或る野球オタクの一考察(7)
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ムサベン代表T.KATOH
2014年08月26日 03:59 visibility246
今回の夏の甲子園、大阪桐蔭高校が優勝しました。
まぁ、野球留学が多いとか、そんなんで勝ってもつまらない、とか、
そういった声が聞こえてきますが。
私は、大阪桐蔭高校が好きです。
確かに、野球留学は好ましくないとは思いつつも、
勉学での越境入学はありますし、他の競技でもそういった形があります。
それはともかく、何故、大阪桐蔭が好きなのか。
一言で言えば、
インサイドワークに優れた野球をするから
となります。
よく、インサイドワークというと、キャッチャーの配球を指すことが多く、
インサイドワーク=キャッチャーの配球
と認識されていると思います。
私は、その等式に非常に違和感を覚えてなりません。
というのも、インサイドワークというのは、顕在化していない部分の仕事、
というのが直訳ではないかと思います。
そうすると、配球というのは、結果的にデータとして表わすことができますが、
それは、顕在化しているからこそ客観的なデータとして扱われることだと考えています。
そこで考えると、
インサイドワークというのは、いったい、どういうものなのか。
そこについて考えてみたいと思います。
一番、インサイドワークで大きな比重を占めているのは、
瞬時の状況判断
ということでしょうか。
打球の速度、ランナーの足の速さ、タッチプレーかフォースプレーか、その他もろもろ。
そして、次に、
見抜く能力
大まかに言えば、状況判断と見抜く能力がインサイドワークといっても過言ではないでしょう。
例えば、今日のピッチャーの制球はどうなのか、とか、変化球の切れはどうなのか、とか。
つまり、キャッチャーの配球というのは、配球パターンだけではなく、
こういった状況判断と見抜く能力で構成されるインサイドワークもまた、必要であると言えます。
いつの間にか、それが、リード面=配球=インサイドワークというような等号になってしまっていると感じます。
私が思うに、インサイドワーク×配球=リード面という計算式であると思います。
但し、インサイドワークは0以上の実数で、配球は0ではない正の実数とします、
といっても、インサイドワークが0ならば、リードも0、ということを言いたいだけです。
インサイドワークの一つに、
データの利用能力
というのも一つあると思います。
現在、セイバーメトリクスというデータの算出方法がありますが、
正直言えば、選手の銭闘と野球ゲーム制作以外に利用できるとは思えません。
つまり、至極客観視して良い選手かどうかを判断するための指標であり、
当のプレイヤーには、作戦を遂行するために活用できるデータかどうか、
というと、難しいと思うからです。
逆に言えば、そのデータの算出の定義に沿ったプレーをしていけば、
チームが勝とうが勝たまいが、自分自身は評価されてもOKという状況にもなってしまいかねません。
野村克也氏の野球は、Important Data 野球、つまり、ID野球と言われます。
あくまでも、データを重視する野球ですから、データをどう読むかによって野球が左右されます。
しかし、必要以上に条件を厳しくして、データを絞れば、
その条件の時にこの結果が出る傾向がある、としてデータに依存した野球になってしまったら、
そのデータの傾向から外れた結果になったとしたら、そこで「しょうがない」となり、
いつまでたっても同じ失敗を繰り返すことになります。
そして、その失敗を繰り返すと、データが変化し、データの傾向も変わり、
そうした時に、偶発的に結果が良かったというケースになり、
そのデータを信じていると、やはり同じような失敗になるといういたちごっこになります。
私は、こういった野球を、Dependent Data 野球、つまり、DD野球と定義します。
正直言って、DD野球はデータに依存する野球なので、
データのないチーム・選手と対戦すると非常に苦戦しますし、
データ通りに進めるため、相手にそのデータ通りの戦術をとってくると読まれたら、
一巻の終わりです。
私は、DD野球というのは、データに依存するため、
自分に優位なデータ以外は排除してしまう恐れがあり、
これがチーム編成となると、データだけで契約を左右されかねません。
しかし、ID野球は、データとは言いますが、結局はインサイドワークの野球ですので、
データで客観視して選手・チームを評価する側としては、
「え、どうしてこの作戦なの?」
「え、どうしてこの選手を起用するの?」
「え、どうしてこの選手を獲得するの?」
という疑問が多い野球になってしまいます。
そうなると困るのは、経営者側です。
経営者としては、チームを維持するためにも、できる限りの安心感が欲しいのです。
そうすると、どうしても、DD野球をやるような人材でなければ、
納得ができないのです。
しかし、チームを強くするには、ID野球をやらなければならない。
そうすると、野球の素人である経営者やファンに対して納得できる説明が欲しくなる。
とはいえ、その説明をアナウンスすると、作戦が顕在化してしまう可能性が出てくるのです。
このジレンマに打ち勝つことができる経営者こそ、
球団経営に向いた経営者だと思いますが。
というか、野球のインサイドワークのわかる経営者だったら、
非常に人件費のかからない、コストパフォーマンスが良く、
強くて人気のあるチームをつくることができるんですけれどね。
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- 事務局に通報しました。
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