セーブ記録と試合の流れ

 


 


 写真は立命館大学の工藤投手です。


 


 素晴しいリリーフ投手だと思います。


 


 さて・・・。


 


 誰もが一度は思うことだと思いますが、例えば試合の中盤でリードを守りながらも満塁のピンチを迎えたような時・・・もしもここでチームで一番三振を取る能力のある投手を投入できたら試合の流れを相手に与えることなく危機を切り抜けることができるのに・・・と臍を噛まれたことはないでしょうか?


 


 もっと具体的に言えば、巨神戦で6回表阪神1点リードで巨人が1死満塁になった場合、阪神ファンとしては藤川球児を投手を投入できてたら・・・と思われたことはないでしょうか?


 


 現在、投手にセーブがつく条件は①勝利投手の権利を持っていないこと、②勝利チーム最後の投手であること、③三分の一以上の投球回数を投げること・・・を満たした上で、①3点差以内なら1イニング以上を投げ切ること、②迎える打者に2者連続本塁打を浴びたら同点となる状況で登板しリードを守り切ること、③3イニング以上を投げてリード(この場合何点リードでも良い)を守りきること・・・が条件になります。


 


 しかし、もはやチーム内最高のリリーフ投手が最終回を投げてセーブを得ることがプロ野球の「様式」になってしまっている現実が続き久しいと思います。


 


 しかし、ゲームの「流れ」を変えないためにゲームの中で最大のピンチに、チーム内の「スーパースター」が登板して「仕事」を果たし涼しい顔で後の投手に試合を託す・・・というような場面を僕は見てみたい。


 


 むしろ「セーブ」という記録がゲームをドラマチックにする可能性を損ねている気さえします。


 


 野球の歴史をみればごく「最近」といえますが、「ホールド」の記録が認められるようになり、多少なりとも「中継ぎ投手」への正当な評価が記録上なされようとしています。


 


 しかし、やはり「勝利」と「セーブ」、「セーブ」と「ホールド」との扱いの重さ・・・そして「ホールド」さえつかない場面での登板の評価の問題は解決してしないと思います。


 


 遠い昔、「勝利投手」という個人記録を作った時から、このような問題が生じることは予想できていたことかも知れません。


 


 しかし、野球をドラマチックにするために「記録」が影響を与えるようなことがあるのは惜しい気がしてなりません。


 


 野球はドラマチックなスポーツの王様、いや、エンターテインメントの王様であって欲しい。


 


 我々一人ひとりのファンが持つ選手を見る目、チームを見る目、選手を見る目、そして野球を見る目が高まっていくか否かが、野球の未来を左右するのかも知れません。


 


 「セーブ」がつかない場面でも、チームのためにピンチの時だけに登板してゲームが壊れるのを防いで降板する最高の投手。


 


野球において数々の「個人記録」が創設されたことを野球における価値観の変遷ととらえるならば、遠くない未来にそんな投手が見られることを信じたいと思います。


 


 


 


 


 


 









































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