砂の嵐が晴れた時(岡山県営球場)
-
Mr.black
2024年06月22日 09:33 visibility332
何やら思わせぶりなタイトルですね。長くなりますが、まずはこの説明を。
今回、中国地区大学リーグ戦を観戦した場所は「岡山県営球場」。
倉敷マスカットスタジアムが造られる前は県のメイン球場で、プロ野球の公式戦が何度も開催されていました。地理的な条件から主に使っていたのは阪神と広島。特に阪神の場合は高校野球で甲子園が使えない「死のロード」緩和策として利用することがありました。
ところで私の住む関西圏には「サンテレビ」というローカル局があり、通常は甲子園でのホームゲーム中継がメインなのですが、岡山県営での阪神戦も中継されていました。
普段見る機会が無い球場での試合なので非常にありがたかったのですが、難点は画質。自宅のサンテレビ受信状態が良くなかったので、砂嵐が降っているかのような画面だったのです。(←アナログテレビでのこと。若い人には理解不能かも?)
「大人になったらいつか岡山県営に行って実像を見たい」と当時からずっと思っていたのですが、マスカットスタジアムが稼働したら観戦チャンスが激減し、なかなか実現しませんでした。
テレビ初観戦から50年ほど経ってその砂嵐が晴れる時がようやく巡って来たわけです。入場する際には大げさでなく感無量になりました。(タイトル回収。苦笑)
さて、本題に。
球場正面口は写真のように独特な外観をしています。野球場というよりは古い役所・病院・駅舎みたいな風情ですね。階段の様子もちょっと風変わりです。
以前外回りを見物した時は単に「野球場」とだけ書いてあったと思うのですが、現在は「岡山県野球場」となっています。(その下には英語表記もあり)
なお、観戦時に一人の老人が階段を上がった写真右側部分が「昔は食堂だった」と語っているのを耳にしました。調べてもそういう資料は出てきませんでしたが、面白い話なので今後も気にかけておきます。
(そう言えば建替え前の旧・姫路球場内に食堂があったので、昔の県メイン級球場には普通に設置されていたのかもしれません。)
グランドは内野クレー、外野天然芝。両翼91m、センター122m、と多少アンバランスな広さ。
照明は6基あり、昭和チックな鉄骨式です。この照明塔は土台近くから鉄骨なのではなく、スタンドと同じ高さくらいまでコンクリートで立ち上がっている比較的珍しい方式です。
ここの照明にはプロ野球開催時の有名なアクシデントがありましたね。突然の停電で場内が真っ暗になり、かなり長い時間試合が中断したのですが、原因がヘビの感電死だったという珍エピソードです。
当時の照明は水銀灯だったので、一度消えるとその後通電してもすぐには点灯しないという特性があり、それが長い待機時間を要した要因です。
ところで現在はLEDに変わっていたのですが、ご覧のように数が少なくスカスカです。これでどの程度の明るさになるのでしょうね?(写真は外野の照明。内野はもう少し数が多かったものの、やはりスカスカ状態)
プロ野球が去りアマチュア専用になったとはいえ、地元を除けばこの球場が世間一般から忘れ去られている現状を痛感しました。
スタンドの座席はバックネット裏が背もたれ付きの個別席。屋根はありません。支柱が前面にあるので視界が悪い席が生じています。
1・3塁側は長イスとコンクリート席が混在していたのですが、よく見るとその配置・配分が不規則だったので、もしかしたら座面が壊れた箇所のプラスチックを撤去し、下のコンクリートをそのままむき出しにしただけなのかも、と推測しました。(一応、座面部分に塗装はしてありましたが。)
個別席も傷みや汚れが目立ち、第一線から外された球場の悲哀を感じました。
外野は芝生席。なお、3塁側の内野ポール際も芝生席でした。(一方、1塁側の同じ場所はコンクリート席。つまりこの球場の座席配置は左右非対称)
全体の収容数は公称約13,000人。(16,000人という資料もあり)
