「See You! 」と言いたい(女子プロ野球退団試合)
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Mr.black
2019年11月10日 10:54 visibility905
先日から話題になっている女子プロ野球選手の大量退団。
それに関連して11月8日(金)西京極球場(わかさスタジアム京都)にて、プロを去る選手たちの「退団試合」が行われました。
当初女子プロ野球のHPには「引退試合」と表記されていたのですが、「プロは去るが現役は続ける」という選手が何人も居たので「退団試合」と改称されました。
報道がある前には私は9日(土)~10日(日)に開催される「女子野球ジャパンカップ」をどこかで都合をつけて1試合観戦するつもりでしたが、急遽予定変更。この「退団試合」観戦の為、会社を早退して西京極へ駆けつけました。10年間応援していた選手たちの最後の姿はどうしても見ておきたかったからです。
(なのでジャパンカップ観戦は断念。)
球場に到着したのはちょうど試合開始の直前でした。
下は始球式の様子。ところでこの始球式をした少女は退団試合を見たくて埼玉からやって来たそうです。こういった少女たちが明日の女子野球界を支えていってほしいものです。
この試合は1塁側を「89’ers(エイティナイナーズ)」、3塁側を「39’ers(サーティナイナーズ)」というチーム名にした混成チーム同士で戦うスタイルでした。
チーム名の「89」は「野球」、「39」は「サンキュー」を意味しているそうです。
89’ersの先発は女子プロのレジェンド・小西美加投手(京都フローラ)。
39’ersの先発は現在の日本女子野球界全体のエース・里綾実投手(愛知ディオーネ)。
試合は初回89’ersの4番・中村茜選手(フローラ)が2ランHRを放つ派手なスタート。中村選手はプロ10年間で初の柵越えHRだったそうですが、見事な当たりで里投手を撃破しました。
この日は通常の7イニング制ではなく5イニング制。その為選手が頻繁に交代する目まぐるしさでした。
以下にほんの少しだけ掲載。
39’ersの二番手は磯崎由加里投手(埼玉アストライア)。
尚美学園大時代に出場した女子野球W杯での好投を見て「凄くいい投手だな。プロに来ないかな?」と思っていた選手でした。その後プロ入り。期待通りプロでも活躍してくれました。(2017年は最多勝)
これを書いた時点でまだ去就がハッキリしていません。どこかで現役を続けて欲しい選手ですが・・・。
育成球団・レイアの岡田桃香選手。普段のリーグ戦には参加していないので、レイアの選手のプレーする姿は初めて見ました。
試合後のハイタッチに参加した時に会ったら退団選手の中で一番泣いていました。育成からトップチーム昇格を目指していたわけですから当然でしょうね。でもまだ19歳の若さなのでどこかで野球を続けてほしいと願っています。
泉由有樹投手(アストライア)。
私は自分が左投げなので、サウスポーにはつい目が行ってしまいます。この投手の投げる試合を見たいとずっと思っていたのですが、なかなかタイミングが合わず、最後の最後で実現しました。
長身から投げ下ろす投球は良かったです。
女子プロ野球では珍しいアンダースローの山口千沙季投手(アストライア)。
サイドスローは過去何人か見ましたが、アンダーは初めてです。
ちょっと違う話題ですが、上は女子プロ野球オリジナル企画のゴールドヘルメット。
最終回にサヨナラのランナーが出塁したら普通のヘルメットからこのゴールドヘルメットに変更。場内アナウンスで「このゴールドヘルメットの選手がホームインしたらサヨナラ勝ちです」と放送していたそうです。野球のルールに詳しくないお客さんにもわかるようにと、こんな企画を実施していたのです。面白いアイディアですね。
あいにく私はその場面に出くわすことはなかったのですが、この日は小西選手が全打席着用したのでヘルメットを見る機会が得られました。
(※)なお、このゴールドヘルメット着用のランナーを「サヨナランナー」と呼称していたようです。
こんな調子であれよあれよと観ている内にあっという間に試合終了。
(↓ 非公式戦なので勝負がついていることは度外視して5回裏まで行われました。)
この試合に限っては勝敗は全く関係ありません。そして敵も味方もありません。
試合中、各選手は笑顔あり涙ありの様々な表情を浮かべていました。
試合後にはセレモニーが行われ、10年間在籍していた選手・指導者と、在籍は7年ですが特別に里投手、合わせて6人(下記写真)が挨拶しました。
トップで挨拶したのはディオーネの碇(いかり)美穂子監督。
プロスタート時は京都アストドリームスの捕手でした。
各人共通していたのは
「野球は本当に楽しい」
「女子が野球をする環境は以前に比べれば良くなったが、まだまだ厳しい」
「これからの女子野球界の発展に尽力したい」
「それぞれ違う道を歩むと思うが気持ちはみんな同じ」
「引き続き応援お願いいたします」
というもの。
セレモニーを見ていたらいつの間にか泣いてしまいました。
かつて応援していた近鉄の球団ラストゲームでも泣かなかった私が涙を流したのは、それだけ女子が野球を続ける環境が厳しいと、この10年間で痛感していたからだと思います。
「男子はやりたいと思えば当たり前のように野球ができる。しかし女子はそうはいかない。今ここにいる選手達・そして過去に在籍していた選手達、みんなひとかたならぬ苦労を乗り越えてプレーしてきたはずだ。それに共感して応援してきたが、残念ながら自分たちの力が足りなかった。ごめんね」そんな感情も湧きました。
引退して指導者の道に進む厚ケ瀬美姫選手(フローラ)の言葉の中に「女子プロを大きく育てることが出来なかったのは創設時から居た私たちの力不足です。申し訳ありませんでした」というものがありましたが、私自身は「いや、ファンの我々の方こそ力不足だったんだ」と思っています。
その一方で「一部の競技を除けば女子スポーツの発展の土壌が日本はまだまだ未成熟だ」とも感じています。
「これを何とかしないといけない。選手・関係者・ファンの努力だけではどうしようもない」というのが正直な気持ちです。
この日を最後に引退する者、どこかで現役を続ける者、指導者を目指す者、下支えをする者・・・みんな様々な道を歩むことでしょう。
そんな彼女たちと再会することは厳しいとは思いますが、それでも「See You !」と言いたいものです。
そして来年女子プロ野球がどんな状態になっているのかは未知数ですが、存続していたらまたどこかで観戦したいと思っています。
プロだけでなく今年災害で行くことができなかったアマのクラブ選手権にもいつか訪れたいものです。
セレモニーのラスト。花束贈呈後の記念撮影。
左から
川口知哉監督(フローラ)元オリックスですね。
小西投手(同)
三浦伊織選手(同)
里投手(ディオーネ)
植村美奈子投手(フローラ)
中村選手(同)
岩谷美里選手(同)
厚ケ瀬選手(同)
新原千恵監督(レイア)
田中朋子コーチ(フローラ)
三浦由美子選手(ディオーネ)
碇監督(同)
花束を持っている者がプロを去る側。
持っていない者が残る側です。(←花束贈呈者)
試合後のハイタッチに参加。
「ありがとう。いつかまた。みんな元気で」
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