我的愛球史　第1話「巨人のヘッドマーク」

　「僕の甲子園物語」に続く新シリーズです。

　野球に関する思い出を綴っていこうと思います。

　運動音痴で野球経験ほとんどゼロのダメ男ですが、自分なりに野球を愛し、楽しんできた思い出を書いてゆこうと思います。

　僕は本当に物心ついたときから野球が好きだったわけではありません。

　一緒に住んでいた祖父は大の野球好きで、僕が甲子園に出ることを夢みていたと聞かされることがありましたが、僕が6歳の時に亡くなってしまったので、祖父の野球好きを受け継ぐことはできませんでした。

　両親はそれほど野球好きでありません。

　父はボディービルが好きで、筋トレばかりしていました。

　球技はラグビーが一番好きな様子でした。

　母は野球に興味を示しませんでしたが、48歳の時、高橋由伸選手が巨人に入団したことにより、急に野球に興味を持ち、今では大の巨人ファンです。よくありそうな話です。

　さて、僕は小学校4年生までは野球にほとんど興味がなく、CMに良く出てくる江川卓さんが阪神の選手だと思っているほどの野球音痴でした。

　カルビー野球チップスを子供会のお菓子でもらっても、カードは人にあげていました。

　関西に住んでいるのでタイガースファンが周りに多くて、小林繁さんの突然の引退の時、みんなが大騒ぎしていたのを記憶しています。僕は「コバヤシ、コバヤシって何の人やろ？コバヤシって言う人が何をしたんやろ？」ぐらいの受け止め方でしたが。

　僕の野球音痴を象徴するエピソードには事欠きませんが、今でも人に話してよく笑われるのが、「巨人のヘッドマーク事件」です。

　小学校中学年の頃、学級新聞を作っていた僕は、新聞に載せる野球のイラストを描くことになりました。

　周りには阪神と巨人の帽子を被っている人が多かった（今はあまり街では見かけなくなりましたね）。

　僕は今でこそ阪神に人生の何分の一かは捧げているつもりの阪神ファンですが、当時は野球チームに何のこだわりもなかったので、野球をしている友達の画に被せる帽子は巨人の帽子にしようと思いました。

　そこで、野球音痴だった僕に重大な問題が立ちはだかりました。

　巨人の帽子のヘッドマーク、あれはどういう記号なんだろう？

　そうです、YとGのアルファベットが重なっている・・・と言うことに気付かなかったのです。

　そこで色々考えたのですが、テレビで見る広島カープの帽子にCの文字が書いてあることに気付きました。

　また、高校野球の帽子にKやらSやらの文字があることも思い出しました。

　そして、自分には縁遠い存在でしたが、小学校の野球チームの帽子にはF。

　ああ、そうか、帽子にはアルファベットを付けることになっているんだな。

　僕は友達に巨人の帽子を借りて、ヘッドマークを写しました。

　そして、僕が書き上げた巨人のヘッドマークは・・・YとCが重なったものでした。

　Cって何？・・・オロナミンC？

　今ではそう突っ込みたくなりますが、当時の僕は帽子のGがCだと寸分も疑わなかった。

　今でも僕は巨人のヘッドマークはYCに見えます。

　巨人は長くユニフォームのネームが早稲田大学と同じような花文字の書体で、戦前からの伝統を感じさせて渋かったですね。

　でも、ヘッドマークのYGのG,何でもっとGっぽくしなかったでしょうね。

　デザイン性重視でバランスを考えられたのでしょうか。

　こんな感じで僕は昭和の子供にあるまじき野球音痴なのでした。