読んでみた~日本野球をつくった男 石本秀一伝
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仲本
2020年05月31日 21:50 visibility620
緊急事態宣言が解除されたとはいえ、まだまだ遠出する気にはなれない。町の図書館がようやく再開したので、野球本を一冊借り出してきた。
石本秀一。戦前に母校・広島商業を率いて4度の全国制覇を果たすと、その後職業野球に転じても大阪タイガースの監督として手腕を発揮。さながら球界初の「優勝請負人」であった。
郊外に疎開していたため原爆の被害から辛くも免れた。戦後生まれた新球団・広島カープでは、初代監督として、チーム編成はもとより、金策にまで奔走する――。
投手の育成能力は抜群で、攻守にも細かい目配りができた。指導力を買われて招聘されるが、なぜかいつのまにかチームを去ることになる。人を引き付ける魅力もあったが、それが災いすることもあるのだ。まったく、組織というのは難しい。
著者の紹介文を見るとこれはもうカープ一筋、この本もさぞカープ愛に満ち満ちているのかと思いきや、意外に淡々と生涯を追いかけているので、カープファンならずとも楽しめる。「日本野球をつくった」とまで言えるかどうかはわからないが、その足跡と人脈はすなわち一つの日本野球史を構成していると言っていいかもしれない。
足掛け10年をかけて書き継いできたという労作で、約550ページに及ぶ。電車で読むにはちょっと分厚い。おうち時間にじっくり読み進めることをお勧めする。
(参考:『日本野球をつくった男 石本秀一伝』西本恵/講談社 2018)
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