座席の傾斜は全般的に緩かったので、プロ野球や高校野球の県大会など観客が多い時には視界が悪かったと思われます。
バックネット裏最後方には記者席がありました。この背面に球場名が書かれています。
ところで記憶違いの可能性もありますが、昔プロ野球が開催されていた頃、満員札止めでチケットを買えなかった観客が外壁からよじ登ってこの記者席屋根上で観戦を試み、そういう人が溢れかえって転落事故があったように思います。(上の注意書きを見て思い出したのですが、もし他球場との記憶間違いの場合はご容赦を。)
スコアボードは右中間寄り。パネル式。形状が野球盤チックですね。このスコアボードには面白い点が3か所もあります。
1.審判名が外野線審まで表示できるようになっていること
2.カウントランプが旧式のSBOで、しかも縦並びであること(バックネット裏のランプも同じ配列)
3.ジャッジ表示と攻撃側チーム名表示部分がネオン式であること
「3」はデーゲームだったので分かりにくかったのですが、注意して見ていると「只今ノハ」周辺と当該ジャッジ部分(H・E・Fcの該当部分)が赤く輝きました。ネオン式かどうかは確信ありませんが、見た限りではネオンっぽかったです。
チーム名の部分も攻撃側の周囲が赤く点灯していました。見えるでしょうか?
非常に昭和レトロな風情の岡山県営球場。
書き切れませんでしたが、場内の動線構造も面白いものでした。↓
(この他、観客用トイレ通路周辺も面白い構造です。実際に行かれることがあれば是非チェックしてみてください。)
個人的にはこのまま維持して欲しいと思うのですが、かなり劣化しているので、ゆくゆく大改修あるいは建替えの可能性があります。その場合はスタンドが大幅に縮小されるかもしれません。
総合公園なのでまさかとは思いますが、最悪消滅も危惧しています。
そうならないように願いながら球場を後にしました。その時は雨が降っていたので「涙雨?」などとネガティブな気持ちが・・・。
↑ この公園内で最も目を引く施設がこれ。
明治43年に建設されたという旧・岡山偕行社(かいこうしゃ)。登録有形文化財です。
当時は陸軍将校の社交場として利用され、現在は「総合グラウンドクラブ」として1階がカフェ、2階が貸会議室・研修室となっています。
せっかくの機会だったのでカフェに入りたかったのですが、この日は何かの団体が貸し切りで利用していたので諦めました。う~ん残念。
最後にアクセスを。ここは非常に便利です。
交通の要衝「岡山駅」からバスでほんの5~7分。「スポーツセンター前」で下車し、球場までは徒歩数分。
バスは2社(岡電・中鉄)あるようですが、今回は「岡電バス」を利用。この場合は駅の西口22番乗り場から「岡山大学・岡山理科大学行き」に乗車。1時間に概ね2~3便ありました。運賃は片道200円(データは全て訪問時)。
徒歩でも行けない距離ではありません。徒歩だと25~30分くらいです。前回訪問時は歩きました。
公園の道路反対側には飲食店やコンビニもありました。地方遠征では飲食物確保に不自由を感じることも多いので、今回は助かりました。
岡山遠征記はこれで終わりです。読んでいただきありがとうございました。
なお、岡山県内にはまだまだ野球場がたくさんあるのですが、アクセスと公式戦の使用頻度の問題で私はこれで打ち止めになると思われます。だんだんこういう県が増えてきました。それに伴い私の野球場行脚もボンヤリとですが限界点が見えてきました。その時が訪れるまでお付き合いいただければ幸いです。
訪問球場数:270箇所(内、非観戦14箇所)
観戦球場数:256箇所目
-
navigate_before 前の記事
リーチ寸前 (中国地区2部リーグ:鳥取大ー岡山理科大)
2024年6月21日 -
次の記事 navigate_next
4年目にしてようやくの実現(九州アジアリーグ:大分ー北九州戦)
2024年6月28日
- 事務局に通報しました。
chat コメント 件