。しかし学校公式HPなどを見るに、府立の学校改革で総合学科として再編されたこともあり、現在では歴史と伝統を誇るよりも新たな取り組みに注力しているように見受けられる。
さすがに上宮太子はスタンドに控え選手がたくさんいてワイワイやっているが、今宮のスタンドには野球部らしき生徒が見当たらない。わたしの世代は高校1学年600人を超えていたが、今は半分以下になっている。1学年280人で半分は女子、男子140人のうち2割はサッカー部にもっていかれるとして、残り100人ちょっとの中から少なくとも9人は引っ張ってこないといけないのだから、考えてみればどこも大変だ。秋の大会のベンチ入りは20人、ボールボーイに2、3人出せば、秋はそれでぎりぎりということなのだろう。
上宮太子先発の森田投手は大きく振りかぶって投げ込む右のオーバーハンド。私学の強豪校のエースらしく速球がよく走る。打順1巡目で4つの三振を奪い、出した走者はエラーの1人だけ。
4回も二死走者なし。今宮スタンドの女子マネージャーが大きな声を出す。
「○○さーんっ!、打てまーす!!」
選手は2年生でマネージャーは1年生なのだろう。
直後の初球をたたくと、ライナー性の当たりは見事にセンター前へ。
なんか、おじさんいいもの見せてもらったような気がするよ(´∀`*)。
「4番の仕事っす」「うむ」
今宮は打者2巡目にして初安打と、ほっこりしてもいられない。しかし後続が倒れ、この回も無得点。結果的には、これが今宮唯一のヒットとなった。
今宮の先発はエース左腕・松尾投手。投球練習では、なるほどベスト8まで勝ち上がってきただけのことはあると思わせた。上位打線に左打者の並ぶ上宮太子打線はしかし1回から満塁のチャンスを作るなど、早々と攻略する。3回に3点、4回も二死満塁から押し出しと走者一掃の三塁打などで5点を失ってマウンドを降りる。
5回裏、上宮太子は代わった投手も攻め立て、1点を取ってなおも一死満塁。つづく打者はセカンドへ弾むゴロ、バックホームがややそれて捕手の足が離れてしまった。リタッチできず、これで10点目。コールドゲームが成立した。
秋の大会もここまでくると試合終了後に校歌斉唱がある。本校と同じ短い歌だ。
府立勢はすべてベスト8で姿を消し、一般枠での選抜出場はなくなったといっていい。それでも、秋の大会は土日を中心に日程が設定されるため、夏のように最後は酷暑の中を7日で4試合、といった過密日程にはならない。すべて勝たなければ代表権が取れないわけでもない。強豪校だからこそ、新チームではいろいろ試したいこともあるだろう。タレントや練習量に劣る公立勢は秋にこそ勝負をかけ、チャンスをつかみたいところだ。
大きな壁(※イメージです。)
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