Misplaced Childhood

あの日は銀座のいつものクラブで飲んでいた。

新調したグレーのスーツがどうだとか、めずらしく髪の襟足を短くしてどうしたのかなどという、たわいもない話をしながら飲んでいた。

店のお客が退けたあと、ママと遅い夕食を、いつものイタリアンで済ませ、ママと別れて、いつもの場所からタクシーに乗る。運転手に、六本木通りから日赤通りに入ってくれるように頼んで少し眠る。気がつくと、高樹町のところをタクシーが日赤通りに入ったところだった。そのまま日赤通りを進んでもらって、いつものところを右に入ってもらう。タクシーは坂道を下り、坂の終わる少し手前のところでタクシーを降りる。

坂の途中の高級マンション。この時間だと、さすがに明かりの点っている部屋はほとんどなく、巨大な怪物のような姿が闇の中にボーッと浮かぶ。このマンションも、出来て5年が経つだろうか?

坂の終わりを左へ曲がり、少しして、家の玄関に通じる階段の前まで来ると、階段の下から見上げる書斎に明かりが点いている。

朝出て来るときに消し忘れたかな?あ〜ぁ、もったいない。

玄関の鍵を開け、リビングの明かりを点けて書斎へ入ろうとすると、誰かいる・・・・

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